技術者の素顔

技術者の素顔技術者の思いをご紹介

水質制御・O&M支援技術 有村 良一 専攻:衛生工学

上下水道プラント運用スマート化に関するソリューション開発

国内の浄水場においては財政面や技術者不足の事業課題から、プラントの運転管理業務の民間委託が進んでおり、東芝の運転員が動かしている浄水場も少しずつ増えています。そこでは水道局の運転員から運転ノウハウを吸収するとともに、運転上のリスクが高まった際は水道局の運転員と連携して対処することで、安全で安心な水道水の供給に貢献しています。国内の多くの家庭においては、蛇口をひねれば当たり前のように安全な水道水が出てきますが、将来的にもこの恵まれた環境を次の世代に引き継いでいかなければなりません。東芝は効率的で経済的なO&M(Operation & Maintenance、運転管理・維持管理)の実現にむけて日々取り組んでいます。

そのなかでも私は、浄水場における水質管理を支える技術の開発を行っています。例えば浄水場では、安全な水を効率的につくるために複数の薬品を注入していますが、薬品の使用量は経済面と水質面に大きく影響します。水質反応のメカニズムを捉え、計測技術や制御技術を組み合わせることで、効率的な薬品注入を実現する運用改善ツールや自動制御システムの開発を行っています。現場の運転員と密な連携をとり、タイムリーに技術開発を行うことで、東芝が運転管理業務を受託する浄水場における水質管理業務のサポートと運転員の負担低減に貢献します。

有村良一 写真

ひとえに浄水場といっても国内には5000箇所以上あり、水源の水質や処理方式などは様々です。これに対応していくには各現場で経験を積み重ねていくことが非常に重要です。私が日々の業務において大切にしていることは、現場の水質や管理方法を、自ら現場に入って、自分の目で見て、教えてもらって、実際に手を動かして処理してみる、ということです。そうすることで現場の知識や情報を吸収することができ、そこから新しい課題や発想が生まれます。またこちらから水処理の理論を提供していくことで、現場側のスキル向上をサポートすることができます。このような取組みを通して、現場の運転員との信頼関係も形成されます。ときには、その先の水道局の運転員と話をする機会にも恵まれます。私はこのような取組みを通して人と人のつながりを増やしていき、自らの仕事が多くの人と関わりあって社会に貢献していると実感できることを仕事のやりがいと感じています。

また入社して7年目と8年目には、社外の水道関係の研究機関に出向するという経験をさせてもらいました。水道の分野には、水道事業体、民間企業、行政、学界など、多くの関係者が関わっており、この研究機関は産官学の協力のもと日本の水道界の発展に向けて取り組んでいます。この研究機関での経験を通して、仕事の視野を広げることができたとともに、水道事業体・水処理機器メーカ・コンサルティング会社といった社外に人脈のネットワークを築くことができました。このことが現在の私の仕事に大きなプラスをもたらしています。

日々、当たり前のように働いていくためには、体の健康が一番大切です。休日は、同い年の妻と5歳と2歳の息子とリラックスする時間をつくっています。性格の違う二人の息子の日々の成長を見ることが、毎日の活力になっています。

(2015年12月執筆)

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