最初が肝心!新入社員研修を成功させるために人事ができる3つのこと

社員の成長曲線を決める研修といっても過言ではないのが、新入社員研修。新入社員研修を通して、自社の会社理念、つまり、会社としての姿勢や社員としての行動方針を改めて認識してもらうと同時に、自社への帰属意識、自社の戦力であるという自覚を持ってもらうことが重要です。事前に目的やカリキュラムを設定することはもちろん、研修を成功させるために必要なことを学んで、新入社員がロケットスタートできるようにしましょう。

新入社員研修の目的とは?

新卒を一斉に採用する文化がある日本では、新入社員研修をするのが当たり前という認識を持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、改めて考えると、「給料を払いながら仕事のルール・やり方を教える」という特殊な仕組みであることがわかるはずです。それでもなぜ、多くの会社が新入社員研修に力を入れているのか、理由としては下記のようなものが挙げられます。

学生から社会人への橋渡しを行うため


最近でこそインターンとして長期間にわたって就業経験を積む学生も増えてきましたが、一般的な大学生には仕事に触れる機会があまりありません。就活時期にようやく仕事の概要や自分の興味などを分析し、3ヶ月~半年程度で就職先を決めることがほとんどでしょう。そして内定が決まった後は、就活時期の仕事モードが抜けて、また学生気分に戻っていってしまいます。

そのような状態で入社式を迎えても、精神的には学生気分のままであることが多いでしょう。そこで、研修期間を設けることで、短期間で社会人としての意識と素養を身につけさせるのです。社会人への移行期間と考えて必要知識を取得させ、自覚を持たせるための橋渡し。それが、新入社員研修の持つ役割といえるでしょう。

会社の代表である意識を持たせる


社会人になれば、一歩外に出た瞬間からその会社の代表として見られます。しかし、この間まで学生だった新入社員は、それを理解できていないことが多いでしょう。会社が大切にしている考え方=理念を理解し、会社の一員としての心構えを知ってもらう必要があります。

社会人としての一般常識を身につける


社会人としてのマナー、名刺交換からビジネスメールの作り方、書類作成方法、上座下座などの一般常識を、ひとりで正しい判断を下して行動できるよう教えることも重要です。自社の品位を落とさないように、また取引先からの信用をなくさないために、社会人としての一般常識はしっかり新入社員研修で教えておく必要があるのです。

短期間で戦力化する


学生気分から抜け出すための準備期間ともいえる新入社員研修では、手取り足取り教えてもらえますが、研修以降は一社会人としての行動を求められることを教えておく必要があります。つまり、新入社員を短期間で戦力化するためには、一人の社会人として自立できるマインドを新入社員研修の段階でセットしておかなければならないのです。

わからないことがあった場合に、社会人としての心構えは「自分から聞きに行く」か「自分で勉強して身につける」の2択しかありません。「会社はなんでも教えてもらえる学校ではなく、問題は自分で解決するもの」というマインドに切り替えさることも、新入社員研修で学ばせるべき重要なポイントです。

新入社員研修で実際に行われているカリキュラムの例

では、実際に新入社員研修を行う場合にはどのようなカリキュラムがよいのでしょうか。ここでは、新入社員研修で実施されているカリキュラム例を紹介します。

業界・自社について学ぶ


新入社員に、まず覚えてもらわなければならないのは自社や自社の所属する業界についてのことです。もちろん、新入社員は会社説明会や入社試験の段階である程度、業界や自社について調べたり、説明を受けたりしているはずですが、それだけでは不十分です。競合会社と比較し、どのようなポイントで優れているのかをクライアントに説明できるようになってもらわなくてはなりません。そのため、さらに掘り下げた視点で業界と自社を捉えてもらう必要があります。業界内での自社ポジション、どの会社が競合会社になるのか、これからどこの分野を伸ばさなくてはならないのか、そのために何が求められているのか。これらを毎日の仕事に落とし込んで意識できるように具体化して説明する必要があります。

