生産性や環境面に優れた光半導体用パッケージの開発について

1996年4月24日

 当社は、ある温度条件下で軟化する熱可塑性樹脂を業界で初めて 応用することにより、生産性や環境面に優れた光半導体用の新しいパッケージを 開発しました。

 本パッケージは、熱可塑性樹脂のノルボルネン系樹脂を用いています。 熱可塑性樹脂は、樹脂の硬化時間が短く、インジェクションモールド (射出成形)により時間当たりの生産数量を増やせるなど生産性を 向上できるとともに、廃棄物の再利用が可能なため、環境保全の面で優れています。

 従来、熱可塑性樹脂は、樹脂の耐熱性不足やリードフレームとの密着性不足、 ボンディングワイヤの変形などの問題がありましたが、金型に樹脂を流し込み 成形する射出成形において、金型温度や樹脂温度の最適化や樹脂を金型に 流し込む速度を最適にするなどの工夫を施すことにより、半導体パッケージへの 利用を可能にしたものです。

 当社は、フォトインタラプタなどの光半導体用として、本パッケージを採用し、 本年8月からサンプル出荷を開始する計画です。


開発の背景

 現在、半導体のパッケージは、加熱あるいは化学的な処理によって、 不溶解性の製品に変化する熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂を採用するのが主流です。
 この中で、エポキシ樹脂と比較してさらに生産性に優れ、環境面でも優れた 半導体パッケージの技術開発が進められていますが、従来、熱可塑性樹脂では、 樹脂の耐熱性不足やリードフレームとの密着性不足、ボンディングワイヤの 変形などの問題で実用化できませんでした。

 当社は、光半導体用のパッケージとして、射出成形による成形性の確認や 信頼性試験などを繰り返すことにより、耐熱性や流動性、密着性に優れた樹脂の 特性を抽出し、その特性を有した熱可塑性樹脂(ノルボルネン系樹脂)を 日本合成ゴム株式会社と共同で開発しました。
 ノルボルネン系樹脂は、耐熱性や密着性に優れた透明樹脂であり、当社および 日本合成ゴム株式会社は、共同で光半導体用のパッケージとして最適化したものです。

 当社は、本樹脂を当初光半導体用のパッケージとして応用し、今後は、さらに その他の個別半導体への応用も検討していきます。


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