ニュースリリース

NEWS RELEASE


マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダ2式の受注について

ーゲリラ豪雨の兆候をより迅速に捉えることが可能ー

2022年05月27日

東芝インフラシステムズ株式会社

 当社は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)電磁波研究所から、マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダ(MP-PAWR)を2式受注しました。2023年に稼働する予定です。

 MP-PAWRは、30秒から1分で雨雲の高速三次元観測が可能なフェーズドアレイ気象レーダ(PAWR)と雨量を高精度で計測できるマルチパラメータ(MP:二重偏波)レーダの機能をあわせもった気象レーダです。内閣府のSIP「レジリエントな防災・減災機能の強化」の施策として、当社が2017年に開発し、世界初の実用型が埼玉大学に設置されています。

 当社は、NICT未来ICT研究所(神戸市西区)および大阪大学吹田キャンパス(吹田市)に設置されているフェーズドアレイ気象レーダのマルチパラメータ化(※注)を行います。これにより、両サイトのレーダが埼玉大学に設置されたMP-PAWRと同性能のレーダになります。マルチパラメータ気象レーダの持つ高精度の降水観測機能を搭載することで、降雨量の観測精度が向上し、ゲリラ豪雨の兆候とその雨量を迅速かつ高い精度で予測することができる見込みです。
 さらに、関西域で2式のMP-PAWRによる初のネットワーク観測が実現することとなり、これら観測範囲における水防活動や住民への避難指示等への活用に向けた研究・実証の加速化が期待されます。

 近年、局地的な大雨(ゲリラ豪雨)や竜巻による甚大な被害が社会問題となっています。このような局所的で突発的な大気現象の前兆現象を直接観測するのに最も有効な手段の一つは気象レーダと言われています。
 当社は、今後も新たな地域に、MP-PAWRを設置することで、早期に高精度で信頼性のある気象レーダ情報の提供を実現し、豪雨被害の低減に寄与していきます。

※注:垂直方向と水平方向の2種類の電波(偏波)を同時に発射することで、大きさによって異なる雨粒の形状(縦横の比)から雨量を推定すること。

受注概要

納入先 国立研究開発法人情報通信研究機構 電磁波研究所
設置場所

同機構 未来ICT研究所(神戸市西区)
国立大学法人大阪大学吹田キャンパス(吹田市)

観測開始予定時期 2023年
マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダ(設置イメージ)