AI活用事例

【第1話】 AIで進化する購買データ(POSデータ)活用マーケティング

消費者の価値観が多様化する中、メーカーのマーケティング担当者は深刻な課題に直面しています。従来のPOSデータ活用では顧客の購買行動を十分に把握できず、新商品のヒット率低下が進行しています。しかし、AIを活用したPOSデータ分析と流通横断の購買履歴データにより、これらの課題を解決し、売上向上を実現しているメーカーが増加しています。

【この記事でわかること】

  • AIを活用したPOSデータ分析の実践手法
  • 独自データ保有の重要性とAI活用のメリット

目次



課題:食品・飲料メーカーが直面する市場調査方法


課題①:新商品のヒット率低下と市場変化
消費者の価値観が健康志向や時短ニーズなど多様化する中で、市場変化を正確に捉えることが困難になっています。アクセンチュアが世界22カ国、約2万5,000人の消費者を対象に実施したアンケート調査によると、パンデミックを機に自らの目的意識を見直した消費者は約50%に上り、消費者の購買意思決定も大きく変化しました。

課題②:POSデータ活用の不足と属人化
既存のID-POSデータ活用に不足している点が多く、データ活用の属人化という深刻な課題を抱えています。POSデータを分析する際、特定のアナリストに依存しており、分析スキルの標準化や業務の効率化が進んでいません。POSデータは、データ量が多く分析に時間がかかることが課題とされています。

課題③:真の顧客理解の欠如
購買履歴だけでは見えない潜在ニーズを把握することができず、ターゲット設定や商品開発において限界に直面しています。POSデータからは「何が売れたか」はわかりますが、「なぜ買ったのか」という購買動機は把握できません。

解決策:AIによるPOSデータ分析が実現する革新的な手法


AIを活用したPOSデータ分析の実践手法


AIによるPOSデータ分析では、以下の革新的な機能を実現できます。

【AI需要予測で実現する在庫最適化】
AIは過去の販売データだけでなく、天候、曜日、イベント、価格、プロモーションなど多様な要因を考慮した高精度な需要予測を行います。

【AIペルソナ分析による潜在顧客の発掘】
購買パターンをクラスタリングし、未顕在化ニーズを抽出することで、潜在顧客を発掘できます。

【AI価格最適化とプロモーション効果測定】
動的価格設定の実現やキャンペーン効果の即時分析により、ROI最大化の自動提案ができます。

【リアルタイム分析による即時対応】
販売が発生した瞬間にデータを分析し、即座に行動に移すことができます。

東芝だからできる! 流通横断データとローデータによる顧客理解の深化


独自データ保有の重要性とAI活用のメリット


当社は、長年培ってきた自然言語処理技術を基盤に、レシート特化の独自AIを活用した購買データ分析サービスをご提供しています。このサービスにより、リアルタイム性を活かしたマーケティングやプロモーション計画、さらには商品開発まで幅広くご支援することが可能です。
真の顧客理解を実現するためには、流通横断の購買履歴データとID付きのローデータの活用が不可欠です。単一店舗のPOSデータでは把握できなかった消費者の行動パターンや嗜好も、複数の小売店のデータを統合・分析することで明らかになります。これにより、どの商品がどの店舗で購入されているのか、顧客がどのような購買経路をたどっているのかを把握し、より効果的なマーケティング施策を立案することができます。
さらに、当社は独自データを保有しているため、外部のデータベンダーに依存せず、自社で戦略検討を行うことが可能です。これにより、外部依存によるリスクを回避しながら、リアルタイムでデータを取得・分析できます。特にID付きのローデータは加工されていない生の情報であり、企業独自の視点で柔軟な分析を行える点が大きな強みです。
ローデータ提供により、以下のメリットが得られます。

