管理職のレベルアップにつなげる!管理職研修の方法やカリキュラムをご紹介

社員のなかには「出世したい」人もいれば、「管理職には興味がなく、現場の仕事を極めたい」人もいるでしょう。若手社員が管理職という立場に興味があるかどうかにかかわらず、組織を運営していくうえで管理職は必要です。今回は管理職に焦点を当て、優秀な管理職を育成する方法について解説します。

管理職に求められるスキル

まず、管理職にはどのような能力が必要で、どのようなスキルが求められているのか確認しておきましょう。

管理職は、企業によってはマネージャーともいわれ、大きく分けて3つの階層にわかれています。トップマネージャー、ミドルマネージャー、ファーストラインマネージャーの3種類です。階層によって、求められる能力や役割は異なり、企業による違いもあります。

トップマネージャーは、会社のCEO(最高経営責任者)や取締役会のメンバー、社長などの経営層です。企業組織全体を統括、監督し、企業全体の責任を負います。自社の方向づけなどを決定するとともに、株主や公的機関に対して説明する義務も発生します。

ミドルマネージャーは支店長や部長クラスです。会社が決定した経営方針や事業計画を実行する役割を担います。組織内にある各部門のパフォーマンスを上げるとともに、経営幹部と現場の認識を共有させます。近年では、単にトップダウンで事業を実行するだけでなく、ミドルマネージャーのレベルで新規事業や計画の立案をすることが求められています。

ファーストラインマネージャーは、チームリーダーや課長クラスの役職です。一般社員のマネジメントや社員への指導を直接行います。社員が割り当てられた仕事を着実にこなしているかどうかを監督するとともに、顧客に対してしっかりとしたサービスが提供できているかを担保する役割を担うことになります。新入社員のトレーニングや社員の動機づけなども行います。

これらのような管理職の役割をこなすためには、どのようなスキルを身につける必要があるのでしょうか。ハーバード大学のカッツ教授によれば、管理職には次の3つのスキルが必要であるとのことです。

  • テクニカルスキル
  • ヒューマンスキル
  • コンセプチュアルスキル

テクニカルスキルは、ある特定の業務の遂行に必要とされる知識や技術のことです。たとえば、IT企業ならば管理職の人もある程度のプログラミングの知識や技術が必要であり、営業部門のマネージャーならば自ら営業し、顧客を獲得するスキルが必要となります。テクニカルスキルは、専門的、かつ具体的なものといえます。このスキルを高めるには、社内外の研修や勉強会などで、アウトプットを通して開発していくのが有効でしょう。

ヒューマンスキルは、チーム内のメンバーに働きかけることによって協調性を生み出す対人能力のことです。簡単にコミニュケーションスキルということもできるでしょう。異なる考え方を持った人々のなかで、他者の考えを理解し、自分の考えを効果的に伝える能力です。自分の感情をしっかりとコントロールし、自分の言葉や行動が周りの人間にどのような影響を与えるかについて客観的に理解している必要があります。そのためには自分の言動を振り返り、修正することで次の機会に活かすことが大切です。他者の言葉や行動を観察することによって、他者が何を伝えようとしているのかを理解することもポイントです。

コンセプチュアルスキルは、全体を把握したうえで、該当事象の本質や他事象との関連性を的確に捉えて問題を解決する能力です。コンセプチュアルスキルの1つとして、上司は部下に指示をするだけではなく、質問を投げかけ、自身に考えさせ、そこからさらに質問を投げかけることによって、事柄を深堀させていくコーチングの技術を使った対話方法があります。

テクニカルスキルは物事に対するスキルであり、ヒューマンスキルは人に対するスキルといえます。そしてコンセプチュアルスキルは、物事と人を包括的にとらえる概念的なスキルです。この3つのスキルは別々に開発することはできますが、最終的には相互関連することで高いパフォーマンスを発揮することができます。

管理職の階層に対する関連づけでは、テクニカルスキルはファーストラインマネージャーのような現場や実務に近い役職の人に求められる傾向があり、コンセプチュアルスキルは経営陣などに必要なスキルと言えるでしょう。経営陣にテクニカルスキルが不足していたとしても、そのスキルを持った人材をうまく活用することで補うことができる場合もあるでしょう。

管理職として必要なスキルを学ぶためには?

管理職に登用されれば、器に応じて社員も成長するという考え方もありますが、現代社会では効率性と即効性が求められています。それらに応えるためには、社員に管理職のスキルを積極的に身につけさせるのがおすすめです。大きく分けると、以下の2つの方法があります。

社内研修


日本の多くの企業は、管理職の人材を育成するときに社内から生え抜きで育てることがあります。つまり、ミドルマネージャーやファーストラインマネージャーのレベルについては、社内研修で必要なテクニカルスキルを身につけさせることが、有効であるといえるでしょう。

社外研修


コンセプチュアルスキルのような、抽象度の高いスキルを身につけるためには、社外研修がよいでしょう。現在では、管理職向けに専門的な研修を行うコンサルティング会社が多くあります。さまざまな業種の企業の研修を担当することでノウハウを蓄積し、実績をあげているところも多いので、コンサルティング会社の利用は効果的な方法といえるでしょう。教育のノウハウを社内で蓄積するには時間と労力がかかりますので、予算に余裕がある場合には即効性の期待できる研修方法として検討することをおすすめします。

管理職の社外研修にはどのようなカリキュラムがあるのか?

最後に、社外研修のひとつとして管理職向けのカリキュラムにはどのようなものがあるのかについて、例を挙げてご紹介します。

ファーストラインマネージャーからミドルマネージャークラスの管理職を対象としたある研修プログラムでは、「判断軸の把握」「業績拡大への認識」「PDCAの実施」「リスク管理」の4つのポイントを軸として、仕事の進め方や未知の仕事への挑み方について学ぶようになっています。

たとえば、自分が課長という立場なら、「課長の仕事」「業績に対する課長の考え方」「リーダーとしてPDCAを回し、業績を上げる」「組織的なリスクマネジメント」「課長が考える成長戦略~新しいことにチャレンジ」などといったカリキュラムのなかで、課長として必要なスキルを体系的に順序立てて習得していくことができます。そのほか「起こりうるリスクを洗い出し、発生した直後の対応、発生させない工夫を考える」というようなグループワークに取り組むことによって、習得した知識を実際に使いながら定着させていきます。

これは一例であって、研修プログラムを提供する企業によってさまざまなカリキュラムが存在しますので、自社に向いているものを探すとよいでしょう。

管理職の質が組織のパフォーマンスを左右する

管理職やマネージャーがうまく組織を運営できない場合、業務効率の低下だけでなく、社員一人ひとりのモチベーション低下に直結します。管理職のクラスに合った研修を効果的に行うことで社員のモチベーションだけでなく、組織としてのパフォーマンスが向上します。組織のパフォーマンスを向上させるためにも、管理職研修を導入してみるのはいかがでしょうか。