ニュースリリース

エンタープライズ向けSSDの商品化について

エンタープライズ向けストレージデバイスを総合的に提供できる体制を構築
2010年12月14日
「MK4001GRZB」の写真
「MK2001TRKB」の写真


 当社は、エンタープライズ向け2.5型ソリッドステートドライブ(以下、SSD)として400GB記憶容量の「MK4001GRZB」など3機種を商品化し、2010年度第4四半期(2011年1~3月)からサンプル出荷を開始します。また、併せて当社初のエンタープライズ向け大容量3.5型ハードディスクドライブ(以下、HDD)を商品化することで、データセンターやサーバーを築くために必要なストレージデバイスを総合的に提供できる体制を構築しました。

 新商品「MK4001GRZB」シリーズは、当社が基本技術を開発したNAND型フラッシュメモリ技術と富士通株式会社から譲り受けた注1エンタープライズ向けHDDの技術を融合した商品です。NAND型フラッシュメモリを記憶媒体に使用することでエンタープライズ向け高速回転HDDに比べ3倍以上高速な読み出しが可能注2なため、搭載されたサーバーやストレージシステムのデータ処理性能向上に貢献できます。また、NAND型フラッシュメモリ部門を社内に持つことで、信頼性の高いエンタープライズ向けSSDを提供できます。

 さらに、当社として初めて、サーバーやストレージシステムの中で大容量のデータを保存するストレージデバイスに最適なエンタープライズ向け大容量3.5型HDDを商品化しました。2010年度第4四半期(2011年1~3月)から、SASインターフェースで2TBの「MK2001TRKB」と1TBの「MK1001TRKB」の量産を開始し、SATAインターフェースで2TBの「MK2002TSKB」と1TBの「MK1002TSKB」のサンプル出荷を開始します。

 当社は、従来から注力しているエンタープライズ向け高速回転2.5型HDDのラインアップに、今回、頻繁なデータアクセスに適した高速処理のエンタープライズ向けSSDと、大容量3.5型HDDを加えることで、データセンターやサーバー向けの階層化ストレージを構築するために必要なストレージデバイスを総合的に提供していきます。また、SASインターフェースに対応した大容量3.5型HDDを持つことにより、階層化ストレージのすべての階層のストレージデバイスをSASインターフェースで提供することが可能です。

注1
当社は、2009年10月1日に、富士通株式会社からのハードディスクドライブ事業の譲受けを完了し、新しい体制でHDD事業をスタートしました。
注2
「MK4001GRZB」の連続読み出し速度が510MB/s。従来の当社製高速回転HDD「MBE2147RC」(2.5型HDD、15,000回転、147GB)の連続読み出し速度(サステインド)が約140MB/s。

エンタープライズ市場における階層化ストレージのイメージ図

エンタープライズ市場における階層化ストレージのイメージ図

新商品の概要 

【エンタープライズ向け2.5型SSD】

型名

記憶容量

特長

MK4001GRZB

400GB

4kBランダム読み出し(サステインド)

90,000 IOPS注3

4kBランダム書き込み(サステインド)

17,000 IOPS

MK2001GRZB

200GB

MK1001GRZB

100GB

 

注3
Input Output Per Secondの略。1秒間に可能なリード、ライトの処理の回数を表すもの。数値が高いほど処理能力が高くなります。

【エンタープライズ向け大容量3.5型HDD】

型名

 

記憶容量

インターフェース

回転数

MK2001TRKB

2TB

SAS-2.0

7,200rpm

MK1001TRKB

1TB

SAS-2.0

MK2002TSKB

2TB

Serial ATA 2.6

MK1002TSKB

1TB

Serial ATA 2.6

商品化の背景と狙い 

今後クラウド化注4の進展により、ノートPC、スレート型タブレットPCなど個人の所有する機器に搭載されたストレージデバイスに記録されていたデータは、次第にネットワークの先にあるデータセンターやサーバーのストレージシステムの中に記録されるようになります。この中で使用されるストレージシステムに、パフォーマンスと記憶容量が異なる数種類のストレージデバイスを複数個、階層的に組み合わせて構成することで、システム全体のパフォーマンス、消費電力、コストのバランスを最適化することが可能になります。

