ニュースリリース

データの高速処理を可能としたオーディオ制御マイコンについて

144MHz動作で、より高速な曲情報の検索などが可能
2009年01月07日

 

オーディオ制御マイコンの写真


当社は、ARM社の組み込み32ビットRISC CPU「CortexTM-M3」コアを搭載し、144MHz注1(180DMIPS 注2)動作を実現した、デジタルオーディオ機器制御に最適な汎用マイコン「TMPM320C1DFG」を製品化しました。本製品は、3月下旬からサンプル出荷を行い、7月から量産を開始します。

 

新製品は、「CortexTM-M3」コアおよびメディアインターフェースとしてHi-Speed USB/SDカードのホストコントローラを、またメモリとして大容量320KバイトのSRAMと1Mバイトの混載DRAM(eDRAM)を1チップに搭載しました。

 

処理性能の高い「CortexTM-M3」コアおよび当社独自のバスアーキテクチャにより、低消費電力でかつ大量のデータを短時間に処理することが可能となります。例えば、音楽データの中に含まれる曲、アーティスト、アルバム等の情報をデータベース化し、目的の曲情報をより高速に検索することができます。処理動作の最速時(144MHz)には1000曲のデータベースを約30秒注3で構築できます。

SDカードホストコントローラはSDA規格Ver2.00に準拠しており、CPRM注4技術を使用した著作権保護コンテンツを扱うこともできます。また、混載DRAMを1チップに搭載することにより、基板の縮小化、低ノイズ化に寄与します。

 

当社では、今後も処理性能の高いARM社のコアを採用した製品を幅広く展開することで、マイコン市場におけるシェア拡大を目指します。

 

注1 ARM社公表のCortex-M3プロセッサ性能- 1.25DMIPS/MHz

注2 DMIPS:Dhrystone Million Instruction Per Second

注3 ID3タグVer1.1のMP3データを当社で計測した結果。

注4 CPRM:Content Protection for Recordable Mediaの略でSDカードに使用される著作権保護技術。 

新製品の概要

 

品番

サンプル価格(税込)

サンプル出荷時期

量産開始時期

量産規模

TMPM320C1DFG

1500円

3月下旬

7月

月産70万個

製品化の背景と狙い

近年のカーオーディオやミニコンポなどのデジタルオーディオ機器は、USBコネクタやSDカードスロットを搭載した機種が増加し、携帯音楽プレーヤー等のポータブル機器から音楽データや画像等を取り込むシステムが普及しています。メモリの大容量化が進むにつれ、ポータブル機器は、大量の楽曲などを保存できるようになりました。

そのためデジタルオーディオ機器にはポータブル機器などと接続した際に、目的の曲情報を素早くデータベース化し簡単に検索できる機能や、画像を表示する機能が求められています。一方で、近年のデジタルオーディオ機器の高機能化に伴い、製造コストの上昇も課題となっておりました。

そこで当社は、これらの問題を解決するため、高速にデータベース処理が可能で、DRAM等の周辺デバイスを1チップに集積した新製品を発売します。

新製品の主な特長

1.ARM社 「CortexTM-M3」コアおよび当社独自のバスアーキテクチャを搭載

優れた割り込み応答性や低消費電力等、組み込み制御に適し、処理性能の高いCPUを搭載しています。また、「CortexTM-M3」コアの性能を生かす、CPUやメモリなどを網目状に相互に接続したクロスバータイプのバスアーキテクチャを採用しながら、高速かつ消費電力の増加をおさえたSRAMを新規開発しました。これにより144MHz(180DMIPS) 動作を実現し、情報をより早く検索することができます。

 

2.USB2.0 (Hi-Speed、Full-Speed対応) ホストコントローラを搭載

Hi-Speed対応USBホストコントローラを搭載することにより480Mbpsの転送速度を生かした高速なメディア処理が可能となります。

 

3.CPRM対応 SDホストコントローラを搭載

CPRMに対応しているため、著作権保護機能に対応したコンテンツを取り扱うことが可能です。

 

4. 当社オリジナルの1MByteの混載DRAMを搭載

1MByteの混載DRAMを1チップに混載することにより、基板面積を縮小し、低ノイズ化に寄与します。また、ユーザーにとってはDRAMの供給問題を解決することができます。

 

5. SWD注5によるオンチップデバッグ方式を採用

一般的にオンチップデバッグで使われるJTAG方式に比べピン数を削減することが可能です。JTAG方式と比べても機能的な差はなく、この方式によりデバッグシステムをシンプルにするとともに、汎用ポート数を増加させることができます。

 

注5 SWD Serial Wire Debugの略でARM標準の2線方式によるデバッグインターフェース

新製品のおもな仕様

 

品番

TMPM320C1DFG

コア

ARM CortexTM-M3コア(32ビットRISC CPU)

電源電圧

Core/Logic 1.1~1.3V

I/O 3.0~3.6V

動作周波数

144MHz(12MHzの12逓倍)

(180DMIPS)

内蔵ROM/RAM

ROM Less

SRAM 320KB

eDRAM 1MB

メモリ空間

16MBまでのリニアアドレス

内蔵周辺機能

USB2.0(HS、FS対応)ホストコントローラ

1チャネル

SDホストコントローラ

1チャネル

16ビットタイマ/PWM

 

8チャネル

/4チャネル

ウォッチドッグタイマ

1チャネル

10ビットADコンバータ

4チャネル

メモリコントローラ

2チャネル

DMAコントローラ

8チャネル

SSP(SPI/MicroWire)

4チャネル

UART

4チャネル

I2Cバス

2チャネル

外部割り込み端子

4チャネル

オンチップデバッグ機能(SWD)

1チャネル

トレース機能(ETM)

1チャネル

I/Oポート数

55本

パッケージ

LQFP144

(20mm×20mm, 0.5mm pitch)

新製品に関するお問い合わせ先:

システムLSI営業推進第二部
TEL : 03(3457)3459