だれかの困りごとと最新のデジタル技術との
架け橋になりたい

世の中にあふれる最新の技術やシステム、ツールなどを調査し、社内のさまざまな部門へ提案する福居誠二。東芝デジタルソリューションズの価値創造力を高めることが福居のミッションだ。目まぐるしく変化するデジタル社会において、最新のデジタル技術を課題解決につなげるため、社内外に高いアンテナを張って情報の収集と発信に取り組んでいる。そんな福居が考える、“デジタル技術”について語ってもらった。


データサービス時代を支える存在になりたい


あらゆるものがデジタル化され、データ量が爆発的に増えている世の中は今、このデータを核としたデータサービスが求められる時代へと突入しています。私は、この時代を生きる人や業務を支える仕事をしています。次から次へと登場する最新の技術動向を調査して、業務の効率化や高度化などに課題を抱える部門それぞれに合ったツールやソリューションを提案したり、自社での研究により先進の技術を生み出した研究者とさまざまな技術をソリューションやサービスとして実用化する開発者との間をつないだりしています。

IT業界は驚くほどのスピードで変化しています。つい最近まで主流だった技術やサービスでも、気づくと別の新しい技術やサービスに入れ替わっていることが多くあります。行動が制限されるなど働き方や環境が大きく変わった現在においてもそのスピードは健在で、私の中にある新しい技術への関心の高さも変わりません。国内外の学会での発表を聴講したり、興味をもった新しいサービスやツールを使ってみたりするなど、今も積極的に情報を収集しています。もちろん、世の中に登場したサービスやツールの概要は、他の人が使った結果がまとめられたWebサイトなどを見れば把握できますが、私は実際に使って自分がどう感じたのかを大切にしています。試すことで得られる気づきはノウハウとして蓄積できますし、実際の使用感はとても大切な知見となります。蓄積した知見は、人に提案するときの自信や信頼にもつなげられる、私の宝物です。

大学院では、ソフトウェア開発を題材とした研究に取り組んでいました。そんな中、学会において、企業で活躍する研究者の方たちの前で発表する機会がありました。社会に出て実際に仕事をされている方々から受けた、「その技術は社会でどのように使えるのか」という質問をきっかけに、「社会に役に立つ技術なのかどうか」を強く意識しながら研究に励むようになりました。このような経験をはじめとして大学院で得た多くの知見は、さまざまな課題を抱える現場へいかに最適な解決策を提案するかという、現在の業務で生かせていると実感しています。

現在、参画しているプロジェクトでは、社内に蓄積されている膨大なデータを分析してソフトウェア開発にかかる工数(作業量)を予測し、予算の見積もりを機械的に作成するシステムを開発しています。

ソフトウェア開発の案件に対して精度の高い見積もりを作るには、該当するそれぞれの案件にかかる工数を正しく見極める長年の経験が必要なため、限られた人に業務が集中しがちです。そこで、指標となる見積もりをシステムが算出し、システムと自分が出した見積もりを比較して精査することで、見積もりの精度を上げていきます。業務を分散することに加え、見積もりを作成する人の成長にも貢献する仕組みです。

このプロジェクトでは、メンバーの力を信じてそれぞれが自分の役割をしっかりと果たすことと同時に、壁にぶつかったときには周りのメンバーなどの手を借りて協力しあうことの大切さを学びました。東芝では、さまざまな人々がつながって仕事をします。仕事を通して、仲間の大切さやありがたさを実感する毎日です。


コロナ禍が引き起こした新たな課題へ向き合う


2020年4月、新型コロナウイルスの感染拡大により、国内で初めて緊急事態宣言が発出されました。その際、東芝グループでは社員の在宅勤務が推進され、全社一丸となって出社率の低減に取り組みました。しかし、東芝デジタルソリューションズのシステム開発の現場では、セキュリティや自宅で使用する機器の性能などで、在宅勤務に移行するために解決するべき課題があり、開発者の多くは出社せざるを得ない状況でした。

当社では以前よりゼロトラストネットワークの必要性を感じ、本格的な構築に向けて取り組んできました。まさにその実践の場が訪れた瞬間でした。そこでセキュリティ技術とクラウド技術に長けたメンバーが集まり、在宅勤務で安全に効率よく開発業務を継続できる環境の整備に「デジタル」の力で取り組みました。

私は、このプロジェクトで重要なポイントとなる開発環境下で適用できるデスクトップ仮想化サービスの選定を担い、これまで蓄積してきたノウハウや知見を生かして、候補である複数のサービスを実際に試しながら比較検討しました。選定では、セキュリティ面はもちろん、タイプの異なる開発ツールが複数存在すること、ネットワークへの負荷、導入コストなどを考慮しました。そして何より、これまで実際に使っていた開発環境から移行したとき、使用者が違和感なく活用できるように再現度の高い環境の提供を目指しました。担当者それぞれが得意分野でしっかりと役割を果たしたことで、約2週間という非常に短い期間で環境の検証と構築を終わらせ、開発者たちの安全な生活とともに、生産性とセキュリティを向上した在宅勤務の環境を実現することができました。

この取り組みは当社内で表彰され、またメディアでも取り上げられるなど、社内外から高い注目をいただきました。企業や社員が抱える問題や課題を「デジタル」を駆使して解決するという好例を作ることができたと感じています。

デジタルには、私たちの仕事や生活に変化をもたらし、新たな価値を生み出す力があります。今後は、これまで以上にデジタルを使ったコミュニケーションが重要に、そして日常になっていくと思います。在宅勤務が増えることで、上司や同僚との会話もデジタルを活用することが当たり前になりますし、業務をデジタルツールで割り振るようにもなるでしょう。仕事のやり方や進め方がどんどん変わっていくはずです。

このような日々の働き方の変化や誰かに困りごとがないかを見ながら、これからも社内に最適なツールを提案していきたいです。自分自身で実際に試した使用感や疑問などもどんどん現場と共有し、より快適な仕事環境を実現していこうと考えています。

大切なことば/好きなデジタルツール

元メジャーリーガーのイチローさんの「結果が出ないとき、どういう自分でいられるのか。決して諦めない姿勢が、何かを生み出すきっかけをつくる」という言葉を大切にしています。かつて野球少年だった私は、高いパフォーマンスを発揮するために努力し続けるイチローさんの姿に憧れてきました。社会人になった今、なかなか結果が出ないときでも、失敗を恐れずに、試行錯誤しながら壁を乗り越えていきたいです。

また、最近は自己啓発の一環で活用している「Udemy」というオンライン学習プラットフォームがおすすめです。膨大な学習コンテンツが用意され、各単元が細かく区分されていることから、場所や時間を選ばすに学べるようになっています。単純に動画を視聴して終わりではなく、動画の直後に「試す場」が設けられているなど、学んだことが定着しやすい仕組みも整っています。学習コンテンツはもちろん、ツールやソリューションを日々探求する身としては、Udemyの構造そのものもとても興味深いです。

福居 誠二

東芝デジタルソリューションズ株式会社
ソフトウェアシステム技術開発センター
システム・エンジニアリング開発部 第一担当


ソフトウェア技術センターに所属し、東芝の付加価値を高めるため最新の技術や研究、システム、ツールなどを社内に展開している。デジタルを使い社会課題を解決するための努力は惜しまない。失敗を恐れず、試行錯誤しながら日々ノウハウを蓄積している。

執筆:秋葉 けんた

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