そこで、当社は今回、高速なデータの読み書きに適したエンタープライズ向けSSDとデータストレージに適した大容量の3.5型HDDを商品化することで、従来から注力しているエンタープライズ向け高速回転2.5型HDDと共に、階層化されたストレージシステムを構築するために必要なストレージデバイスを総合的に提供できる体制を整えました。

また、当社はデジタル化社会の中で創造される情報は年々その量が増大し、データの保存媒体として、HDDとNAND型フラッシュメモリに代表される不揮発性メモリが共存していくと考えています。当社は今後もPC用、コンシューマエレクトロニクス用、車載用、エンタープライズ用などそれぞれの用途でのニーズに応えるHDD、SSDの商品を総合的に提供していきます。

注4
クラウドとは、クラウドコンピューティングによって提供されるサービスの総称です。クラウドコンピューティングでは、サーバー同士は連携し、クラウド(雲)と呼ばれる一つのコンピュータリソースとして捉えられます。従来のコンピュータ利用は、企業や個人がコンピュータのハードウェア、ソフトウェア、データなどを保有・管理していましたが、クラウドコンピューティングではユーザーはインターネット側からサービスを受けることができます。

新商品の主な特長 

【エンタープライズ向け2.5型SSD】

1.高速データ処理を実現

記憶媒体として32nm注5のSLC NAND型フラッシュメモリを採用することにより、連続読み」出し速度510MB/sを実現し、従来の当社製高速回転HDD「MBE2147RC」(2.5型HDD、15,000回転、147GB、連続読み出し速度(サステインド)、約140MB/s)に比べて3倍以上高速になりました。また、4kBランダム読み出しについては90,000IOPSとなり、HDDに比較して約300倍の読み出し性能になっています。

注5
nm :ナノメートル。10億分の1メートル。

2.軽量、低消費電力を実現

NAND型フラッシュメモリの採用により、商品質量は152gと軽量になっており、当社製の高速回転HDD「MBE2147RC」(2.5型HDD、15,000回転、147GB、質量220g)と比較して、約30%の軽量化を実現しました。また、ランダム読み出しの性能向上により、電力消費効率(ランダム読み出し/消費電力)の値が13,800IOPS/Wという高い効率を実現しています。

3.業界最大クラスの大容量を実現

「MK4001GRZB」は400GBの大容量を持ち、エンタープライズ向け2.5型SSDでは業界最大クラスの記憶容量となっています。

【エンタープライズ向け大容量3.5型HDD】

1.業界最大クラスの大容量を実現

SASインターフェースの「MK2001TRKB」とSATAインターフェースの「MK2002TSKB」はともに2TBの記憶容量を持ち、エンタープライズ向け大容量HDDとして、業界最大クラスとなっています。

2.低消費電力を実現

大容量化により、エネルギー消費効率注6が「MK2001TRKB」と「MK2002TSKB」で0.0035となっており、当社製エンタープライズ向け高速回転HDDの中での最大容量のモデル「MBF2600RC」(10,025回転、2.5型HDD、600GB、エネルギー消費効率0.0059)と比較して、約40%改善しました。

注6
省エネ法(正式名:エネルギーの使用の合理化に関する法律)で定める測定方法により測定した消費電力を省エネ法で定める記憶容量で除したものです。

【共通】

1.環境への配慮

(1)RoHS指令に適合
2006年7月施行のEU(欧州連合)RoHS指令に適合しています。

(2)ハロゲンフリー、アンチモンフリー
今回発表のすべての機種において、塩素および臭素を対象とし、それぞれの濃度を自主基準値以下(それぞれ900ppm以下で、合計1,500ppm以下)に管理しています。さらに、アンチモンも1,000ppm以下に管理し、アンチモンフリーも実現しました。

