SDカードを利用したデジタル著作権保護技術の開発について

2003年7月17日

デジタルコンテンツの安全な配布を実現し、コンテンツの流通を促進

 当社は、SD(セキュア・デジタル)カードの持つ著作権保護の機能を利用してSDカードに記憶させた「鍵」と、対応するビューワソフトを組み合わせることで、音楽や映像、書籍といったデジタルコンテンツを、違法コピーから守り、安全に流通させることができる、新しいDRM(Digital Rights Management)システムを開発しました。
 今後、コンテンツ配信事業者向けに商品化を進め、「著作権の保護」と「ユーザの利便性」を同時に満たすシステムとして提供することで、良質なデジタルコンテンツの流通の促進と市場の拡大を図っていきます。

 今回当社が開発したDRMシステムの技術的な特長は、SDカードの持つ著作権保護機能と、1枚毎に固有な識別番号(ID)を利用して、コンテンツを開くための「鍵(権利)」そのものを暗号化した安全な「鍵」を作成することと、この「鍵」とコンテンツ自体を切り離して配布することにあります。
 これにより、コンテンツのユーザへの配布は、CDやDVDの送付や、インターネットによるダウンロード、超流通システムなど、どのような方法をとることも可能となり、コンテンツの配信を行なう事業者と、コンテンツを購入するユーザの双方にとって利便性が向上します。

 また、従来は個人の認証をPCやPDAといった情報機器それぞれが持つ固有のIDに依存していたため、認証された機器でしかコンテンツの利用ができませんでしたが、本システムでは個人の認証にSDカードに保存された「鍵」を使うので、ユーザは「鍵」を保存したSDカードさえあれば、購入したコンテンツを複数の情報機器で利用することができます。

 このシステムでは、暗号化されたコンテンツと、やはり暗号化された「鍵」が揃うことではじめて、コンテンツを解読展開して閲覧が可能になるという仕組みとなっており、配布されるコンテンツ自体をコピーしても「鍵」が無ければ利用することができません。コンテンツ自体は超流通システムの拡張として、個人と個人による配布も可能となります。また、SDカードに記憶させる「鍵」も、SDカード1枚ごとの固有の識別番号(ID)に関連付けて暗号化しますので、もし「鍵」の情報をコピーしたとしても、SDカードそのものが無ければ「鍵」として機能せず、やはりコンテンツを利用することができません。

*超流通システム: デジタルコンテンツの特長である流通や複製の容易さを活かして、暗号化されたコンテンツなどを自由に流通させた上で、実際の利用に際して課金するシステム。

開発の背景と狙い

 デジタルコンテンツ市場は、過去に予想されていたほどには拡大していません。これには、強固な著作権保護システムの副作用としてユーザの利便性が抑えられ、結果として利用者が伸びないことと、著作権保護に不安があるために優良なコンテンツが供給されず、利用者が伸びないことの2つの原因があります。
 当社は、こうした状況を改革すべく、SDカードに記憶させた「鍵」を使うことで、音楽や映像、書籍といったデジタルコンテンツを、違法コピーから守り、インターネット上で安全に流通させることができる、新しいDRM(Digital Rights Management)システムを開発しました。

新しいデジタル著作権保護(DRM)システムの概念図

新しいデジタル著作権保護(DRM)システムの概念図

開発したデジタル著作権保護技術の特長

1. SDカードの著作権保護機能を利用した高い安全性
 SDカードの持つ高い著作権保護機能と1枚ずつ固有の識別番号(ID)を利用して、コンテンツを開くための「鍵(権利)」そのものを暗号化して、安全な「鍵」を作成します。「鍵」そのもののデータをコピーしても、固有の識別番号(ID)が同一のSDカードがなければ「鍵」として機能せず、コンテンツを開くことができません。
   
2. 複数の情報機器で購入したコンテンツが楽しめる利便性の高さ
 従来、コンテンツを利用するための個人の認証は、PCやPDAといった情報機器やインストールされているビューワソフトそれぞれが持つ固有のIDに依存していました。そのため、認証された機器でしかコンテンツの利用ができず、例えばPCで認証を受けたコンテンツをPDAに移して楽しむことは基本的に許されていませんでした。 
 本システムでは個人の認証にSDカードに保存された「鍵」を使うので、ユーザは「鍵」を保存したSDカードさえあれば、購入したコンテンツを複数の情報機器で利用することが可能となり、デジタルコンテンツの利用価値や魅力が増すことになります。
   
3. メディアを選ばずコンテンツの配信が可能で、超流通も実現
 「鍵」とコンテンツ自体は切り離して配布します。これにより、コンテンツのユーザへの配布は、CDやDVDの送付や、インターネットによるダウンロードといったどのような方法をとることも可能となります。超流通システムによって、暗号化されたコンテンツを先に配布して、「鍵」を購入することでコンテンツを開くといったビジネスモデルも確立できるので、コンテンツの配信を行なう事業者と、コンテンツを購入するユーザの双方にとって利便性が向上します。
   
4. 書籍、音楽、映像などあらゆるコンテンツに利用可能
 コンテンツを記録する媒体(メディア)とコンテンツを開くための「鍵」を分離したシステムであるため、メディアを選びません。CD、DVD、インターネットによる配信、メモリーカードなど、どのようなメディアも使うことができるので、書籍、音楽、映像といったコンテンツの容量や、ネットワークのスピードに影響されずにコンテンツを流通させることができます。
   
5. さまざまな応用ビジネスに適用可能
 今回開発したDRMシステムにより、コンテンツの安全性が担保されることで、書籍や、映像、音楽などのコンテンツ販売においても、従来と比べて良質なコンテンツを流通させることができます。また、業務用ソフトウェアや教育用コンテンツなど、さまざまなコンテンツ応用ビジネスに適用することが可能で、デジタルコンテンツ市場の一層の拡大を促進することができます。

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