FAQ : AIでPOSデータを分析するメリット

【独自のAI技術活用】
自社のAIアルゴリズムを用いて、競合他社にはない独自の分析が可能になり、戦略的な差別化を実現できます。

【詳細なデータ分析】
より細かい粒度での分析や、カスタマイズ可能な分析軸の設定ができ、仮説検証の高速化を実現できます。

【リアルタイムデータ連携】
最新のデータを即座に取得し、市場変化に素早く対応できるため、競争優位性を確保できます。

【セキュアなデータ基盤】
自社でデータを管理することで、情報漏洩のリスクを最小限に抑え、安全にデータを活用できます。

【コスト最適化】
継続的なデータ購入費用を削減し、自社データの戦略的価値を最大化できます。


データ起点の商品開発と持続可能な競争優位性の確立


POSデータを活用した分析の効率化と省人化により、アナリストは戦略的な業務に集中でき、データ起点の商品開発や顧客理解の深化を実現できます。市場変化が激しい現代において、詳細なデータ提供とAI分析の組み合わせは、持続可能な競争優位性を確立するための必須要件です。独自データの保有と先進的なAI技術を組み合わせることで、迅速な意思決定、継続的な改善、戦略的な柔軟性、競合との差別化を実現できます。

今後の展望:次世代のPOSデータ活用で実現する市場理解と売上向上

AIとPOSデータの融合、そして流通横断の購買履歴データとID付きローデータの活用により、メーカーは真の顧客理解を実現できます。従来の課題であった新商品のヒット率低下、データ活用の属人化、顧客理解の欠如を、AI技術と独自データの組み合わせにより解決できます。
独自データの保有と先進的なAI技術を組み合わせることで、データベンダー依存から脱却し、自社で戦略検討を行う環境を構築できます。POSデータを分析することで、商品の売れ筋を把握し、在庫管理の最適化を図るだけでなく、AIペルソナとの紐付けにより潜在顧客を発掘し、ターゲティング精度を飛躍的に高めることができます。
より詳細なPOSデータ活用とAI分析のソリューションについては、こちらをご覧ください。流通横断の購買履歴データとID付きのローデータ提供により、貴社の顧客理解を深化させ、データを分析して売上向上を支援いたします。

次回、AI技術の応用について深掘りします。


ICTソリューション事業部 データ・ビジネス推進部
執筆:宮崎 知弘

よくある質問(FAQ)

A : POSデータとは、Point Of Sales(販売時点情報管理)の略称で、商品が購入された時点で記録される販売データのことです。いつ、どこで、何が、いくらで、何個売れたのかという基本情報が含まれており、販売日時、店舗名、商品名、価格、数量などのデータを活用して売上の傾向を把握することができます。

A : ID-POSデータは、顧客IDと購買情報を紐づけたPOSデータです。通常のPOSデータが「何が売れたか」を記録するのに対し、ID-POSデータはポイントカードや会員情報と連携させることで「誰が何を買ったのか」を特定できます。顧客の性別、年齢、居住地域などの属性情報も含まれているため、顧客の購買行動をより深く理解することができます。

A : AIによるPOSデータ分析には、以下のような革新的なメリットがあります。
天気や気温などの外部要因を考慮した高精度な需要予測、購買パターンのクラスタリングによる潜在顧客の発掘、動的価格設定とプロモーション効果の即時分析、リアルタイム分析による即時対応、分析業務の自動化による工数削減と属人化の解消が実現できます。

A : AI需要予測では、過去の販売データだけでなく、天候、曜日、イベント、価格、プロモーションなど多様な要因を考慮した高精度な予測を行います。機械学習アルゴリズムがこれらの複雑な要因の相関関係を自動的に学習し、将来の需要を高い精度で予測することで、在庫の最適化や欠品・過剰在庫の防止を実現できます。

A : 流通横断データとは、複数の小売店のPOSデータを統合したデータのことです。単一店舗のPOSデータでは見えなかった消費者の行動パターンや嗜好を、複数の流通チャネルをまたいで分析することで明らかにできます。どの商品がどの店舗で購入されているのか、顧客がどのような購買経路をたどっているのかを把握し、より効果的なマーケティング施策を立案することができます。

A : ローデータ(加工されていない生のデータ)を活用することで、以下のメリットが得られます。
自社独自のAI技術を用いた競合との差別化、詳細なデータ分析とカスタマイズ可能な分析軸の設定、リアルタイムデータ連携による市場変化への素早い対応、自社データ管理によるセキュリティリスクの最小化、継続的なデータ購入費用の削減とコスト最適化が実現できます。

