技術者の素顔

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故障予兆技術の開発 機械故障による事故のない社会を目指して 田中 翔 専攻:機械工学

機械振動の計測による故障予兆技術の開発

情報通信技術の発展から、様々なデータを継続して取得することが容易にできるようになっています。特にインターネットを利用して、センサから情報を取得・集積し、活用する手法はIoT(Internet of Things)と呼ばれています。生産設備、交通インフラ、電力設備等から集積した情報は、故障予兆、性能計測、故障原因究明等に役立てられます。IoTの推進により、故障停止が少なく、性能も良い製品が開発されることが期待されています。また、集積したデータを有効に活用する手段は今後ますます発展していくことが予想されています。

私は、振動の計測による生産設備の故障予兆システムの開発に携わっています。故障予兆の手法として、“振動速度の二乗平均値”、“振動加速度の実効値”のトレンドを観察する手法が一般によく知られています。しかし、実際に計測をすると設備の運転状況により振動状態が変動し、安定した計測や故障予兆の判定をすることが困難でした。実機や試験体のデータを大量に収集し、周波数分析や振動の動きを観察することで、安定してトレンドを計測できる手法や、判定手法を明らかにすることができました。データを集め、詳細に分析することで、今までわからなかった現象の原因推定や検証ができるようになることは、とても面白くやりがいがあります。

大学時代には流体分野のテーマの研究をしていたため、入社当初は異なる分野に馴染んで仕事をしていけるか不安がありました。しかし、上司、先輩方がわからないことを丁寧に指導してくださり、すぐに業務に慣れることができました。気軽に周りに相談したり尋ねることができる環境は、配属されてすぐの頃は非常にありがたかったことを覚えています。

振動試験の様子
振動試験の様子

休日は、職場の方と食事や旅行にいったりと、プライベートでも仲良くしています。仕事中にはなかなかできない相談もでき、おかげで公私ともに充実した生活をおくれています。

コミュニケーションを多くとれる風土から、多岐に渡る分野の先輩方から学ぶ機会を活かして、今後も日々勉強していきたいと考えています。

(2019年8月執筆)

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