最先端LSI向け不純物解析の新技術について

2007年4月16日

SSRM方式で世界最高精度1nmを実現

 当社は、LSIの解析に用いる走査型拡がり抵抗顕微鏡(SSRM)の新技術として、素子の性能を左右する電荷キャリアの分布を約1nmの高精度で解析できる技術を開発しました。

 本技術は、不純物から生じる電荷キャリアの分布と素子の短絡不良との関係を詳細に分析できるため、プロセス改善につながります。また、従来5nm程度であったSSRMの精度限界を打開し、同技術では世界最高精度を達成するもので、45nm世代以降のLSIへの適用に道を開く成果です。

 45nm以降のLSIでは、不純物キャリア分布のわずかな差異が素子の漏れ電流増大などにつながるため、チャネル部分の電荷キャリア濃度などを1nm級の精度で制御する必要があります。

 SSRMは、素子断面に計測針を当てて内部抵抗を精査する手法で、短時間で電荷キャリアの分布を二次元的に解析できる有力技術ですが、精度が約5nmにとどまる課題がありました。

 今回、計測精度の低下につながる水蒸気の影響を防ぐため、真空状態で計測する手法を取り入れたほか、計測針と試料の接触圧力を精密に制御しました。さらに、計測制御や測定回路を最適化した結果、SSRMで世界最高となる約1nmの高精度解析を実現しています。

 本技術は、LSI素子の2次元電荷キャリア分布の計測において、高精度・高効率の両立を可能とするもので、当社はすでに本成果を45nm以降のLSI開発に適用しています。

 なお、本技術については、4月15日から米国アリゾナ州フェニックスで開催される半導体の信頼性に関する国際学会IRPS(International Reliability Physics Symposium)において、4月19日(現時時間)に講演を行います。

(ご参考)

45nm世代対応トランジスタのSSRM像

従来はほとんど検出できなかった電荷キャリアの分布を細かな濃淡で観察できる(明るい色ほど導電性が高い)

SSRM測定原理図

導電性ダイヤモンドコーティング探針で試料断面をスキャンすることにより、試料内部における2次元電流分布が計測でき、電化キャリア濃度分布に直接変換することが可能。


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