自由にカスタマイズが可能なマイクロプロセッサ「MeP」の開発について

2002年4月22日

SoC事業のコア技術としてデファクト化を推進

 当社は、機能をアプリケーションにあわせて自由にカスタマイズすることが可能な高性能マイクロプロセッサ「MeP」(Media embedded Processor)を開発しました。当社は、SoC(システム・オン・チップ)事業において、MePをコア技術の一つと位置付け、SoCの製品化だけでなくIP(設計資産)としても販売することで、MePのデファクトスタンダード化を図り事業の拡大を目指します。なお、本開発は、米国時間4月30日、米国カリフォルニア州サンノゼで開催される「エンベデッド・プロセッサ・フォーラム」で発表します。

 現在、画像、音声、通信のマルチメディア関連システム機器の市場は急成長を続けていますが、アプリケーションごとに要求されるシステムLSI内のデータ処理演算の種類や性能が異なるために、カスタマイズが可能なデータ処理用の内蔵プロセッサが求められています。

 MePは、ユーザのニーズに応じて命令セットや混載メモリ容量などをカスタマイズすることで数100万通りから選択が可能なコンフィギュラブル(構成が可変可能)プロセッサで、アプリケーションに特化したさまざまな用途に対して最適なコストパフォーマンスのSoCを実現することができます。また、コプロセッサ(co―processor)などの専用ハードを拡張できるエクステンション機能や、C言語からのハードとソフトの協調設計が可能となるなど、開発リソースを大きく削減することができます。さらに、チップ面積も小さく、低消費電力かつ高速処理性能が可能なコストパフォーマンスに優れた特色を持っています。

 当社は、過去数年にわたりカスタマイズ可能な高性能内蔵プロセッサ技術開発を行ってきており、既にこの技術を活用して、携帯テレビ電話で動画像信号を処理するMPEG-4用LSIや、走行時の後方確認に用いられるITS用画像認識LSIを「ビジョンチップ」として開発・実用化に成功しており、設計の大幅な効率化、および、データ処理の高性能化、チップ面積の最小化、低消費電力化といったすぐれたコストパフォーマンスを実証しています。今回開発したMePは、ビジョンチップに使用したマイクロプロセッサ技術を機能の拡張性、動作速度、消費電力の面でさらに改善し、自由にカスタマイズ可能な高性能マイクロプロセッサであり、当社のSoC事業のコア技術として画像、音声、通信のマルチメディア関連システム機器分野でのデファクト化を推進し、事業の拡大を目指します。

 今後は、当社のオリジナルマイコン「TXシリーズ」などと組み合わせ、携帯機器、ネットワーク家電などのセット機器メーカーの要望に応じた形でチップを製造販売していきます。また、チップでの販売と同時に、チップのコア部分のみを、他のLSI設計会社、製造会社などへIPとして販売していく予定です。

 なお、当社はMePの普及のために、LSI設計会社、LSI設計ツールメーカーに対して様々な支援を行なう予定で、幅広いLSI設計会社によるMePの活用や、LSI設計ツールメーカーによるMeP向けの統一開発・ディバッグ環境の開発の促進を図る予定です。

 当社は、4月1日付で、メモリとシステムLSIの融合を図るためにSoC研究開発センター(神奈川県川崎市、センター長:古山透)を設立しました。当社は、SoC事業を核とした半導体ソリューションビジネスの拡大を目指しており、本開発センターは、そのドライビングフォースとしての重要な役割を担っております。

 これにより、システムLSIの中でも、画像、音声、通信など高速でのデータ処理が要求されるSoC分野において不可欠となる、メモリ混載技術の開発を加速していきます。今後、本開発センターにおいて、メモリ混載SoCのコア技術として、MePを始めとした最先端デバイスの開発を積極的に進めていきます。

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