規則・環境について学ぶ


新入社員は、これから配属される職場に対して漠然とした不安を持っているものです。新入社員研修で会社の規則や仕事環境についてのみならず、規則の背景や仕事環境の特徴などを新入社員に把握させることで、会社や職場への理解を促し、前向きに配属先に赴任してもらうことができるでしょう。

仕事に向かうマインドを学ぶ


自社で仕事を進めるにあたり、上司や先輩がどのようなマインドで仕事に向かっているのかを知っておいてもらいます。上司や先輩が同じ方向を向いているのに、新入社員だけが別方向を向くことのないよう、最初のマインドセットが重要視されているからです。

ビジネスマナーを学ぶ・実践


名刺交換や電話の受け答え、ビジネスメール・文書の作成方法など、配属されてから戸惑うことがないように教育します。こういったビシネスにおける基本的な知識を実務に入ってから覚えさせていては、現場の生産性が著しく低下してしまうからです。

チームワークを実践的に学ぶ


営利組織に属したことのない新入社員は、会社という組織におけるチームワークを理解していません。新入社員研修のワークで事例などを用いてチームワークについて学ばせておき、現場に出たときにスムーズに業務を進められるようにしましょう。

振り返り


新入社員研修で学んだことを、実務で使えるようサポートを行います。研修の最後に、「何を学んだのか」「これから活かせると感じたこと」「心がけるべきポイント」などを挙げさせ、実務に活かす方向に誘導します。

新入社員研修を成功させるためにすべき4つのこと

新入社員研修の目的やカリキュラム例が把握できたところで、新入社員研修を成功させるために、人事がすべき4つのことを紹介しましょう。

1.目的が確実に達成できるプログラムかどうかを見極める


目的を定め、それが確実に達成できる研修プログラムを策定しましょう。あくまで新入社員ですから、取得させるスキルのレベルについてはよく検討し、達成が著しく困難なプログラムにならないよう注意しましょう。

経営陣や現場の期待値との差を調整しておくのも人事の仕事なので、目的のすり合わせは入念に行っておきましょう。そして目的達成のためには座学+ワークが最適なのか、ワークメインがよいのかなど、適した研修形態を考えることも重要です。

2.実践と振り返りで学びを定着させる


研修中のワークと振り返りだけでなく、研修が終了した後もしばらくの間は、実践と振り返りのサイクルを回すようにしておくと、取得したことが身につきやすくなります。

さらに、新入社員が自分自身で学びを定着させる習慣を得られれば、その後の成長にも大きく寄与することとなるでしょう。

3.リクルーターや人事が声かけを行い、研修の改善を図る


会社によっては、研修は数か月間にわたるところもあります。研修内容について新入社員からの反響が悪い場合、改善せずに放置してしまうと徐々に新入社員が集中を欠き、期待している研修成果を得られないこともあるでしょう。新入社員にとって話しやすい年齢のリクルーターや就活時代から関わりのある人事の社員が適宜声をかけ、得られた意見を研修中に反映していくとよいでしょう。また、新入社員から意見は翌年以降の新入社員研修に活かすことができるため、研修後アンケートとは別に、何らかの形で保存しておくことがおすすめです。

4.フォローアップの研修を行う


内定が出た後は、「内定者(学生)→新入社員→中堅社員」といったように短期間で立場が変わります。立場が変わることによって、さまざまな問題や悩みが生じるでしょう。このようなことを解決するために、入社3ヵ月後や入社3年後にフォローアップの研修を行うことも有効です。

新入社員研修の成功が会社の未来を変える!

新入社員研修は学生から社会人に生まれ変わるための大切なステップです。研修目的やカリキュラム設定を事前にしっかり行っておくこと、そして成功させるためにすべき4つのポイントを意識して実施してみてください。新入社員が大きく羽ばたくための第一歩を、新入社員研修で全力サポートしていきましょう。