AI技術の活用により、半導体メモリの品質改善、生産性向上を実現
半導体メモリを生産する東芝メモリ(株)の四日市工場では、数千台の装置から一日あたり20億件ものデータを収集、熟練の技術者がデータを解析し、品質改善や生産性向上を図ってきました。しかし、生産量の拡大、製造工程の複雑化や大規模化に伴い、膨大なデータを人手で分析して判断することは既に限界に達しつつあるため、ディープラーニングなどの機械学習を活用した、解析作業の自動化や経験則のみでは得られなかった新たな解の発見に取り組んでいます。今回は、東芝メモリ(株)、(株)東芝 研究開発センターおよびソリューション開発センターと連携して実施した、2016年度 人工知能学会 現場イノベーション賞・金賞[1]の受賞事由ともなった2つの取り組みを紹介します。
最終検査工程の不良データとそのウェハがどの製造装置で処理されてきたかの履歴から不良原因装置を特定する作業において、クラスタリング技術によるウェハ面内の不良発生傾向の自動分類、パターンマイニング技術による不良発生傾向特有の装置パターンの自動推定を実現しました。新しい不良発生傾向とその原因装置候補を技術者に提示することにより(図1)(図1)、不良1件あたりの解析時間が平均6時間から2時間まで短縮することができました。毎朝、全製品の前日生産分までの解析結果を現場技術者に届けられるよう、並列分散クラスタリングなどのビッグデータ技術も導入しています[2]。
欠陥検査画像(図2)(図2)の種別分類作業において、ディープラーニング技術による自動分類を実現、従来の分類方式では49%に留まっていた自動分類率が83%まで向上しました。一般に、ディープラーニングでは膨大な学習データが必要になりますが、複雑な形状を見分けられるモデル表現の工夫や、誤った学習データの影響を受けにくい学習方式の導入により、高い分類精度の維持と学習データの準備コストの抑制を両立できました[3]。
AIの導入には現場技術者、システム担当者との密な連携が必要不可欠です。私たちは、業務フローの再設計から、アジャイル開発技術や情報可視化技術を活用したシステムの設計まで、人とAIが協調して業務を遂行できる環境の実現に取り組んでいます。
- [1] 2016年度 人工知能学会 現場イノベーション賞・金賞を受賞−四日市工場における半導体生産性改善−(株式会社 東芝 研究開発センター)
- [2] ビッグデータを活用した歩留り解析支援システム“歩留り新聞”(東芝レビュー) (PDFファイル:446KB)(株式会社 東芝)
- [3] 深層学習技術を用いたSEM画像の欠陥分類技術(東芝レビュー) (PDFファイル:2,485KB)(株式会社 東芝)
- [4] AIが支える世界最先端の半導体製造プロセス(DiGiTAL T-SOUL)