ニュースリリース

NEWS RELEASE


名古屋テレビ放送 (メ~テレ)および平和堂と共同で行った、情報番組の放送データを販促に活用する実証実験において、小売店での増収効果を実証

~店舗での簡単・効果的な販促と、放送局の新たな収益源の創出に期待~

2024年06月27日

東芝インフラシステムズ株式会社

 当社は、放送機器事業におけるDXの取り組みの一環として2024年3月16日から3月21日の期間で実施した、テレビ番組の素材などの放送データを小売店の販促に活用する実証実験(以下、本実証)において、当該製品の増収効果が通常と比べ3倍以上高いことを実証しました。また、本取り組みは、小売店側には効果的な販促および販促に関する手間の低減、放送局にとっては放送データを二次利用することで、新たな収益源となることが期待できます。

実証実験の概要

 本実証は、当社および中京広域圏を放送対象地域とする名古屋テレビ放送株式会社(以下、メ~テレ)と、滋賀県を中心に、近畿・北陸・東海地方で総合スーパーマーケットを展開する株式会社平和堂(以下、平和堂)の名古屋市内にある3店舗の協力により実現したものです※1

 メ~テレが制作した情報番組の放送後のデータの中から、番組内で紹介された2商品(パックご飯と抹茶シュークリーム)のデータについて、当社が放送局内の放送データの管理・活用の効率化や2次活用向けに開発した放送データを自動的にメタ化・蓄積・分析して提供する「放送データバンク™」のAIを用いて分析し、その分析結果から、商品を紹介するダイジェスト動画を自動作成しました※2。また、AIが分析・抽出したデータから、番組のロゴやキャラクターなどの放送素材をあしらった紙POPなどの販促物を作成しました。ダイジェスト動画は平和堂の実証実施店舗の入口に設置された大型サイネージと、商品の陳列棚に設置された小型サイネージに表示しました。陳列棚には小型サイネージでのダイジェスト動画の表示に加え、放送素材を活用した紙POPを掲示し、2商品の販促効果を検証しました。(図1、図2)

図1 実証実験の目的
図2 販促物掲示の様子(ダイジェスト動画と紙POP)

実証実験の結果

 本実証では、メ~テレが2024年3月16日13:26に放送した情報番組で紹介された2商品のダイジェスト動画などの販促物を、映像素材抽出から販促物作成まで約1時間で作成し、平和堂の実施店舗に即時に提供しました。実施店舗にて3月16日夕方から同月21日午前中まで販促物を使用し、統計的因果推論手法※3の一つである「差分の差分法」※4を用いて販促効果を検証したところ、パックご飯と抹茶シュークリームの売り上げは、実証実験を行わなかった店舗と比較してそれぞれ3倍以上の増収効果があったことを確認しました。通常、販促物は店舗側で作成しますが、本実証では放送データの活用により販促物が店舗側に提供されるため、効果的な販促に加え、販促物を作成する店舗側の手間の低減にも貢献します。

図3 実証実験における効果分析(当社調べ)

 さらに、本実証で使用する放送データバンク™のAIを用いた番組コンテンツの分析・抽出により、番組名、出演者、紹介した商品名、キーワード、テロップ等の項目のデータを自動で割り振りして、有用性の高い放送データを作成することが可能となり、放送データの管理における課題の解決に貢献します※2

今後の期待・展望

 本実証では、放送データを販促物に活用することにより、店舗側、放送局側の双方にメリットがあることが実証されました。当社は、本実証の成果をもとに、放送データを、百貨店やコンビニエンスストア、家電大型専門店、ドラッグストアなどの小売市場や、大手ECサイト、不動産、旅行業者など、さまざまな分野に活用していくことを検討し、放送データを中心としたエコシステムの構築・拡大を目指します。

図4 今後の展望
  1. 東芝データ株式会社、東芝テック株式会社が検証スキームのアレンジ・支援を実施
  2. 放送データバンク™関連技術について特許出願中
  3. 観測データに対して結果に対する特定の要因のみの影響を調べるための手法
  4. 季節、曜日、天候といった共通変動要素の影響を排除して施策効果を検証する手法