中小規模システム向け産業用コントローラ「type2 light」の商品化について
2015年8月7日
当社は、ユニファイドコントローラ™nvシリーズの新製品として、中小規模システム向けDCS(Distributed Control System注1)「type2 light」をラインアップに追加し、この度販売を開始しました。
「type2 light」は、当社がこれまで大型規模システム向けDCS「type2」などで培ってきた技術・機能を活用し、高い演算機能を維持しながらも、ハードウェアやソフトウェアの最適化により中小規模システム向けに開発した汎用モデルです。
本製品は、主機能を一つのモジュールに搭載しているため、大規模システム向けの製品と比較して83%の小型化注2を実現しています。また、従来機種同様、演算機能や電源など各機能を二重化することにより、稼働の安定性を実現するほか、システムの不具合時やメンテナンス時でもシステムを停止することなく連続稼働させることが可能です。
当社は、今後も本製品をはじめ顧客ニーズに対応したDCSの提供を通し、産業システム分野や社会インフラ分野における様々なプロセス制御の安全な連続稼働に貢献していきます。

nvシリーズ type2 light
- 注1
- 分散制御システムのこと。制御システムの一種で、システム内に複数のコントローラが存在し協調・統合した制御をするもの。
- 注2
- 従来機種(type2)比。コントローラ基幹部での比較。
開発の背景
1975年に当社初のDCS「TOSDIC™」を製品化して以来、当社のDCSは、石油化学、紙パルプ、廃棄物処理、食品などの産業システム分野や社会インフラ分野の計装分野における大規模制御システムを中心に、様々なプロセス制御に使用されています。これらのシステムの制御には幅広い計装制御が必要とされており、複雑で高度な制御などが要求される場合があります。これらの複雑な制御を複数同時に処理するためのコントローラには高い演算機能が求められる一方で、システムの不具合時でも連続稼働させることや、システム稼働時に機器の保守ができるオンラインメンテナンスなどのメンテナンス性も要求されています。今回、当社は、当社の制御方式として特長があるモデル駆動PID制御注3など大規模制御システム向けDCSで培った技術・機能を継承しつつ、中小規模制御システム向けに機能を集約することで製品サイズを小型化し、適材適所に使用できる製品を開発しました。
製品の特長
1. コンパクトなシステム
情報ネットワーク(Ethernet)、演算機能、フィールドバス(TC-net I/O Loop)、二重化などの主機能を一つの機能モジュールで実現しています。
2. 高信頼システム
HMI(ヒューマンマシンインターフェース)から演算機能、電源、ネットワークなどを二重化することで堅牢で使いやすい中小規模のDCSを提供します。コントローラの内部メモリにはECC(Error Correction Code)回路注4を適用しており、単なるエラー検出だけでなく、エラー部位を正しい値に訂正するため制御システムを安全かつ継続して稼働させることができます。
3. 高度な計装制御の実現
簡単なループ制御から外乱変動に強いモデル駆動PID制御まで幅広い計装制御を簡単に行うことができます。
4. オンラインメンテナンスが可能な高速リモートI/Oシステム TC-net™I/O
TC-net™I/Oモジュールは、システム運転状況(通電状態)におけるモジュールの交換と共に容易なオンラインメンテナンス環境を提供します。リモートI/Oシステムを採用しているため、フィールド機器を柔軟に配置することができます。遠隔地にあるI/Oデータも100μs周期の高速スキャンにて収集することが可能です。
5. 拡張性、視認性に優れたHMI
本格的DCS用ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)を中小規模システム用に提供します。HMIは拡張性に優れ、DCSが稼働中でも簡単に増設可能です。制御対象となるセンサ、バルブ等の機器を可視化しているため、制御システムの管理が容易となります。
6. 既設のDCS資産を流用できるエンジニアリング
エンジニアリングで使用するnV-toolは、既設DCSのソフト資産を有効に活用することができます。このため短期間での制御システム更新が可能となります。
仕様
この表は横スクロールできます。
プログラム容量 | 128K ステップ | ||
---|---|---|---|
ローカル変数/グローバル変数 | 64K ワード | ||
I/O変数 | 16K ワード | ||
タグ | PV | 384点 | |
LP | 128点 | ||
PB | 512点 | ||
タスク | 定周期タスク | 高速スキャン周期 | 10-50 ms |
メインスキャン周期 | 100-10,000 ms | ||
イベントタスク | イベント | 8本 | |
I/O割り込み | 16本 | ||
演算性能 | 接点 | 3.4μs | |
整数加算 | 5μs | ||
浮動小数加点算 | 5μs | ||
プログラム言語 | IEC 61131-3準拠4言語 ・LD (Ladder) ・FBD (Function Block Diagram) ・SFC (Sequential Function Chart) ・ST (Structured Text) |
- 注3
- モデル駆動制御システムは、東京大学の木村英紀元教授が2000年に提案された制御概念に基づき、当社にて開発したものです。
- 注4
- エラー修正回路。
本件に関する問合せ先
産業システム・機器統括部 計装制御営業部 制御営業担当
TEL : 044-331-1694
以上