5GHz帯無線LAN用チップセットの新製品発売について

2002年9月19日

IEEE802.11a規格に準拠し54Mbpsの伝送速度対応のチップセットを独自開発

ベースバンドLSI「TC35672」(左)、IF IC「TA32151」(右)

 当社は、5GHz帯無線LANの規格であるIEEE802.11aに準拠したチップセットを独自開発し、54Mbpsの高速伝送速度に対応可能なベースバンドLSI「TC35672」と、本ベースバンドLSIと良くインターフェースの取れているIF IC「TA32151」を発売します。両製品とも12月からサンプル出荷を行い、2003年3月から量産を開始し2003年で月産3万個規模で生産を行います。

 ベースバンドLSI「TC35672」は、10bit/40MHzのADコンバータ、DAコンバータを搭載し、専用のハードウェアによる高速信号処理を実現することで54Mbpsの対応を可能にしました。また、当社オリジナルRISCマイコン「TX39」CPUコアを搭載することで、高速で低消費電力を実現しています。IF IC「TA32151」は、ベースバンドLSIと整合が良く取れたインターフェースを持ち、高精度/高速なアナログ信号処理を実現しています。新製品の採用により、高速、大容量の無線LAN機能をデジタル機器に付加することが容易になります。

 新製品は、10月1日から5日まで幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催される「CEATEC2002」で紹介します。

新製品の概要

新製品の概要

開発の背景とねらい

 近年、PCにおける大容量、高速の伝送に対する要求が高まっています。有線LANにおいては、EthernetやFast Ethernetがありますが、無線においても同様の高速化への対応が望まれていました。これに対応して規格化されたIEEE802.11a規格では、最高54Mbpsの伝送速度に対応しています。また、DVDやHDTVに代表される動画像の伝送に対する要求も強くなりつつあり、早期の実現が望まれていました。

 当社は、こうしたニーズに対応するためIEEE802.11a規格に準拠したチップセットを開発しました。特に高精度なアナログ技術と高速のデジタル技術を用いることで高速伝送でありながら低消費電力を実現し、PC用のカード応用やAV機器、PC周辺機器への組込用途に最適な組み合わせを実現しました。また、相互接続性が求められるため、Wi-Fi準拠による相互接続性が確保できるチップセットを供給します。今後、開発と並行して、チップセットを安定し大量に供給できる量産技術を背景に拡販していきます。

新製品の主な特長

1. ベースバンドLSI「TC35672」
10bit/40MHz ADコンバータ、DAコンバータを搭載し、PHY(Physical)用、MAC(Media Access Control)用専用ハードウェアを搭載して高速信号処理を行うことで54Mbpsの高速伝送を可能にしています。また、MIPS系RISC R3000と上位互換にある当社オリジナルCPUコア「TX39」を内蔵し、バッファ用RAM、ファームウェア格納用RAMを搭載していますので、接続外部機器に負担をかけることなく高速伝送動作を可能としています。
また、セキュリティにおいては、WEP128bitを採用することで強化を図っています。さらに、パワーマネージメント機能を搭載することで、低消費電力化を実現しています。さらに、外部インターフェースとして、PCMCIAへの搭載を想定し、CardBusインターフェースを採用しています。
   
2. IF IC「TA32151」
送受信ワンチップICとして、ベースバンドLSI「TC35672」とのインターフェースを考慮して開発し、RF部とベースバンド部との接続を行います。広い送受信範囲をカバーするため、AGCアンプのダイナミックレンジを受信側で70dB以上、送信側で40dB以上を達成しました。このほか、直交変復調器にはDCオフセットを除去するための回路を内蔵するなど、特性の向上を図っています。

今後の製品展開について

1. チップセット
5GHz帯無線LAN用半導体として、新製品以外にもミキサー部、ローノイズアンプ部、PLL部等を含んだRF ICやRFフロントエンド部のパワーアンプ、スイッチの開発も進めており、チップセットとしての提供を図ります。
   
2.

ベースバンドLSI
2.4GHz帯無線LAN規格であるIEEE802.11bへの対応を行ったコンボセットへの対応も行う予定で、ノートブックPC、アクセスポイント、PDAなどのデジタル情報機器にも対応を行っていきます。さらにアンテナによる電波の空間分離技術、強固なセキュリティ技術の導入などを順次行い、安心して容易に高速の無線伝送が行える環境を整備していきます。
また、セキュリティについても、TKIP(Temporal Key Integrity Protocol)、AES(Advanced Encryption Standard)への対応するとともに認証の規格であるIEEE802.1xへの対応も行っていきます。また、より一層の低消費電力化にも対応するため、PCMCIAカードだけでなく、Mini-PCIへも対応を行っていきます。

   
3. IF IC
IF ICでは、現在開発を進めているRF ICと協調した開発を行うことで、将来的にはRF+IF ICの形でチップの供給を行い、低消費電力化、スペース・メリット、コスト・メリットを達成すると同時に、十分な性能を満足するべく対応を行っていきます。

新製品の主な仕様

1.ベースバンドLSI「TC35672」

新製品の主な仕様

2.IF IC「TA32151」

新製品の主な仕様

お問い合わせ先

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お問い合わせ先
セミコンダクター社
システムLSI統括第二部
TEL 044(548)2595


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