A :POSデータ分析の自動化により、レポート作成工数の大幅削減、異常値検知の自動化による対応時間の短縮、アナリストの属人化解消による人件費の最適化が可能になります。その時間を戦略的な業務に振り向けることができます。また、データベンダーへの継続的な費用支払いからも解放されます。

A : POSデータとAI分析を組み合わせることで、データ起点の商品開発が可能になります。
流通横断データによる市場トレンドの把握、AIペルソナ分析による潜在ニーズの発掘、購買パターンのクラスタリングによるターゲット顧客の明確化、プロトタイプのテスト販売データのリアルタイム分析により、消費者の真のニーズに基づいた商品開発を実現できます。

A :独自データの保有により、データベンダーに依存せず自社で戦略検討を行うことができます。
具体的には、流通横断の購買履歴データとID付きローデータの取得、自社専用のデータ基盤の構築、自社AIアルゴリズムによる独自分析の実施、リアルタイムでのデータ更新と分析により、外部ベンダーへの依存を減らし、戦略的な競争優位性を確立できます。

A : AIペルソナ分析とは、AIが購買パターンをクラスタリングし、顧客を複数のペルソナ(顧客像)に自動的に分類する手法です。従来の手動によるペルソナ設定とは異なり、AIは膨大なPOSデータから潜在的な購買パターンを発見し、未顕在化ニーズを抽出します。これにより、マーケティング担当者が気づかなかった潜在顧客セグメントを発掘し、ターゲティング精度を飛躍的に高めることができます。

A : ABC分析とは、POSデータの分析手法の一つで、商品を売上貢献度によってA・B・Cの3つのグループに分類する方法です。この分析手法は、在庫管理や販売戦略の最適化に欠かせないツールとして広く活用されています。
具体的には、売上上位70-80%を占める商品を「Aグループ」、次の15-20%を「Bグループ」、残りの5-10%を「Cグループ」として分類します。POSデータの活用により、商品ごとの売上を正確に把握し、どの商品を重点的に管理すべきかが明確になります。Aグループの商品は欠品が許されない重要商品として厳密な在庫管理が可能です。一方、Cグループは在庫削減の対象となり、店舗運営の効率化に役立ちます。

A : POSデータの活用事例は、小売業から製造業まで幅広い業界で見られます。代表的な活用事例をわかりやすく解説します。
第一に、コンビニエンスストアでは、時間帯ごとの販売データを分析し、ピークタイムに合わせた人員配置や商品の品揃えの最適化が可能です。POSデータに含まれる販売時刻の情報が、店舗運営の効率化に欠かせない要素となっています。
第二に、スーパーマーケットにおける商品の組み合わせを分析する活用事例があります。どの商品を一緒に購入されているのかをPOSデータの分析により把握し、効果的な売り場配置やクロスセル施策の立案に役立ちます。例えば、ビールとおつまみの購買相関を発見し、陳列を工夫することで売上向上が実現できます。
第三に、アパレル業界では、顧客分析にPOSデータを活用した事例が増えています。年齢層ごとの購買傾向やシーズンごとの売れ筋商品を把握し、仕入れや在庫管理の精度向上が重要です。

A : POSデータに含まれる情報は、販売活動の全体像を把握するために欠かせないデータ群です。具体的な内容をわかりやすく解説します。
基本的にPOS データには、販売日時、店舗コード、商品コード、商品名、カテゴリ、価格、販売数量、割引情報等が含まれます。これらのデータを分析することで、いつ、どこで、何が、いくらで、何個売れたのかが明確になります。
さらに、ID-POSデータの場合は、会員ID、顧客属性(年齢、性別、居住地域)、購買履歴なども含まれるため、より詳細な顧客分析が可能です。これらの情報は、マーケティング戦略の立案に役立ち、ターゲティング精度の向上が重要です。
また、POSデータには、決済方法、レジ担当者、返品・交換情報なども含まれることがあり、店舗運営の効率化や人件費の最適化にも活用できます。
年齢層ごとの嗜好の違いや、地域ごとの購買パターンを把握し、ターゲティング精度を高めることが重要です。これにより、マーケティングROIの最大化が可能になります。

※スマートレシートは東芝テック株式会社の登録商標です。