ニュースリリース

業界初注1の補助スピーカを用いた「音忠実再生技術」の開発について

小型・薄型AV機器搭載スピーカの高音質化に貢献
2009年03月16日

 当社は京都大学大学院工学研究科 都市環境工学専攻 伊勢史郎准教授、有限会社アクティモ注2と共同で、補助スピーカを用いることにより、電気音響変換器の元来の目的である、原音注3を忠実に再生する「音忠実再生技術」を開発しました。

 今回開発した技術は、音忠実再生のアプローチの中でも時間領域注4の改善に着目したものです。音忠実再生のアプローチは、時間領域改善と周波数領域注5改善の二つの方式に区分されますが、従来のアプローチの多くは周波数領域の改善に着目したもので、イコライザ等に代表される周波数特性の調整(低音から高音までのフラット化、好みのバランス調整)が一般的でした。

 本技術は筐体部分・支持部分の剛性不足によりメインスピーカから発生した原音以外の音を、メインスピーカに付与した補助スピーカから発生させる逆位相の音により打ち消し、忠実な原音の再生を可能とします。補助スピーカの制御方式としては、原音パルス波形注6のみを残すインパルス応答最適化制御により,スピーカ出力波面を時間領域で忠実に整形できることが特長です。

 通常、標準筐体のスピーカでは全体の約4割程度の原音以外の音が発生しており、薄肉ABS筐体(一般的に小型・薄型AV機器に使用される筐体)からもそれと同等以上の原音以外の音が発生しますが、本技術ではその原音以外の音を90%以上低減させることを基礎実験により確認しました。さらに、この結果として周波数領域のフラット化についても、従来のイコライザ等による周波数領域の改善と比べ、同等以上の効果が実現できることを確認しました。


 

音忠実再生技術の図


 

 今後は、製品搭載へ向けての課題解決を中心とした研究開発に取り組む予定です。なお、本成果については、3月17日から開催される日本音響学会2009年春季研究発表会において発表する予定です。

注1)   2009年3月16日現在

注2)   京都大学ベンチャー企業

注3)   入力した電気信号と同じ波形の音響信号

注4)   横軸を時間にして時々刻々変化する音の波形を観測する方式

注5)   横軸を周波数にして音の高低バランスを観測する方式

注6)   インパルス応答波形の中から原音以外の波形を除去した入力電気信号に近い波形