東海旅客鉄道株式会社(JR東海)様 採用事例

安全性・異常時対応力の向上に貢献する
世界初の高速鉄道向けバッテリ自走システム

バッテリ自走システム開発までのストーリー

リチウムイオン二次電池SCiB™を用いた自走用バッテリ装置で
災害などに起因する長時間停電時の自力走行を可能に。

リチウムイオン二次電池SCiB™

今回、JR東海様に導入した高速鉄道として世界初の「バッテリ自走システム」は、車両床下にあるバッテリに電力を蓄えておくことによって、停電時に架線からの給電がなくても自力走行を可能にする仕組みで、リチウムイオン二次電池SCiB™を適用した自走用バッテリ装置および主変換装置と主電動機から成る駆動システムで構成されています。バッテリ装置は通常、パンタグラフから補助電源装置を介して充電されますが、自走時には当システムがバッテリ装置を補助電源装置から切り離し、バッテリ装置から駆動システムへ電力を供給する回路を構成します。

※ 2019年7月時点、当社調べ

牧田 暁生 中部支社 中部鉄道システム営業部

牧田 暁生
中部支社 中部鉄道システム営業部

災害時の安全・安定輸送に資する
新しい車両システムの開発

安全・安定輸送を使命とするJR東海様は、13年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型車両N700Sの開発において、安全性・安定性・快適性・環境性能の全てで、最高レベルの車両を目指しておりました。その中で安全性については、災害への備えをより充実させたいとの考えがありました。
災害によって架線からの電力供給ができない場合に、車両を安全な場所まで移動させるにはどうしたら良いか。また、それをどのように新型車両に組み込むのか。災害への備えをより充実させるための開発に、主回路から補助回路、情報、保安システムまで包括的に担っている当社も携わりました。

メーカーの総合力と技術力を活かした多機器横断的な開発プロジェクト

メーカーの総合力と技術力を活かした
複数機器を横断した開発プロジェクト

開発目標の一つになったのは、東海道区間の全トンネル・橋梁からの自走脱出を可能にさせることでした。そのため、バッテリメーカーとしての総合力と、主回路機器の小型・軽量化への技術力を組み合わせて、バッテリ自走システムという全く新しい製品をご提案しました。
通常、新しいシステムの開発には複数機器の知見が必要ですが、当社は多くの車両システム製品を開発してきた実績があるため、その強みを活かして、複数機器を横断した開発プロジェクトを展開しました。JR東海様とも一体になって、バッテリ容量の検討、主回路性能や当該区間の情報を把握した上でのシミュレーションと検証、さらには試験車での走行試験を繰り返すことで、目標を達成しました。

バッテリ自走システムで新幹線の安全性向上に貢献

バッテリ自走システムで
新幹線の安全性向上に貢献

プロジェクトの成功によって、N700Sはバッテリ自走システムを搭載した世界初の高速鉄道となりました。自然災害などによる長時間停電時にも自力走行できる仕組みが、新幹線の安全性・異常時対応力向上に貢献しています。また、停電時においても、一部トイレの使用が可能になりました。より安全に、かつ、より快適な車両が当社の技術力によって実現できました。
今後も当社は、SCiB™などのデバイスからシステムまでの一貫した開発を進めるとともに、お客様と一体になって、高機能と高品質を両立する車両システムの展開に注力していきます。

事例概要

リチウムイオン二次電池SCiB™

N700Sは、13年ぶりのフルモデルチェンジとなる新幹線車両で、安全性・安定性・快適性・環境性能の全てを最高レベルでお客様に提供することを目指して開発されました。そのため当社は、安全・安定輸送というJR東海様の使命に、リチウムイオン二次電池SCiB™を用いたバッテリ自走システムという新たな発想で貢献すべく、共同開発を進めてきました。厳しい制約下でバッテリ装置の開発を実現させたことによって、N700Sをより一層、高機能な車両にすることができました。

事例名称
東海旅客鉄道株式会社(JR東海)様 採用事例
導入時期
2020年7月
今回導入した製品

今回導入した製品(ソリューション)

車両システム

速度や信頼性をはじめとする性能・機能へのニーズに応えるだけでなく、さらに環境負荷の低減を意識した車両システムを開発。先進の環境性能を目指した各種製品を国内外に提供しています。

弊社担当者のコメント

中部支社 中部鉄道システム営業部 牧田 暁生

東芝インフラシステムズ

中部支社 中部鉄道システム営業部 牧田 暁生

当社の鉄道事業の歴史は長く、そのスタートは1899年に遡ります。国産初の主電動機と台車を納入して以来、多岐にわたるお客様との取引を重ねるなかで、当社に求められる役割は徐々に変わってきました。それは、製品供給の役割から、鉄道システムを通じて社会課題を解決する役割です。そのような変遷は、当社が常にお客様の声に真摯に向き合ってきた結果ではないかと考えています。また当社には、幅広い産業分野で培ってきた知見とデジタル領域の先進技術を融合し、新しい価値を創出する力があります。今後もAIを活用した運行管理システムや、自動運転に寄与するセンサー技術などの最新技術を取り入れて、鉄道業界に絶えまない技術革新を起こし続けていきます。

採用企業様プロフィール

東海旅客鉄道株式会社(JR東海)様

東海旅客鉄道株式会社(JR東海)様

企業情報

所在地
愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番4号 JRセントラルタワーズ
設立
1987年4月
資本金
1,120億円
事業概要
鉄道事業、関連事業
URL
https://jr-central.co.jp/