ニュースリリース

多数のカメラからの映像で詳細なリアルタイム遠隔監視を低コストに実現するアダプティブ映像伝送システム技術を開発

2018年11月07日


当社は、社会インフラの遠隔監視のためのカメラや、車・鉄道・産業用ロボット・ドローンなどの移動体に搭載されたカメラなど、広域に配置された多数のカメラによる大量の映像を、当社独自の映像圧縮伝送技術により、クラウドのサーバーに通信量を抑えてリアルタイムに収集・配信するアダプティブ映像伝送システム技術を開発しました。現在の一般的なドライブレコーダーの圧縮後映像による伝送時と比較してデータ量を8割以上削減でき、サーバー1台で数千台規模のカメラ映像を収集・配信することが可能になります。
当社は本技術のデモシステムを、11月8日から9日にグランドニッコー東京 台場(東京都港区台場)で開催される「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2018」に展示します。

近年、災害や防犯対策などを目的に、社会インフラや公共施設を中心にカメラ映像監視システムの設置が急拡大しています。また、安全運転支援や車両運行管理を目的とした、LTE(Long Term Evolution)モバイル通信対応のドライブレコーダーや、産業用ロボット、ドローンなど、移動体に搭載されたカメラを用いた遠隔映像監視システムの普及が進んでいます。監視システム周辺の状況を遠隔からリアルタイムで把握するためには、多数のカメラ映像を同画面に見やすく表示する必要があります。また、移動体に搭載されたカメラで撮影した映像は、より広範囲からカメラ映像を無線通信で収集し活用することが想定されますが、従来のカメラ映像監視システムでは、通信パケット容量と通信速度制限の制約による、データ処理の負荷が問題となるため、遠隔でのリアルタイム監視を、コストを抑えて実現することが難しいという課題がありました。

そこで当社は、多数のカメラからの映像を低コストで、遠隔から詳細にリアルタイム監視できる当社独自の映像圧縮伝送技術を適用した「I/Pピクチャ分離映像配信アーキテクチャー注1」によるアダプティブ映像伝送システム技術を開発しました。

本技術では、映像データを高画質なまま細切れに管理し、細切れの一部分のみを伝送することで通信パケット量を節約します。詳細な映像を見たい時は表示モードを切り替えることで、即座にすべての映像データを伝送してなめらかで鮮明な映像を表示させることで、全体の通信量を抑えながら詳細なリアルタイム監視を実現しました。
伝送帯域に制約がある場合は、一度細切れの一部分を表示した後に巻戻し再生を繰り返すことでカメラ側に記録された未送信の映像データを段階的に伝送し、なめらかな映像に近づけることも可能です。また、従来技術のように、通信量を減らすために圧縮処理をし、低画質映像にする必要がないため、圧縮処理に起因する処理負荷や画質劣化がありません。そのため、クラウドサーバーのコストが抑えられ、画像認識技術の活用にも適しています。

また、当社の本技術を搭載したシステムを、標準準拠の映像コーデック、ブラウザー、ウェブサーバーを用いて低コストで開発し、スムーズに動作することを実証しました。一般的なカメラに搭載されているH.264/AVC標準エンコーダーなどをそのまま活用することができ、また、パソコン、タブレット、スマートフォンのHTML5標準ブラウザーで特別な拡張機能などを必要とせずに再生することができます。

当社は、本技術の実用化を早期に目指します。さらに、AIなどを用いた画像認識技術を活用し、多数のカメラからの映像の中から必要に応じ、即座に必要なだけ鮮明な映像を収集し、解析する遠隔映像監視システムを実現に向けて研究開発を進めていきます。

注1
細切れの映像データを必要な部分のみ伝送表示するシステムアーキテクチャ

 


多数のカメラ映像を詳細かつ低コストに遠隔からライブ監視可能
通常は間欠表示で通信パケット量を節約、詳細な映像を見たいときは即座になめらかに表示

 

■「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2018」のご案内

   2018年11月8日(木)、9日(金)に、グランドニッコー東京 台場にて「TOSHIBA OPEN
   INNOVATION FAIR 2018」を開催いたします。
   展示会場内でデモを交えた本件の展示行う予定です。
   ・https://www.toshiba-iotfair.com/index_j.htm