当社グループの環境ビジョンについて

当社グループは、「地球内企業」として持続可能な地球の未来に貢献するため、「東芝グループ環境ビジョン2050」を策定し、総合環境効率を2000年度基準で2050年度までに10倍に高める目標を掲げています。この実現に向け、「東芝がモノを作るときのエコ“Green of Process”」、「東芝の作る製品がエコ“Green of Product”」、さらに、効率の高いエネルギー供給機器の開発などの「環境技術で貢献するエコ“Green by Technology”」、の3つのGreenで地球との共生や豊かな価値の創造のための取り組みを行っていきます。当社グループは、こうした環境への取り組みを一層加速するとともに、広く訴求するため、「ecoスタイル」をグローバル統一ブランドと定めています。詳細は以下をご覧ください。
URL: http://www.toshiba.co.jp/env/jp/management/vision2050_0_j.htm

新商品の主な仕様 

【エンタープライズ向け2.5型SSD】

MK4001GRZB

MK2001GRZB

MK1001GRZB

NANDプロセス

32nm SLC

容量

400GB

200GB

100GB

セクターサイズ

512B, 520B, 528B

インターフェース

SAS 6Gbps, Dual port

連続読み出し(サステインド)

510MB/s

連続書き込み(サステインド)

230MB/s

4kBランダム読み出し(サステインド)

90,000 IOPS

4kBランダム書き込み(サステインド)

17,000 IOPS

製品寿命

5年

総書き換えデータ量(4kBランダム)

製品寿命内で制限なし

8PB

外形寸法(W×D×H mm) 

69.85 × 100.0 × 15.0

質量

152g

平均消費電力

6.5W(+12V/+5V)

電力消費効率(ランダム読み出し/W)

13,800 IOPS/W

耐振動性

動作時

9.8 m/s2(1G) 

非動作時

49 m/s2(5G)

耐衝撃性

動作時

9,800 m/s2(1,000G、0.5ms,1/2sine)

非動作時

9,800 m/s2(1,000G、0.5ms,1/2sine)

環境周囲温度

動作時

0 ~ 55℃

非動作時

-40 ~ 70℃

【エンタープライズ向け3.5型HDD】

MK2001TRKB

MK1001TRKB

MK2002TSKB

MK1002TSKB

記憶容量

2TB

1TB

2TB

1TB

ディスク枚数

4

2

4

2

ヘッド数

8

4

8

4

平均シーク時間

読み出し

8.5 ms

8.5 ms

書き込み

9.5 ms

9.5 ms

インターフェース

SAS-2.0

Serial ATA 2.6

インターフェース速度

1.5Gbps, 3.0Gbps, 6.0Gbps

1.5Gbps, 3.0Gbps

回転数

7,200 rpm

バッファ容量

16 MB FIFO ring buffer

64 MB FIFO ring buffer

外形寸法(W×D×H mm)

101.6 × 147 × 26.1

質量

800g max.

エネルギー消費効率

0.0035

0.0070

0.0035

0.0070

区分名

C

B

C

B

消費電力

Idle B

7.0 W typ.

Ready(Idle A)

9.0 W typ.

Idle C

6.0 W typ.

騒音

30 dB

耐振動性

動作時

7.35m/s2(0.75G、5-300Hz)

2.45m/s2(0.25G、300-500Hz)

非動作時

49m/s2(5.0G、5-500Hz)

耐衝撃性

動作時

686m/s2(70G, 2ms duration)

非動作時

2,940m/s2(300G, 2ms duration)

1メガバイト(MB)は1,000,000バイト、1ギガバイト(GB)は1,000,000,000バイト、1テラバイト(TB)は1,000,000,000,000バイト、1ペタバイト(PB)は1,000,000,000,000,000で計算しています。

お客様からの商品に関するお問い合わせ先:

HDD事業部
TEL : 03(3457)2445