ニュースリリース

西日本鉄道新型車両向け電気品受注について

2016年02月05日

 当社は、西日本鉄道株式会社(以下、西日本鉄道)の新型9000形車両向けに、全閉型誘導電動機注1(以下、全閉IM)とVVVF注2インバータ装置を組み合わせた駆動システムをはじめとする電気品一式を受注しました。2016年5月から順次出荷を開始し、本システムを搭載した新型車両は2017年3月から運転が開始される予定です。

 受注したのは、天神大牟田線に導入される新型9000形車両18両に搭載される全閉IMとVVVFインバータ装置を組み合わせた駆動システム、補助電源システム、空調装置、自動列車停止装置(ATS)注3などの主要な電気品一式です。新型9000形車両は、西日本鉄道の最多車形である5000形の老朽化に伴う置き換え車両として導入されます。

 全閉IMは省エネ性能に優れた高効率のモーターで、全閉構造により内部清掃が不要のため、メンテナンスの簡素化を実現しています。VVVFインバータ装置は、1台の装置内に3台のインバータユニットを搭載する当社独自のトリプルモード主回路を採用しています。トリプルモード主回路は、2台のインバータユニットが駆動システムを、もう1台が空調などに電力を供給する補助電源システムを制御しています。3台のうち1台が故障するといった非常時にも、他の2台がそれぞれのシステムの性能を落とすことなくバックアップとして機能するため、安定した運転に貢献します。

 今回のトリプルモード主回路には、当社が独自に開発、製造した高温動作が可能なSiC注4ダイオードを採用し、省エネルギー化と小型化を実現しました。また、実装スペースが限られる2両、3両編成で構成される9000形のどちらの編成にも搭載することができます。さらに、車両数によって異なることが多いインバータ装置の個数や実装場所が共通化できるため、メンテナンスの簡素化も実現しています。

 今回の受注は、SiCダイオードを採用した駆動システムを現在の西日本鉄道の最新車両である3000形車両に搭載して行った事前評価や、3000形向けに電気品一式を納入した実績などが評価されたものです。

 当社は今後も、高水準の省エネ性と安全性を持ち、ライフサイクルコストの低減を可能にする顧客満足度の高い製品を国内外で展開し、環境への配慮と信頼性を両立した鉄道交通の実現に貢献していきます。

注1
誘導電動機:Induction Motor
注2
可変電圧可変周波数制御:Variable Voltage Variable Frequency
注3
自動列車停止装置:Automatic Train Stop
注4
シリコンカーバイド:Silicon Carbide

 西日本鉄道の新型9000形(車両のデザインは川崎重工業㈱による)

 

西日本鉄道の新型9000形(車両のデザインは川崎重工による)