デジタルによる「見える化」で、
社会課題を解決していきたい

新聞社向けのソリューション開発に携わる佐藤彩菜。新聞社の生産性向上や業務改善に貢献するため、お客さまに寄り添い本音を聞き出すことで、本当に必要とされている機能や要件を捉え、運用を意識したシステムを構築するように心掛けている。お客さまの不安や課題を「見える化」し、運用を管理する人、新聞を制作する人それぞれが安心できるシステム作りを目指す佐藤に“デジタル技術”について語ってもらった。


お客さまとの関係を築ける仕事がしたい


私は学生のころから、「人」と関わる仕事がしたいと考えていました。

そんな私が現在携わっている仕事は、新聞社における取材から紙面制作、販売や発送までにわたる業務をトータルに支援するソリューションの開発です。お客さまにとってより良いソリューションとなるよう、現場に行くこともあります。

新聞社では、取材や編集作業を行う際、記者やキャップ、デスクの間でコミュニケーションを円滑に行うことが重要です。私たちが提供するソリューションは、このようなコミュニケーションを支援するとともに、コンテンツの世代管理やデジタルメディアに向けた編集、新聞紙面の制作に関する各工程や関連情報を詳細に把握できるといった機能を、組み合わせて活用いただくものです。基本的な機能はあらかじめ備えていますが、お客さまの業務に合わせて一つひとつの機能をカスタマイズする開発も行います。例えば、紙面制作の流れひとつをとっても、お客さまそれぞれで重要とされている点が異なります。お客さまの業務を理解し、どのようなことを求められているのかをひも解いて、システムに落とし込んでいく作業が欠かせません。

システムを運用し管理する部門と紙面を制作する部門の双方にとって、より使いやすいものにするため、開発の要となる要件定義の段階では、お客さまとのコミュニケーションを深めることが大切だと考えています。そこでは、お客さまの本質的な課題解決を目指し、お客さまの話に注意深く意識を傾けて、言葉に表せていない潜在する要求なども引き出すように努めています。そのために、積極的に現地に入り、現場の雰囲気やお客さまの表情などを見ながら会話する中で、強い信頼関係を築いてきました。

しかしコロナ禍になり、状況は一変しました。リモートでコミュニケーションをとることが当たり前になり、重視していたその場の雰囲気を感じ取ることが難しくなりました。そこで、リモートでもこれまでのように、お客さまに寄り添えないかと考え、会話や情報を共有する機会を増やすなど、リモートによる障壁を感じさせないように、よりきめ細かく対応することを心掛けて実践しています。こうした工夫の結果、あるお客さまからは、「頻繁にコミュニケーションがとれるようになり、すぐに不安を取り除くことができた」といったあたたかい声をいただくことができました。

このように、お客さまから言葉をかけていただけたり、お客さまの笑顔が見られたりする瞬間はとてもうれしく、それがまた私自身の安心感にもつながっています。

今後もお客さまの声と信頼関係を大切にすること、そして多くの経験を積み重ねて視野を広げていくことで、さまざまな視点で物事を捉えてお客さまによりよいソリューションを提案できるエンジニアを目指していきます。


社会課題の「見える化」で広がる可能性


デジタルが人や社会に貢献できることは、とても多いと思います。デジタルは目に見えませんが、人々が不自由なく生活するために必要不可欠な存在になっていると強く感じています。

少し前に、地方創生の一環として、長野県塩尻市にあるワイナリーで醸造されているワインの味わいを「見える化」する取り組みに参画しました。これは、塩尻市のワインと伝統工芸、そして東芝のデジタル技術とデザインをコラボレーションしてひとつの「こと」をつくるプロジェクトです。参画の理由は、普段仕事をする仲間とは違ったメンバーでの活動が、自分の視野を広げてくれるのではないか、そして、「地方+デジタル」で地方の良さを発信できるのでないかと考えたからです。飲んだワインの香りや味の特徴をマイクが付いたコースターに話しかけると、その言葉に対応した色や形を組み合わせてビジュアル的にパソコンなどの画面に表示されます。ワインの印象を視覚でも楽しめるほか、ワインを飲んだことがない人にも味覚を想像してもらえることが期待されています。新型コロナウイルスの感染が拡大した時期と重なってしまい、私自身が最後まで関われなかったことはとても残念でしたが、現地の方々と一緒に出したアイデアが生かされ、土地がもつ良さとデジタルを組み合わせて、塩尻市やそこで生まれたものを多くの人に知ってもらう活動のお役に立てたことをとてもうれしく思っています。

また、私が通っていた学校にはソーラーパネルが設置されていて、そこには実際に発電されている電力量を表示するモニターがついていました。電気は目に見えませんが、どのくらいの電気が作られているのかを、モニターでリアルタイムに「見える化」されていたことで、エネルギー問題や環境問題を身近に感じたり、考えたりするきっかけになりました。このように、見えていないことやものをデジタルで見える化することは、より多くの人が身近な課題に気づくきっかけとなったり、困りごとの解決に役立ったりして、生活の質の向上、さらには社会課題の解決などにまでつながる可能性を秘めていると考えています。

これまでの仕事や経験から得られた知識やノウハウを生かし、今後は、デジタル技術を使って、不安や課題を抱えている人たちや、生活に不便さや不自由さを感じている人たちが、もっと安心して安全で快適な日々を過ごせるような世の中にしていくことにも貢献していきたいと考えています。そのためにも、経験のない分野や技術などにも積極的に触れ、さまざまな視点から物事を捉えられるエンジニアになっていきたいです。

好きなデジタルツール

私は映画を見ることが好きで、見た映画の感想や評価を共有する「Filmarks」というサービスをよく使っています。同じ映画でも見る人によって感想はさまざまで、新たな視点を発見することができます。また、自分が好きな映画を同じように評価している人がいたら、その人による別の映画に対する感想や評価を見て楽しむことも多いです。例えば、私は「レオン」や「最強のふたり」などの映画が好きですが、同じように感じている人が高い評価をしている映画であれば、面白いと感じる可能性が高いため、次に見る映画の候補にします。デジタルを使って、同じ趣味を持つ人とのつながりを楽しんでいます。

佐藤 彩菜

東芝デジタルソリューションズ株式会社
ICTソリューション事業部
メディア・サービスソリューション部 ソリューション第二担当


新聞業界の業務をトータルに支援するソリューション「DynamicCMS」の開発に携わる。お客さまの潜在的な要求や不安を引き出して解決するため、現場の業務への理解を深め、そこで活躍する人びとの声をよく聞き、ニーズに合わせた支援力の高いカスタマイズ開発ができるように、日々尽力している。

執筆:秋葉 けんた

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