東京地下鉄株式会社(東京メトロ)様 採用事例

省エネ大賞&環境大臣表彰をW受賞した
世界初の高効率駆動システム

高効率駆動システム開発までのストーリー

3つの先端技術を組み合わせた高効率駆動システム
既存車両と比べて消費電力量の27%削減※1に成功

3つの先端技術を組み合わせた高効率駆動システム既存車両と比べて消費電力量の27%削減に成功

3つの先端技術を組み合わせた世界初※2の高効率駆動システムを、東京メトロ丸ノ内線2000系2101編成に導入しました。その技術とは、①架線からの直流電圧をモーター駆動用に変換する「All-SiC素子搭載のVVVFインバータ」②永久磁石を使用したモーター「永久磁石同期電動機(PMSM)」③余剰電力の蓄電および走行時の電力としても使用できる非常走行用電池「リチウムイオン二次電池SCiB™」です。2019年2月に2000系車両として運用を開始し、既存車両02系PMSM車と比べて消費電力量の27%削減に成功。2019年度の省エネ大賞&環境大臣表彰を受賞※3しました。

※1 
2019年2~5月に営業車両にて消費電力量を測定し、質量補正の上、比較した結果による

※2 
2018年10月時点、当社調べ

※3 
省エネ大賞:2019年度 省エネ大賞経済産業大臣賞 製品・ビジネスモデル部門輸送分野

環境大臣表彰:令和元年度 地球温暖化防止活動環境大臣表彰 対策技術先進導入部門

竹野 史洋 鉄道システム事業部 鉄道営業第二部

竹野 史洋
鉄道システム事業部 鉄道営業第二部

余剰回生電力とスペースの有効活用
重要インフラに安全な省エネ機器を

東京メトロ様は、約2,750両もの電車を秒単位のダイヤで運行し、1日平均で498万人(2020年)の乗客を輸送しています。その中でも丸ノ内線は、高い混雑率に加え、駅間も短く急勾配・急カーブの多い路線。車両の長さも18mで、中・小型の部類といえます。
そのため当社は、東京メトロ様と共同でフィールド試験を実施し、潜在的な二つの課題を抽出しました。一つは「余剰回生電力の有効活用」、もう一つが「車両床下スペースの有効活用」です。首都圏の重要インフラに貢献するための、熱放出量削減と小型軽量化。安全・安定の省エネ機器の開発が求められました。

長年のシステム検証・改善が結実省エネ化と小型軽量化に成功

長年のシステム検証・改善が結実
省エネ化と小型軽量化に成功

「余剰回生電力の有効活用」については、2015年から取り組みを進めていました。当時の最新車両の運用状況から、回生ブレーキ時に熱放出されていた電力を解析。この余剰回生電力を車両に搭載したバッテリーで吸収し、再利用できるシステムを開発しました。
「車両床下スペースの有効活用」に関しては、NEDO※4の支援を受けて1.7kV定格のAll-SiC素子を開発し、インバータに適用。その結果、回路の高効率化とともに、装置サイズの38%削減(既存車両と比較)に成功しました。また、ALL-SiC素子適用に伴いPMSMもより高いレベルでの最適設計を実現し、フレームレス構造※5採用と併せて、高電流化・高効率化・軽量化を実現しました。

※4 
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

※5 
固定子の鉄心にフレームの役割を持たせ、固定子スペースを大きくした構造

日本のみならず世界も注目 銀座線1000系車両から続く安全対策

日本のみならず世界も注目
銀座線1000系車両から続く安全対策

当システムは、既存車両02系PMSM車に比べて消費電力量を27%削減した事に加え、メンテナンス性や安全対策にも貢献しています。たとえば非常走行用バッテリーシステムの搭載によって、万一の停電時でも最寄り駅まで非常走行が可能になりました。これは銀座線1000系車両から続く取り組みであり、丸ノ内線2000系の安全・安定な地下走行を支える重要な要素の一つです。
また同車両は、2018年にドイツで開催された世界最大級の鉄道見本市イノトランスに出展され、国内外で大きく注目されました。
今後も当社は、回生吸収機能や力行アシスト機能の評価を引き続き実施し、省エネ性能のさらなる向上を目指していきます。

事例概要

高効率駆動システム

東芝インフラシステムズは、東京メトロ様が2019年2月から運行を開始した丸ノ内線新型車両2000系2101編成に、新たに開発したALL-SiC素子適用のVVVFインバータ装置、全閉式永久磁石同期電動機、リチウムイオン二次電池SCiB™を組み合わせたシステムを納入。既存車両02系PMSM車と比較して、消費電力量の約27%削減に成功しました。このシステムの導入は、世界で初めての事例です。
また、導入翌年には本ビジネスモデルが評価され、2019年度の省エネ大賞および環境大臣表彰を東京メトロ様と共同で受賞しています。

事例名称
東京地下鉄株式会社(東京メトロ)様 採用事例
導入時期
2019年2月
場所
東京都台東区
今回導入した製品

今回導入した製品(ソリューション)

車両システム

速度や信頼性をはじめとする性能・機能へのニーズに応えるだけでなく、さらに環境負荷の低減を意識した車両システムを開発。先進の環境性能を目指した各種製品を国内外に提供しています。

弊社担当者のコメント

鉄道システム事業部 鉄道営業第二部 竹野 史洋

東芝インフラシステムズ

鉄道システム事業部 鉄道営業第二部 竹野 史洋

鉄道業界に限らず、さまざまな業界で変革期を迎えていますが、私たちにできることはこれまでと大きく変わりません。それは、東京メトロ様の安全・安定・省エネに最新技術で貢献していくこと、現地・現物で試行錯誤を繰り返し潜在的な課題を抽出/解決していくこと、そして、日本発・世界初を実現していくことです。
日本の鉄道業界には、世界に誇れる技術・品質・人間力があります。我々東芝の鉄道事業も、その発展とともに120年以上続いてきました。これまで、前任者や先輩方が取り組んできたように、私もお客さまと一緒に日本発・世界初の事業に貢献できるよう日々努めてまいります。

採用企業様プロフィール

東京地下鉄株式会社(東京メトロ)様

東京地下鉄株式会社(東京メトロ)様

企業情報

所在地
東京都台東区東上野三丁目19番6号
設立
2004年4月
資本金
581億円
事業概要
1.旅客鉄道事業の運営
2.関連事業の運営
 •流通事業(駅構内店舗、商業施設の運営等)
 •不動産事業(オフィスビルの賃貸等)
 •情報通信事業(光ファイバーケーブルの賃貸等)
URL
https://www.tokyometro.jp/index.html