デジタルで、社会と人のつながりを
「ちょうどよい距離」に

学生時代に金融取引を支える仕組みに強い関心を持ったことから、金融取引システムを扱う仕事を希望した唐沢智。念願が叶い、入社から一貫して証券会社で活用されるシステムを担当し、システムの提案や開発、構築業務などに日々奮闘している。趣味はプログラミングと言い、プライベートでもアプリ開発を楽しむほど。そんな唐沢にとっての“デジタル技術”について、語ってもらった。


憧れた業界への挑戦 経験を積み重ね自分の「好き」を見つける


金融取引に憧れたのは、大学生の時です。単純に「カッコいい」と思ったことがきっかけですが、自分でも株取引をするうちに、その裏側を支えるシステムに強い関心を持つようになりました。

入社して数年間は、お客さまである証券会社に駐在し、アルゴリズムトレードシステムを改良するための提案と開発に携わりました。その後は、取引所ゲートウェイシステムの開発プロジェクトに参画し、インターフェースの設計からコーディング、試験、リリースまでと、一連の流れを経験しました。私が設計したインターフェース仕様が採用され、ゲートウェイシステムとお客さまが持つ発注システムがつながり、実際に稼働した時、すごくうれしかったことを今でも鮮明に覚えています。このプロジェクトの後、今度はそれまで経験のなかったディーリングシステムのインフラ構築案件に参画しました。ここではお客さまのシステム導入作業の支援を担当しましたが、他社企業と連携して仕事を進めることが求められ、アプリケーション開発にはない大きな経験としてとても価値のあるものでした。提案、開発、そして導入支援といったさまざまな経験を経て、現在は、証券会社向けに受発注システム周りのFIX(Financial Information eXchange)プロトコルを使用した中継システム およびSOR(Smart Order Routing:最良執行取引)やDarkPool(流動性や匿名性を確保した非公開の取引環境)といった仕組みを実装したシステムの新規提案に携わっています。これらは、近年、株式などの金融商品を売買する注文方法が多様化し、複雑化している状況を支える重要なシステムです。

このように、さまざまな仕事に挑戦し、経験を積み重ねてきた中で、自分はアプリケーションの開発が本当に好きだということに、改めて気付かされました。現在、米国では、取引手数料が無料の個人投資家向けアプリが人気を集め、日本でも同様に、取引手数料の無料化が加速する動きがあります。そこでぜひ、得意なプログラミング技術を生かし、個人投資家向けなどの新しいサービスを実現したいと考えています。


貧困問題を改善・解決するサービスを実現したい


デジタルは、社会と人との距離感を適度に保つために役立つものだと考えています。社会と人とのつながりは、その距離が近すぎても遠すぎてもいけません。デジタルのおかげで、24時間いつでも情報を取得したり、さまざまな手続きを済ませたり、人との交流が気軽にできたりするなど便利になりました。その一方で、デジタルに近づきすぎるとプライバシーが侵害されたり、多様で膨大な情報に自由や時間を奪われたり、また遠ざかりすぎると便利さを享受できなかったりします。人に便利さを与えるデジタルは、上手に使うことで、社会と人との距離感をうまくコントロールするのに役立ちます。

また私は、デジタル技術を活用し貧困問題の改善に取り組みたいと考えています。いま私が担っている金融システムと貧困問題は、一見すると一番遠いところにあるように思えますが、新しい発想で両者の距離を近づけ、貧困問題の解決につながるようなサービスを創りだしたいと思っています。先行する例で言えば、世界では、2017年の時点で、成人のおよそ17億人が銀行口座を持っていないという事実があります。このような状況に対し、SNSのアカウントがあれば使える仮想通貨をつくることで、銀行口座を持っていない人たちを助けられないか、といった取り組みも聞こえ始めています。デジタルの力を上手に使うことで、現実には遠い存在に思えるものに対しても、働き掛けることができるようになります。こうした世の中の動きを知り、私もこれまでに培ってきたプログラミング技術をはじめとするさまざまな知識と経験を駆使して、貧困問題の解決につながるサービスができないか、追及していきたいと思います。

大切なことば/好きなデジタルツール

好きな言葉は「Seek and ye shall find.」です。これは聖書の一句で、「探せ、そうすれば、見いだすであろう」と訳され、物事は行動しなければ実現しないことを意味します。この言葉を常に心に留め、探求心を持って積極的に行動するようにしています。

また、好きなアプリは資産管理アプリ「マネーフォワード ME」です。生活費の管理から資産管理までを可能にする便利な機能がたくさん備わっています。ETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託)の積立投資や、ロボアド(ロボットアドバイザー)などのフィンテックサービスを一括で管理できるため、とても気に入っています。

唐沢 智

東芝デジタルソリューションズ株式会社
ICTソリューション事業部 金融ソリューション部 技術第三担当


入社前から高い関心を寄せていた金融取引システムの技術部門に配属され、これまで金融取引に関するさまざまな案件に携わる。金融取引業界を取り巻く情報収集に余念がなく、積極的な姿勢で、現在はお客さまへ新規の提案活動を行っている。趣味としても、プログラミングに勤しむ。

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