半導体回路技術を用いたDNAチップの開発について 2004年11月30日
当社は、半導体に幅広く使用されているCMOS(相補型金属酸化物半導体)集積回路技術を用いることにより、高感度の検出能力と小型化を実現したDNAチップを開発しました。これにより、既に当社が開発済みの感染症や薬物の副作用判定チップに加え、がんなどの重篤な疾病の発症や進行度のモニタリング等、新たな検査項目に対応したチップの開発が可能になります。 現在市販されているDNAチップは、SNPs*1や遺伝子の発現解析(mRNA*2の定量的変化)などを中心に、主に研究用途に使用されています。最近この発現解析の技術を用いて、がん発症の初期診断や治療の予後を予測することができるようになってきました。このような定量解析にDNAチップを使用するには、既存のDNAチップの感度、再現性、定量性をさらに向上させた高感度DNAチップが必要です。DNAチップによる定量的で簡便な遺伝子発現の解析が実現すれば、疾病発症の予測診断が可能となり、健常人に対する疾病のモニタリングが実現し、新たなDNAチップの市場を切り開くことができます。 今回開発したCMOS型DNAチップ内部には、DNAセンサ各々に専用の信号検出用CMOS回路が接続されており、微量なDNAに起因する微弱な電気信号でも、雑音の影響を受けることなくチップ内部で検出・増幅ができます。このため、従来の、CMOS回路を内蔵していないDNAチップに比べ、低い濃度の検体でも検出が可能となり、これまで一定の濃度を確保するために必要とされた遺伝子増幅工程*3が大幅に簡略化できます。将来的には、遺伝子増幅を行わずに検体の検査が可能となり、高感度で定量的な遺伝子発現の解析が実現します。 今後は、医療機関との連携により、解析する遺伝子の最適化を進めながら、検出感度の更なる向上、信頼性の向上を図り、DNAチップによる疾患発現解析の実現に向けた開発を進めていきます。 なお、今回の開発に関しては、12月1日から3日に幕張メッセで開催されるセミコン・ジャパン2004にて、開発コンセプトに関する展示が行われます。 開発のポイント 従来の自動検査装置におけるチップと測定系との関係 今回開発したCMOS型チップと測定系との関係
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