世界最高容量のリチウムイオン二次電池の開発について 1997年2月13日
リチウムイオン二次電池は、充電時には正極からリチウムイオンが負極へ移動して 吸蔵され、放電時には逆に負極から正極へリチウムイオンが戻る構造と なっていますが、現在、正極材料として使われているコバルト酸リチウム (LiCoO2)では、移動できるリチウムイオンの量が全体の 約50%であるため、吸蔵容量の拡大に限界がありました。 当社は、リチウムイオンの吸蔵・放出反応に適した黒鉛結晶配列構造を持つ、 当社独自のMCF(炭素繊維)を負極材に使ったリチウムイオン二次電池をすでに 開発し、商品化しています。
近年、これらの携帯機器は、高機能化の進展によって消費電力が 増加していることや長時間使用の要求が高まってきていることなどによって、 駆動用の二次電池に対しては容量の拡大が強く求められてきています。 当社は、このような要求に対応して、正極材料に新開発のニッケル酸リチウムを 採用することや負極材料にMCF(炭素繊維)を使用することなどによって、 500回の充放電が可能な世界最高容量のリチウムイオン二次電池を開発しました。 新開発のニッケル酸リチウム正極材の容量は、1グラムあたり180ミリアンペア アワーで、従来の正極材であるコバルト酸リチウムの130ミリアンペアアワーに 比べて大幅に上回っています。この結果、円筒形標準品である18650型電池で 世界最高容量の1,900ミリアンペアアワーを実現し、従来の1,350ミリ アンペアアワーに対して約40%向上しています。 さらに、新開発の正極材料を採用することによって、希少金属のコバルトを ニッケルに置き換えることになり、材料コストの低減にもつながります。 本開発品は、ニューサンシャイン計画「分散型電池電力貯蔵技術開発」の 一環として、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託を受けて 実施した研究の成果です。 当社は、この「分散型電池電力貯蔵技術開発」の研究において大型リチウムイオン 二次電池の開発を行っています。現在、10ワットアワーから35ワットアワー 規模の電池開発を進めています。 なお、本開発品は、3月4日から9日まで有楽町駅前の東京国際フォーラムで 開催する「TOMORROW21東芝技術展」に出展する予定です。
|
![]() |
プレスリリース記載の情報(製品価格/仕様、サービスの内容、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。最新のお問い合わせ先は、東芝全体のお問い合わせ一覧をご覧下さい。 | ![]() |