お客様インタビュー 03:大成建設株式会社様

「年単位で運用を続けたことでわかった “拡張性の高さ”の真価」

中)技術センター 知的財産部長 日比野浩氏
左)技術センター 知的財産部 特許室 課長代理 古田敦史氏
右)技術センター 知的財産部 知的財産管理室 主任 加藤祐子氏

東芝の特許業務ソリューションを実際に導入したお客様の声をお届けするシリーズ連載。

第3回となる今回は、建設業界で特許資産規模において国内トップクラスの大成建設様にお話を伺った。

特許、商標、契約管理の3つのシステムを同時に導入し、約4年間に渡って運用している同社は、東芝の特許業務ソリューションのどういった部分にメリットを感じているのだろうか?

中)技術センター 知的財産部長 日比野浩氏
左)技術センター 知的財産部 特許室 課長代理 古田敦史氏
右)技術センター 知的財産部 知的財産管理室 主任 加藤祐子氏

「ユーザーが自由に設定できる」ことで業務改善の意識が芽生えた

東芝の知財管理システムを導入して4年が経つ大成建設。同社では、「特許管理」の業務に加え、「商標管理」「契約管理」と、計3つの業務領域において本システムを採用した。

そのうち特許と商標の領域を担当する特許室の古田氏は、東芝のシステムを導入した大きなメリットとして、ユーザーがある程度自由に画面構成やフォルダー設定、検索条件などを設定できる点を挙げた。

古田氏:

「このシステムはユーザーが自分たちで設定する部分が多いので、最初は負担が多いのかなと心配だったのですが、東芝の担当者さんと一緒に設定していく過程で使い方を覚えまして、その結果、ちょっとした微修正や、変更したいことは自分たちでできるようになりました。
『試しにこういうものを作ってみたいな』というものをすぐユーザーの方で作れる迅速性は大きなメリットでした」

こうした「ユーザーが自由に設定できる」点について、契約管理の領域を担当する知的財産管理室の加藤氏もこう述べる。

加藤氏:

「私の担当する契約管理の業務では、以前は別のシステムを使っていたのですが、ユーザーが自由に編集できるタイプのものではなかったので、本当に『案件を管理するだけ』の状態になっていました。
東芝のシステムを導入したことで、ユーザー側でいろいろ画面の編集やカスタマイズができるようになり、そうすると『自分たちの運用の仕方でこんな使い方もできるのでは?』ということが出てくるんですね。
『こういう風にしてみたら漏れとかミスがなくなるかも』『こういうフォルダー設定にしたら見やすくなるかも』と、いろいろ工夫することで業務改善につながるという意識も芽生えてきました」

また、会社や部署の考え方や制度も年々変わっていく中で、それに合わせてシステムの使い方を柔軟に変えていけることも大きいという。

例えば社内のペーパーレス化推進だ。

ずっと紙で管理してきた契約業務をPDF化し、システム内に取り込むということが実現しつつある。
こうした状況の変化には個別のカスタマイズで対応することもあるし、バージョンアップで希望の機能が追加されることもある。

加藤氏は本システムの最新バージョンで追加される機能に期待を寄せた。

加藤氏:

「最新バージョンではPDFファイルをドラッグ・アンド・ドロップでシステムに登録する機能が追加されているのですが、これはかなり助かるなと。
今弊社ではペーパーレス化で、大量の契約書や、契約するまでの関連資料をPDF化しているので、それをまとめてシステムに取り込めるのは非常に大きいです」

システムのデータ連携により正確性が飛躍的に向上

もちろん、ある程度難易度の高い要望については東芝担当者に相談することになる。
古田氏は東芝の対応の速さと柔軟さにも言及した。

古田氏:

「『これはやりたいけど、ちょっと難しいね』ということがあると、本当にすぐに対応していただいています。
どこにいらっしゃっても即日回答なので、大変助かっていますね。
つい最近も『こんな帳票を出したいが、今ある機能でできないか』『もしできないなら、新たにそういう機能を付けてもらえないか』という相談をさせていただいたら、費用などをすぐご回答いただけた上に、『ご要望の方法より、こっちの方法ならはるかに安くできますよ』といったご提案もいただけました。
とにかく東芝さんの対応にはスピード感がありますね」

