ウェスチングハウス社株式取得の完了について

2006年10月17日

 10月16日(米国東部時間)、当社は英国原子燃料会社(British Nuclear Fuels.plc:以下、BNFL)のグループ会社であるBNFL USA Group Inc.およびWestinghouse Electric UK Limited(以下、両社を併せてウェスチングハウス社)の株式の取得に関する手続きを完了し、ウェスチングハウス社は東芝グループの一員となりました。

 世界の原子力発電設備および燃料関連事業で豊富な実績を持つウェスチングハウス社をグループ会社化することは、当社がグローバルなエネルギー関連事業を展開する上で極めて重要な意義を持ちます。
両社がそれぞれの原子力事業で得意とする分野を最適に組み合わせて相互補完関係を構築することにより、世界トップクラスのグローバル原子力グループを形成し、沸騰水型原子炉(以下、BWR)*1、加圧水型原子炉(以下、PWR)*2の両方式を推進するリーディングカンパニーを目指します。

 当社はウェスチングハウス社の株式取得の実行にあたり、米国と英国に持株会社*3を設立し、当該株式の77%(4,158百万米ドル)を有することで、経営権を確保するとともに、戦略的共同パートナーとして、The Shaw Group Inc.(ショー・グループ:以下、Shaw)と石川島播磨重工業株式会社(以下、IHI)が、それぞれ20%(1,080百万米ドル)と3%(162百万米ドル)を出資しています。パートナーの選定にあたっては、(1)長期的な視点での事業戦略の整合性、(2)共通したビジョン、(3)事業面における補完関係・シナジー効果の確保の観点から検討を進めてきました。
なお、パートナーの選定については、今後も引き続き、候補企業との調整を継続していきます。

 ウェスチングハウス社については、これまでの経営体制と方針を尊重し、引き続き独立性を保持した事業運営が行われます。また、当社およびパートナー企業とのシナジーが最大限にはかられるよう体制を強化し、さらなる事業の拡大を目指します。

*1

沸騰水型原子炉 Boiling Water Reactor (BWR) 米国ゼネラルエレクトリック社(GE)が開発、実用化した炉型

*2 加圧水型原子炉 Pressurized Water Reactor (PWR) 米国ウェスチングハウス社(WH)が開発、実用化した炉型
*3 Toshiba Nuclear Energy Holdings (US) Inc.およびToshiba Nuclear Energy Holdings (UK) Limited.

株式取得の意義 

 現在、世界各国において、電力の安定供給と地球温暖化防止の観点から、原子力発電プラントの新規建設や既設プラントのさらなる有効活用などに対する需要が急速に高まっています。欧米では新規建設を再開する機運が高まり、中国をはじめ高い経済成長を続けるアジア地域でも多くの新規建設が計画されています。世界で稼動中の原子力発電プラントは、現在439基ありますが、21世紀の省資源・循環型社会に適した原子力発電に対する需要は着実な伸長が予想され、2020年までに世界の原子力需要は130ギガワット(原子力発電所約130基相当分 1基当り1ギガワット換算)程度拡大すると見込まれています。
  このような背景のもと、日本市場を中心にBWRに強みを持つ当社の原子力事業と、世界市場においてPWR事業を中心に強みを持つウェスチングハウス社が協力関係を構築することによって、製造、販売、技術面で両社の補完関係が成り立ち、さらに、従来、両社がそれぞれ単独では手がけることが困難だった新たな事業領域にも進出することで相乗効果を発揮することができます。
  ウェスチングハウス社を当社のグループ会社化することにより、当社原子力事業の規模は、現在の約2000億円から、2015年には約7000億円、2020年には約9000億円に拡大するものと予想しています

運営方針と体制について 

 ウェスチングハウス社の運営に関する方針は、(1)当社による経営権の確保、(2)パートナー企業との補完シナジーの最大化、(3)ウェスチングハウス社のこれまでの経営体制・方針の尊重です。
運営体制は次の通りです。

(1) 当社は、米国と英国の持株会社*1の取締役会において、出資比率に応じた議決権を有することで、ウェスチングハウス社に対する経営権を確保します。持株会社*1の取締役会長には、庭野征夫(当社 取締役 代表執行役副社長)が就任します。
(2) 持株会社*1の取締役会の諮問機関としての「オーナーボード」を新設します。「オーナーボード」は、当社、Shaw、IHIの代表者から構成され、パートナー間の意見を調整し、取締役会への諮問を行います。
「オーナーボード」の議長には、庭野征夫(当社 取締役 代表執行役副社長)が就任します。
(3) ウェスチングハウス社の中核をなすWestinghouse Electric Companyは、これまでと同様に、米国に本社を置く独立した会社として運営されます。
最高経営責任者には、Steve Tritch が留任します。
(4) Westinghouse Electric Companyの取締役会は、Westinghouse Electric Companyの3名、当社の4名(うち、2名は非常勤)で構成されます。
(5) 当社、パートナー企業、ウェスチングハウス社で相互補完関係を成立させシナジーの拡大を図るため、Westinghouse Electric Companyに「コーディネーションオフィス」を新設し、当社およびパートナーから人材を派遣します。また、「チーフコーディネーションオフィサー」を置き、当社から人材を派遣します。
(6) 当社の電力システム社については、これまでBWR事業を推進してきた「原子力事業部」が引き続きBWR事業の更なる発展を図るとともに、「WEC統括事業部」を新設し、Westinghouse Electric Companyの「コーディネーションオフィス」と連携していきます。
*1 Toshiba Nuclear Energy Holdings (US) Inc.およびToshiba Nuclear Energy Holdings (UK) Limited.

Westinghouse Electric Companyの概要 

創業 1886年
最高経営責任者 Steve Tritch
売上高 約20億米ドル*1
従業員数 約9,000人*1
本社所在地 米国ペンシルバニア州
*1 Westinghouse Electric Companyを含むウェスチングハウス社の売上高および従業員数

プレスリリース記載の情報(製品価格/仕様、サービスの内容、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。最新のお問い合わせ先は、東芝全体のお問い合わせ一覧をご覧下さい。