SoCソリューションを核とした半導体事業提携に関する進捗状況について

2002年10月21日

株式会社 東芝
富士通株式会社

 株式会社東芝(以下、東芝)と富士通株式会社(以下、富士通)は、本年6月の合意に基づき、SoC(システム・オン・チップ)を中核とする半導体事業に関して相互補完関係の構築に向けた検討を進めておりますが、現時点の進捗状況を以下のとおりご報告いたします。

 両社は、(1) 90nm・65nm世代における設計インフラの共通化と共同開発、(2)90nm・65nm世代の先端プロセステクノロジの共同開発、並びに(3)SoCソリューション事業という実効性の高い3分野を特定し、精力的に検討してまいりました。設計インフラの共通化に関しましては、IPマクロの共通化と共同開発の作業に既に着手し、先端プロセステクノロジの共同開発とSoCソリューション事業につきましては、協業の具体化を鋭意進めております。

 両社は、SoC事業においては、顧客のニーズにきめ細かくかつ迅速に対応していくことが、競争に勝つ上で最も重要と考えています。単純に量的な効果が期待できる汎用メモリ事業などとは異なり、両社の設計プラットフォームやプロセステクノロジ、及び戦略IPコアを先ず共通化することが重要と認識し、これら3分野における協業を推進しております。事業統合の可能性につきましては、個々の協業の成果を踏まえ、様々な角度及び分野から検討してまいります。

それぞれの分野における検討状況は以下のとおりです。

1.設計インフラ

 両社は、コストを抑えながらも、先端的なSoC分野でのトップランナーを追求するため、90nm世代及びそれ以降のプロセステクノロジをベースとする設計・開発プラットホームの共同開発・共通化を進めます。設計プラットフォームは、SoC開発の根幹をなすものの一つであり、整備には多大なリソースとノウハウが要求されます。両社のリソースとノウハウを結集して、いち早く90nm世代及びそれ以降のプロセステクノロジに対応した設計プラットフォームを整備することにより、早期のSoCソリューションの開発が可能になります。
 両社は、次の4項目に関して協業を進めております。

(1) IPマクロの共通化、共同開発
デジタル・ホーム・ネットワーク及びモバイル・ネットワークをターゲットアプリケーションとし、早急に開発が必要なIPコアを共同開発。
本年度は、デジタルIPコアとして、USB、PCI、シリアルインターフェース、画像関連マクロ、暗号関連マクロ、またアナログIPコアとして、D/Aコンバータ、A/Dコンバータ、PLL等の開発に着手し、来年度中に完了。以降は随時、必要性の高いIPを共同開発。
   
(2) 高位設計環境の整備
EDAベンダとの協調を含め、顧客と半導体メーカが協調して短期間で製品開発ができるような設計環境の共通化に本年度中に着手。
   
(3) デジタル・コンシューマ、モバイル端末に必要とされる新技術の開発
90nm世代以降に問題となる低消費電力技術、シグナルインテグリティ、ノイズ対策等に関わる新技術の共同開発計画を策定中であり、来年度から共同開発を開始。
   
(4) アプリケーション・ミドルウェア等ソフトウェアの整備
具体的なSoC製品レベルでの協調の可能性を検討。

2.先端プロセステクノロジ

 2003年の実用化を目指して開発競争が激化している90nm世代のプロセステクノロジの共同開発と仕様の共通化を推進します。また、90nm以降のCMOSプロセスにおいては、株式会社先端SoC基盤技術開発(ASPLA)の標準化活動に参画し、両社の協業とのシナジーを高めて参ります。先ずは、設計ルールやデバイスパラメータの共通化等から協業を実施していきます。なお、更なるコスト削減のための開発拠点の一極化や共同開発については、試作・量産ラインの建設計画との整合性が必要となるため、今後更に検討を続けてまいります。

3.SoCソリューションの開発

 両社は現在、協調のメリットがある分野について検討しており、デジタルテレビ、パーソナル・ビデオ・レコーダ、シリコンオーディオ等のデジタル・コンシューマ分野を候補の一つと考えています。両社は、顧客満足を基本視点として、タイムリーに市場の要求に沿ったSoCソリューションを提供するよう、SoCソリューション事業の協業の具体化を引き続き推進してまいります。

 両社は、これらの協業を通じて相互補完型のビジネスモデルを構築し、より競争力のあるSoCソリューションをいち早く実現し、顧客に提供してまいります。今後も、具体的な協業を開始する都度、発表してまいります。


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