加藤氏は、契約管理にあたり、「データ連携」のありがたみを強調した。

加藤氏:

「契約の面からいうと、特許の情報と紐付けて管理することが多いんです。
でも、契約管理と特許管理を別々にやっていると、人的エラーがどうしても発生しますよね。
このシステムでは、契約モジュール側でも特許のデータを自動取り込みにしているので、出願番号を間違えて入力してしまったりすることが起こりません。
そういうちょっとしたミスが減ったことがとても大きいです」

連携されるのはモジュール同士だけではない。
本システムにはさまざまなオプションの機能があり、導入する企業や部署の事情に合わせて選択できるが、そうしたオプションの中でも、両氏が「特にありがたかった」と口をそろえたのが特許庁の審査経過情報との連携機能だ。

人間が入力すると「打ち間違い」「コピペミス」などが少なからず発生する。
本システムの審査経過情報との連携機能は、特許庁の審査経過情報を自動で取り込み、案件情報を更新するオプションだ。
もし手動で間違ったデータを入力していても、自動的に正しいデータに修正される。

古田氏は移行時のことをこう振り返る。

古田氏:

「システム移行するときにいろんな管理データを調べて判明したのですが、一度入力をしたらもうそのまま何年、何十年も放置という状態でした。
今回のシステムでは常に『綺麗な、間違いのないデータ』で管理できています」

こうしたオプション機能は、東芝担当者との会話の中で「それならこういう機能もありますよ」と紹介されることが多いのだという。

単なる資産管理ではなく"見える化"による資産活用へ

今後の知財管理の課題と東芝への要望を伺うと、古田氏は「特許資産の活用」を挙げた。

古田氏:

「東芝のシステムで、書誌情報だったり、『データを正確にする』ということはベースに乗ったと思います。
そこからのプラスアルファで、『どんな情報をもっと足していけるか』『どんな情報同士をつなげて新しいデータを見出すか』といったことが次の課題です。
特許庁が持っているような公開情報を管理しているだけではあまり意味がない。
私達しか、出願している当事者しか持ち得ない情報もプラスして、『これからどうしたらいいか』というデータにしなきゃいけない」

知的財産の価値はますます重要性を増しつつあり、自社の持つ特許資産をただ管理するのではなく積極的に活用する、いわゆる知的財産戦略に力を入れる企業もまた増えつつある。
そのために必要なのが、すでに持っている資産をさまざまな角度から"見える化"することだ。

古田氏が欲するのは以下のようなツールだ。

古田氏:

「現状は、『今の権利がどうなっているのか』を管理しているだけ。
まず、『権利の数がこのぐらいで、そのうち実際に実施されているのはこのぐらい』といった状況を見える化したい。
例えば特許、商標、契約といった複数のモジュールを連携することで、『実施のあるものはこういう風に見せる』といったことができるといいなと思います」

また、データの見える化に関連して、加藤氏は「3つのシステム間でデータの閲覧をもっと見やすくしたい」と要望した。

加藤氏:

「特許、商標、契約と3つのモジュールがあって、それぞれ例えば『契約側から特許側の情報をウィンドウで開いて見る』といったことはできることはできるのですが、部内のメンバーには1つのモジュールしか使っていないメンバーもいて、そういう人には現状では少し敷居が高いところがあります。
そういう面ではもっと相互に情報を参照しやすいようにカスタマイズできたらいいなと思っています。
東芝さんのシステムはバージョンアップで欲しい機能がどんどん追加されるし、こちらから相談すればいろんな選択肢を提示してくださるので、これからも状況の変化に合わせてシステムを成長させていただきたいです」

※本記事は2017年5月10日に取材した内容をもとに構成しています。
※社名と組織名および役職は、2017年5月17日現在のものです。