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Vol.31 ビジネスと、その進化をとめない マネージドサービスが創造する新しい世界

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#01 CPS時代、進化型のICT活用をリードする 「東芝マネージドサービス」スタート 東芝デジタルソリューションズ株式会社 池谷 直紀

ICTの進化は、とどまることを知りません。AIやIoTといった先進のデジタル技術を素早く取り入れながら時代の波を捉え続けていく。これこそが、企業を維持し発展させていくための重要な条件となりました。さらにサイバーフィジカルシステム(CPS*)による社会の変革も、今まさに本格化しようとしています。私たちには、企業活動におけるICTの活用のあり方を、確かな信頼性を担保しながら、より変化に強く柔軟でしなやかなものへとシフトしていくべき局面が訪れているのかもしれません。
東芝デジタルソリューションズはこの潮流を見据え、お客さまの発展と成長を力強くサポートする新たなサービスをスタートさせました。それが、東芝マネージドサービス「Albacore(アルバコア)」です。ビジネスの要求や状況の変化へのフレキシブルな対応を実現するため、信頼性のあるデジタルソリューションをサービスとして提供。CPS時代の到来を視野に入れ、フィジカルとサイバーの2つの領域で磨き上げたシステム構築や運用のノウハウを結集し、多彩なメニューを通じて先進のデジタル技術や現実世界への即応性に優れたICTの活用を、容易に実現していきます。ここでは、Albacoreを立ち上げた背景と、サービス内容のポイントについてご紹介します。

CPS:Cyber Physical Systems

ビジネスの加速と信頼性を両立するマネージドサービス

今や、あらゆる企業活動はICTの活用なしでは成り立ちません。めまぐるしく進化を続けるデジタル技術を素早く取り込みながら、ビジネスの要求と現実世界の状況の変化に継続して対応していくことが、企業を維持し発展させるために重要な条件となっています。従来のようなプロダクトを中心としたICTの活用では、こうした変化に即応し続けることは難しくなります。時間と共にコンセプトや技術が陳腐化していくばかりか、運用コストの増大によって経営にも大きな影響を与えるからです。だからといって、変化に応じてシステムを刷新すれば、今度は変更に伴うリスクが課題となります。マネージドサービスは、こうした課題に応えることができるひとつの形態です。

東芝デジタルソリューションズは、このマネージドサービスを単なるアウトソースの仕組みではなく、ICTシステムでお客さまのビジネスの加速と信頼性を両立するICT活用の新たな選択肢となるように捉え直しました。さまざまな要求や状況の変化への柔軟な対応を実現しつつ、エンタープライズクラスの信頼性のあるデジタルソリューションをサービスとして提供していく。それが当社の目指す形です。

中でも東芝がグループを挙げて取り組んでいるサイバーフィジカルシステム(CPS)の実現は、当社としても大きなミッションのひとつです。CPSとは、現実世界(フィジカル)で集めたデータを仮想空間(サイバー)でAIなどの技術で解析し、その結果を価値ある知識や情報として現実世界にフィードバックすることで、より高度で豊かな社会を創造していく仕組みです。そこでは現実世界の変化に即応しながら継続的に「全体最適」を図ることが期待されていますが、実際には容易ではなく未知の課題も存在しています。

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世界有数のCPSテクノロジー企業を目指す、東芝グループの挑戦

東芝グループには、エネルギーや社会インフラ、電子デバイスの事業を中心に、フィジカルな領域で数多くの実績があります。一方、当社には東芝アナリティクスAI「SATLYS(サトリス)」東芝コミュニケーションAI「RECAIUS(リカイアス)」という2つのAI技術に加え、現場の活動をサイバー空間へリアルタイムに再現する「デジタルツイン」や、エッジ(現場)でのリアルタイムなデータ処理とクラウドなどとの協調処理を行う「エッジコンピューティング」など、フィジカルな現場とサイバー空間が共働するCPSを具現化するための先進のデジタル技術があります。

東芝グループが持つ、フィジカルとサイバーにまたがる世界でも有数の経験とノウハウ。これらを結集し、常に全体最適化したシステムをサービスとして提供し続けるのが、東芝マネージドサービス「Albacore」です。

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CPSをサービスで。革新的なマネージドサービス

Albacoreは、現実世界と仮想空間が高度に融合したIT基盤の設計、構築から業務支援まで含めた運用までを、一貫したサービスで提供する革新的なサービスです。その目指す姿は、継続的に進化し続けるソリューションを、ワンストップかつサービス型で提供し続けることです。これにより、お客さまは常に最新の機能や技術を駆使した期待する機能を活用し続けることができます(図1)。

