ニュースリリース

超臨界COサイクル火力発電システムの燃焼器実圧燃焼試験に成功

― ゼロエミッション火力発電の実現に向け前進 ―
2013年08月01日

 当社は、現在開発中の超臨界注1COサイクル火力発電システムにおいて、重要部品であるガスタービン用燃焼器の目標圧力(300気圧)での実圧燃焼試験に成功しました。今回成功した燃焼試験は、米国カリフォルニア州の試験機関の設備を利用して当社が2013年1月に開始し、燃焼器の圧力を段階的に上げて燃焼特性の評価を行ってきたものです。今回の燃焼試験の成功により、本システムの実現に向け大きく前進しました。

 超臨界COサイクル火力発電システムは、既存のガスコンバインドサイクル発電システムと同等の発電効率を有しながら、COを分離・回収する設備を別に設置することなく、高純度の高圧COを回収することができるシステムです。また、燃料である天然ガスの燃焼には空気の代わりに酸素を用いるため、燃焼による窒素酸化物も発生しない環境調和型の火力発電システムを実現することができます。

 当社は米国のネットパワー社、シカゴブリッジアンドアイアン社、エクセロン社との4社で2012年6月に本システムを共同開発することに合意し、重要部品である高温・高圧のタービンおよび燃焼器の開発を担当しています。
 本システムの開発に際しては、以下の3つのステップを重要なマイルストーンとして位置づけ、推進してきました。

1.超高圧・高温燃焼器の開発および燃焼試験
2.25MW級 パイロットプラントの設計、建設および実証試験
3.250MW級 商用機の設計と販売

 既存のガスタービン発電設備は20気圧程度の圧力で燃焼させるのに対し、今回の超臨界COサイクル火力発電システムでは300気圧での燃焼を目標としていました。そのため高温・高圧のガスタービン燃焼器の実現が大きな課題となっていましたが、ここでの燃焼試験の成功で開発の第一のステップを達成したことになります。
 4社は今後、パイロットプラントを米国内に2015年に建設し、実証試験を経た上で2017年に250MW級プラントの商用化を目指します。

 当社は今後、EOR注2のニーズの高い米国や中東地域等で、本システムの事業展開を図るとともに、石炭ガス化発電システムへの適用による燃料多様化への対応、LNG受入れ設備への併設によるプラント効率向上等を検討し、環境調和性の高い本システムの提案を通じて、エネルギーの最適活用と地球温暖化防止に貢献していきます 

注1
気体と液体の境界がなくなり、気体と液体の中間的な性質を持つ状態。CO の場合、31℃、74気圧より高温、高圧の領域で超臨界状態となる。
注2
EOR :Enhanced oil Recovery 
老朽化した油田の掘削現場において、高圧のCO を注入し、石油採掘量を増大させる手法。EORではCO を約100気圧以上の圧力に高める必要があるが、超臨界CO 発電システムでは直接300気圧の圧力で取り出すことが可能。

 

システムの概要

 超臨界COサイクル火力発電システムは、CO、天然ガスおよび酸素を注入して燃焼させて発生した高温ガスでタービンを回転させて発電します。その後、タービンから排出された燃焼ガス(COと蒸気)は、熱交換器を経て冷却され、水分を分離した後、高圧ポンプで圧縮されます。大部分のCOは燃焼器へ循環されますが、燃焼により発生したCO分はそのまま回収することができます。

システムの構成図

システムの構成図