デジタルの力で自分らしさが生きる
インクルーシブな社会を目指す

人材の価値を最大限に引き出すことが重視されている昨今、企業の継続的な成長は、まさに「人」に懸っていると言っても過言ではないだろう。そんな企業の核心ともいえる採用業務において、やりとりする相手の気持ちに真摯に向き合いながら、さまざまな企画や施策を立案し、実行している工平真子。困難な状況にあっても諦めず、常に前向きな姿勢で多くの壁を乗り越えてきた。穏やかな表情の中に、熱い想いを持つ、そんな工平にとっての“デジタル”について語ってもらった。


企業と人をつなぐ


私は現在、技術者の採用に携わっています。デジタル技術を活用した事業を展開する会社の一員として、学生の方々としっかり会話のキャッチボールができるように、急速に発展する世の中の技術を日々学び、自己研鑽に努めています。

学生に対しては、当社の魅力を伝えるためのイベントの開催を皮切りに、当社に興味を持ってくれた学生に社員を身近に感じてもらう懇談会の開催、そして採用面接の対応など、学生の就職活動のプロセスに合わせた段階的な活動を行っています。また、当社には、会社と学生との接点として、社員が母校の後輩のためにリクルーターとして就職活動を支援する仕組みがあります。当社の雰囲気と就職活動の両面をよく知る経験者として、社員が卒業した大学を訪問し、就職活動を行う学生の不安に寄り添います。通常業務の傍らこのような活動をする社員への支援、そして社員と連携した活動も私の大事な役割です。就職活動が本格化する時期には多方面からの問い合わせが増えるため、社員の活動をサポートする情報共有の仕組みづくりとその改善や運営にも力を入れています。

採用活動において大切なことは、当社の魅力をいかに一人ひとりの学生の心に届けられるか、そして私たちと一緒に働きたいと思ってもらえるかだと考えています。当社は、東芝グループのデジタル領域を担う会社です。活動範囲は多岐に渡り、社会に必要不可欠なシステムや、各業界に向けたソリューション、先進のAI技術や量子関連技術に携われるなど、幅広い仕事に取り組める魅力があります。

このような魅力を正しく伝える施策の1つとして、架空の企業が持つ悩み(課題)の発掘から解決の提案までを体験するワークショップを開催しています。この体験を通して学生に、当社で働くイメージをつかんだり、働くことに関する気づきや興味につなげたりしてほしいという思いから、さまざまな視点をもとに、一人ひとりに当社からのアドバイスを送るようにしています。なぜなら、就職活動は学生にとって人生の岐路に立つ大きなライフイベントだと思うからです。そのため、できる限り相手の立場に立つようにし、相手が悩んでいることや求めていることを感じ取ること、そして誠実に対応することを心掛けています。

このような体験を経て入社した社員が、「今度は自分が次にやってくる後輩たちの役に立ちたい」と、会社と学生の架け橋となることを志願してくれることがあります。私たちの想いや活動が人の気持ちに影響を与え、次の世代へとつながったことを目の当たりにした瞬間です。嬉しさがこみ上げてくるのと同時に、尊い仕事を任されていることを改めて感じる醍醐味ともいえるこの出来事にまた出会えるように、日々の活動を続けていきたいと思っています。


デジタルの力を味方に高みを目指す


デジタルは、私たちの生活を支援してくれるパートナーだと思います。社会に次々と生まれ蓄積されていく多種多様なデータと、私たちが持つアイデアを掛け合わせることで、見たことのない新しいビジネスを創出できるのではないでしょうか。そこには、社会に生きる人々に豊かさや快適さ、希望を与えてくれるビジネスもあると思います。

私の仕事においても、デジタルの力は欠かせません。オンラインによる会社説明会や採用面接が実現したことで、より多くの学生と出会えるようになったことを実感しています。また、私は車椅子で生活をしています。そのため、ときには物理的な制約を感じることもあります。この制約を緩和させたり、できないことをできるようにしたりする可能性を秘めているのが、デジタルです。私自身も含め多くの人にとって、とても大きな希望になると思います。例えば、体を動かせなくても目線を使ってコンピューターを操作し、プログラムを組んだり業務を行ったりするなど、今後もさらにさまざまな可能性が広がっていくでしょう。未知の世界を切り開くことができるデジタルが持つ可能性は無限大です。一方で私自身は、デジタルへの頼り方について、常にアップデートが必要だと考えています。できないことをできるようにするだけでなく、できていることをさらに伸ばし人として成長することにつなげていくなど、状況によって頼り方を変えられるように、柔軟でありたいと思っています。デジタルは人の近くで手助けをしてくれるパートナーと捉え、自律した付き合い方をしていきたいです。

これから先は、これまで実現が難しいとされていたことがますます可能になる社会になり、人も企業も新たな挑戦や変化がより一層求められるようになっていくと思います。実際に当社では、生成AIを活用したり新たなビジネスが生み出されたりと、さらなるデジタルの活用が進んでいます。働き方においても、在宅勤務や、自由な服装で出社できる「セルフビズ」など、従来の形式にとらわれずに社員一人ひとりが主体的に判断して働ける環境が整備され、多くの社員が利用しています。また、身体的な制限により、これまでやりたくても諦めてきたような仕事へ挑戦できる環境が、これからはもっと整っていくと思います。こうした取り組みにも携われるようになりたいと考えています。

次々と変化する現在の社会の中で、これは自分にできるのだろうかと高い壁にぶつかることはあると思います。そのとき、すぐに諦めてしまったら何も残りません。やったことがないことをはじめから否定しない、そして思い切ってやってみる。たとえうまくいかなくても、どうすれば実現できるのかを考え動き続けていれば、きっとチャンスは見えてくるはずです。私は、この気持ちを胸にこれからも突き進んでいきます。

大切なことば

私が大切にしていることは「倒れても起き上がり続けること」と「やったことがないことを否定しないこと」です。

日々生活する中において、前例がないことや一筋縄ではいかないことに出会うシーンはよくあります。私はどんなときも、実現する方法をいくつも考えて試し、失敗しても何度も起き上がり続けてきました。一般的な教習所での取得は難しいといわれていた自動車の免許も、周りに相談しながらさまざまな実現方法を模索した結果、地元の教習所で取得することができました。とてもうれしい経験として、私の心に残っています。たとえ最終目標に届かなくても、諦めることさえしなければ、自分の中に何らかの形として残る財産になると思います。
また、社会には多様な背景を持った人たちがいます。その人の立場にならないと分からないことは多くありますが、実際にその立場に身を置くことは困難です。だからこそ、自分とは異なる立場にいる人を自分が持つ尺度や感覚だけで測ることなく、前向きな素直な気持ちで丁寧に物事を考え行動していきたいです。知らないことや、やったことがないことを否定しないことで、私自身が成長し、自分の人生における価値観の幅を広げていきたいと思います。

工平 真子(KUDAIRA Mako)

東芝デジタルソリューション株式会社
ICTソリューション事業部
人材開発・技術管理部


入社以来、技術者の採用や人材育成に携わってきた。就職活動は人生を左右する大切なライフイベントと考え、当事者に対して真摯に、そして誠実に向き合い、相手のためになるような情報を伝えることを常に心掛けている。

執筆:井上 猛雄

  • この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2024年5月現在のものです。

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