デジタルが格差を超え、人と人をつなぐ架け橋になる
主に証券会社におけるインフラやアプリケーション基盤の領域で、プロジェクトマネジメントの経験を積み、クライアントとの信頼関係を築いてきた豊澤美沙。アプリケーション群が複雑に重なり合う大規模な証券システムの基盤構築にも、チームの力を引き出しながら共に挑んできた。新しい学びを取り入れ、挑戦を恐れず行動する姿勢が、お客さまとの信頼を築いている。そんな豊澤にとっての“デジタル”について語ってもらった。
メンバーがのびのびと働きやすい環境づくりこそプロジェクト成功への近道
私の主な仕事は、証券会社に対して、ソリューションの提案やシステム導入へ向けたプロジェクトマネジメントを行うことです。これまで、システム基盤となるハードウェアやインフラ、そしてアプリケーションとインフラをつなぐアプリケーション基盤(以下、アプリ基盤)など、幅広い領域を担当してきました。例えば、国内や米国の株式を受発注するシステムや国内の債券をオンラインで販売するプラットフォームなどの開発プロジェクトに携わりました。現在は、大手証券会社のディーリング業務で利用されるシステムのアプリ基盤と端末を更改するプロジェクトで、リーダーを務めています。
リーダーとしてプロジェクトを進めるにあたっては、お客さまの満足度向上、そして開発・営業・技術それぞれの立場で関わるいずれのメンバーにとっても働きやすい環境づくりを、常に意識しています。そんな私の考え方の原点になったのが、ある案件での経験です。それは、プロジェクトの進捗が滞ってしまった時のことでした。日を追うごとにプロジェクト内の雰囲気が悪化する中ではありましたが、私自身の強い希望から任された案件だったこともあり、自分に何ができるのかを必死に考えました。お客さまの声を丁寧に聞いて、対応可能な部分を巻き取ったり支援したりすることで、プロジェクトを無事に進めることができました。周囲の心配を受けながらも、信じて任せてもらえたことで、責任感を持って前向きに行動できたことを覚えています。
プロジェクトにおいては、コミュニケーションの不足や認識の違いなどにより、問題が顕在化する場合もあります。そんな状況にいち早く気づくこと、そしてそこでの課題に積極的に関わることの大切さを学んだ案件でした。この経験から、プロジェクトのメンバーが自分の意見や考えを自由に発言できるように、一人ひとりと向き合い信頼関係を築くとともに、人と人とのハブになって円滑なコミュニケーションの場を提供する行動をとるようになりました。現在も、より働きやすい環境づくりを追求しています。
プロジェクトマネジメントという仕事をしていてうれしいのは、システムが無事に稼働した瞬間であることは間違いありません。ただ個人的な感覚としては、お客さまやメンバーから感謝の言葉をもらったときは格別です。最近稼働した、オンライン販売プラットフォームシステムが印象的でした。それは東芝デジタルソリューションズとして初めてお付き合いするお客さまで、かつ、初めて構築するシステムでした。待ち受けていた多くの困難を乗り越え、プロジェクトを完遂した後に、お客さまから「私たちだけでは実現することが難しかったこのシステムを、共に作り上げてくれて本当にうれしい」との声をいただき、さらには「これからもぜひ一緒に仕事がしたい」とのお言葉までいただきました。本当にうれしい瞬間でした。
プロジェクトは“人”で動くもの。だからこそ、技術だけでなく、関わるすべての人が前向きに取り組める環境づくりを大切にしています。
デジタルは今後の生活や社会をもっと楽にもっと楽しいものに変えることができる
私は学生時代、教育の分野に関心を持っていました。教育についてさまざまなことを学んでいる中で実感したのが、教育と情報の格差です。例えば、ある地方都市では学生全員に対してICT環境が万全に整っているのに対し、隣接する地域ではインフラ整備が遅れており、十分な学習環境が整っていないケースも見受けられます。デジタルに関連する教育を推し進める活動の度合いも地域によって異なりますし、首都圏と地方とでは、その格差がさらに大きく広がっていることを目の当たりにもしました。離島の学生は島外との交流が少なく、ICT環境の整備も十分でないことなどから、友達をつくることが難しいといった状況でさえ、なかなか気づけないことだと思います。
これらの課題解決は、おそらく簡単なことではありません。そこで私は、教育に関わる格差の解消に向けて、学生向けワークショップや懇談会を企画したり、実際に教員の方とコミュニケーションしたりして、私自身ができることから取り組んできました。
自分としては、教育とデジタルの知識を掛け合わせることは、課題解決の糸口になると感じています。例えば、住んでいる場所や身体的な理由により受けたい教育を諦めている人たちに、リモート環境やAI・データ活用を取り入れたデジタル教育を提供して学習の機会を広げる取り組みが広がっています。私も、教育とデジタルの両方の知識を生かしながら、こうした課題に向き合っていきたいと考えています。デジタルの可能性によって、これまで格差となっていたことが少しずつ解消され、多くの人々に新たな希望がもたらされる未来を信じています。
デジタルは、教育の格差はもちろん、世の中にあるさまざまな格差を乗り越える架け橋になり得るものだと思います。これからの10年で、社会のさまざまな課題解決に、AIやデジタル技術が役立てられるでしょう。教育の分野から入ってきた私ですが、ほかにも世の中に存在する多くの課題が見えるようになりました。現在携わっている、金融系のお客さまの悩みや課題もさまざまで、まだまだ学ぶべきところが多くあります。これからも、さまざまな経験を積み重ねる中で新しい分野を数多く学び、広げた知見を生かして、社会の発展に貢献していきたいと思います。
実は私は、広島東洋カープのファンです。社内のカープ好きの仲間と野球観戦を楽しむこともあります。観戦中も、「デジタルと掛け合わせたらもっと面白くなるかも」と考えてしまうほど、日常の中でもデジタルの可能性を探っています。
金融、教育、さらには地域社会など、分野を越えて課題に向き合い、デジタルの力で人と人とをつなぐ。そんな未来を実現するために、これからも挑戦を続けていきたいと思います。
大切なことば
「いまの仲間と、いまだからできる、いちばんの仕事を。」
入社1年目にお世話になった先輩にかけてもらった言葉です。とてもしっくりきて心にずっと残り続けている言葉で、私にとっての軸になっています。その仕事は、お客さまも含め、そのときしかありません。「この瞬間でしかこのメンバーではこの仕事ができないんだ」と考えることによって、いまのメンバーでできる最高のものを作り上げたいと自然に思え、マインドが変わるきっかけになっています。この言葉を胸に、これからもさまざまなことに取り組んでいきたいです。
豊澤 美沙(TOYOZAWA Misa)
東芝デジタルソリューションズ株式会社
ICTソリューション事業部
金融ソリューション技術部 技術第三担当
スペシャリスト
入社以来、金融ソリューション技術部で大手証券会社を担当し、国内および米国株式の受発注システムや国内債券のオンライン販売プラットフォームなどの開発プロジェクトに携わり、プロジェクトマネジメントの経験を積む。現在は、ディーリング業務向けの基盤・端末更改プロジェクトのリーダーを務めている。
執筆:佐々木 千之
- この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2025年9月現在のものです。
- この記事に記載されている社名および商品名は、それぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。
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