図1 東芝マネージドサービス「Albacore」
池谷 直紀

Albacoreは、大きく2つの取り組みで構成しています。1つ目は、AIや IoTなどを活用した各種機能やプラットフォームを「as a Service型」で提供することです。自動車や物流、鉄鋼などの事業を手掛けられているお客さまとの取り組みを、以降の記事でご紹介します。

また、2つ目は、ICTシステムの継続的な進化と信頼性の両立を実現するマネージド運用サービスを提供することです。特に、お客さまニーズの高いクラウドマネージドサービスを2019年から提供開始したことにより、当社のマネージドサービス事業は本格化しました。

Albacoreの特長は、ICTの進化を支える仕組みであることと、社会のCPSを実現することです。サーバーの運用管理や、保守や障害時の対応、修理などにとどまっていた従来のマネージドサービスとは一線を画し、現実世界の変化に対応しながらシステムの拡張や改善を行い、お客さまのビジネスの成長と進化を支え続けていきます。

例えば、設備や機器、作業行動から収集したデータを品質や業務の改善につなげる。例えば、メーカーとサプライヤーを仮想空間でつないで「デジタル試作」を実現する。こうした現実世界のデータを継続的に解析して価値化するCPSを実現できるところが、当社の特長です。

対象となるシステムは、社会インフラや官公庁、製造・産業、流通・金融、物流、ビル・施設、さらには家電・コンシューマー向けのサービスと幅広く、分野は問いません。お客さまのビジネス要件に合わせて、AIやデジタルツイン、エッジコンピューティングといったテクノロジーを組み合わせた最適なIT基盤サービスをお届けします。

サービスを提供するにあたっては、エッジからオンプレミス/クラウドにわたるセキュリティとスケーラビリティーに優れたインフラストラクチャーの運用と、契約管理などのバックエンド業務やサービスデスク、アプリケーション運用までをフルレイヤーでサポート。保守やメンテナンスといった現場のサポートも充実させるとともに、AIを活用した自動化やSRE*の適用、ITモダナイゼーションの実施など最新のテクノロジーと運用手法を用いながら、お客さまの業務課題とビジネス環境に適した継続的な改善を行っていきます。

SRE:Site Reliability Engineering

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東芝グループでの実践を基に、変化に強いクラウド運用にも力を入れる

クラウド運用に力を入れている点も、Albacoreの特長です。「クラウドファースト」という言葉が生まれたように、そのメリットを評価して導入する企業は増え、あらゆる分野に及んでいます。重要度が高い基幹業務系のシステムにも、最近ではクラウドを活用する企業が年々増加しています。業務の効率化と安定した運用を両立するため、クラウドの活用に舵を切る企業が、今後ますます広がっていくと考えられます。

こうしたニーズにお応えし、当社はAlbacoreのサービスラインアップとして、クラウド上でのシステム運用、さらにはフィジカルとサイバーの領域をまたいだクラウド活用をサポートする「クラウドマネージドサービス」の提供を開始しました。東芝グループにおけるマルチクラウドの導入と運用で培ったノウハウに基づき、お客さまのビジネス要件に最適なインテグレーション手法でクラウドを導入します。情報系システムから基幹系システムまで幅広く対応しながら、総合的な運用サービスを組み合わせてお客さまのビジネスに役立てていきます(図2)。

図2 クラウドマネージドサービス
樋口 寿雄

まずは、お客さまのクラウド導入にあたり、その構想と企画を支援します。さらに、ビジネス要件や構築するシステム要件から、クラウド環境の設計と構築を行い、導入後は、お客さまに代わってクラウドサービスの監視や変化への対応を行います。❶サービスデスク、❷監視、❸障害一次対応、❹障害二次対応、❺クラウド技術サポート、❻設定変更と構成変更、❼バックアップとリストア、❽月次報告、❾テクニカルアカウントマネージャー、❿運用管理と、豊富に用意したサービスメニューを適材適所に利用しながら、維持だけではなく変更と更新を前提としたクラウド活用を、SREを担う部隊がサポートしてお客さまのビジネスの加速と拡大を支えていきます。

情報系のシステムはもちろん、業務系のシステムにおいても、フィジカルとサイバーのそれぞれの領域だけでシステムを考える時代は終わろうとしています。また、マネージドサービスもシステムの維持ではなく、ビジネス要求や現実世界の状況の変化への即応性と信頼性の両立が望まれています。これからはCPSのノウハウを持つ東芝デジタルソリューションズが、現実世界と仮想空間を高度に融合させたデジタルソリューションを、マネージドサービスの形でお客さまにお届けしていきます。

※この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2019年10月現在のものです。

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