技術者の素顔

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符号化に基づく映像データ量低減化技術 瀬戸 直人 専攻:応用物理

情報の重要度を考慮した映像データ量低減化技術の開発

私の所属するグループでは、主に社会インフラシステム向けに画像データを扱う技術を開発しており、適用分野は電力、自動車、鉄道、郵便、物流など多岐に渡ります。「対象を撮影して伝送し、処理して重要な情報を引出し、情報を基に識別・判断する」という画像システムに必要な要素技術を、複数のグループが連携して開発しています。

近年、撮像素子の性能向上が進み、高精細な画像を撮影できる低価格なカメラが登場しており、画像を利用したソリューションが今後益々増えることが予想されます。データ量が多い高精細画像を利用するには、広帯域のネットワーク回線や膨大な容量の記憶装置が必須となります。しかし、全てのシステムがこれらの条件を満足するとは限らないため、画像圧縮技術によるデータ量の低減が必要となります。

そこで、私は、情報を引出す為に必要な部分は高精細に保ちつつ、画像全体のデータ量を低減する画像符号化技術の開発に取り組んでいます。従来の符号化技術は画像全体を一様に圧縮し情報量を低減しておりますが、開発した手法は、画面内の情報の重要度に応じて圧縮率を可変とすることで、更に圧縮効率を高め、帯域が狭いネットワークでも高精細な画像を伝送でき記憶容量も低減することができます。

本技術は、既に原子力発電所の監視システムや鉄道の前方監視装置への適用を予定しており、開発した技術が世の中で活用される姿が目前まで迫っており、今まで以上に、日々の開発に力が入っています。

入社当時は、大学で専攻していた内容と異なる研究開発に従事することが多く、不安を感じることもありました。しかし、周りの上司や先輩は忙しい時でも私の些細な質問に答えるために時間を割いてくれました。 失敗をした時も自分自身で原因を考えて解決できるようにアドバイスしてくれたお蔭で、一歩ずつ着実に技術を吸収し成長できました。新しい事を初めからできる人はいないので、積極的に取り組み失敗しながら技術を身につけていけば良いと考えるようになり、技術者として自信を深められるようになりました。また、色々な業務を担当することで幅広い視野を持つことができています。今後も、顧客のニーズに応えられる技術を開発していきたいと考えています。

瀬戸直人 写真

私の休日の朝は、入社してから始めたレーシングカートで如何に相手を抜き去るか、のイメージトレーニングで始まります。月に数回会社の先輩や後輩とサーキット場に行き、タイムを競い合ったりレースに参加したりしていますが、タイムアタックの時は1秒縮める為に、アクセルやブレーキのコントロールや走行ラインの取り方など試行錯誤を繰り返します。それでもタイムが縮まらず悔しい思いをすること多いですが、工夫して壁を乗り越えた時の達成感は、他のスポーツではなかなか味わえないですし、達成する為の試行は日々の研究開発へのヒントにもなっています。

(2015年11月執筆)

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