産業技術総合研究所G-QuATの「ABCI-Q」で、
量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+」の提供を開始
~1,000万変数の組合せ最適化問題に対応し、量子技術の社会実装に貢献~
2025年10月7日
東芝デジタルソリューションズ株式会社
東芝デジタルソリューションズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、取締役社長:島田 太郎、以下 当社)が提供する量子インスパイア―ド最適化ソリューション「SQBM+」が、国立研究開発法人産業技術総合研究所 量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(以下 G-QuAT)の量子・古典ハイブリッド計算基盤「ABCI-Q」に採用されました。ABCI-Qは、10月14日より一般提供が開始されます注1。
変化の激しい世の中において、複雑化する課題の解決に取り組む社会や企業では、量子コンピューティング技術が注目されています。SQBM+は、株式会社東芝における量子コンピュータの研究過程で発明された「シミュレーテッド分岐アルゴリズム注2」を、既存のコンピュータ(古典コンピュータ)に実装した、組合せ最適化問題を高速に求解するソリューションです。1000万変数をサポートし、既存のコンピュータを使って、複雑で大規模な問題の高精度な近似解(良解)を短時間で得ることが可能です。当社は、SQBM+を活用して、株式市場における高速高頻度取引への疑似量子計算機適用の有効性に関する検証注3や計算創薬への適用技術の検証注4、工場倉庫内のピッキングルートおよび棚配置の最適化による物流管理の実証注5、エネルギーマネジメントや材料開発での有効性の検証などを行ってきました。
ABCI-Qは、量子コンピュータを活用するアプリケーション・ユースケース創出のための量子・古典ハイブリッドコンピューティングのための計算基盤です。 GPUを搭載したスーパーコンピュータである「システムH」を中核とし、3種類の量子コンピュータから構成されます。システムH上でのシミュレーション、3種類の量子コンピュータ、クラウドの量子コンピュータなど、用途に応じて様々な量子コンピュータを組み合わせたり、使い分けたりできる、最先端の量子・古典ハイブリッドコンピューティング環境を提供します。
SQBM+は、システムHにイジングマシン注6として搭載されます。当社は、ABCI-Qを通じて、SQBM+の計算環境をより広いアプリケーション領域に提供し、国内外のさまざまな企業や研究機関に幅広くSQBM+を活用してもらうことで、多様なユースケースの創出に貢献します。
また、今回、ABCI-Qに採用されたSQBM+は、オンプレミスGPUサーバ向けソフトウェアです。お客さまが自社で保有しているサーバでご利用いただけます。これまで一部のお客さまやパートナーさまに提供していたものですが、本日より一般提供を開始します。
当社は、今後も、G-QuATと協力して、量子技術の社会実装を加速させ、複雑化する社会課題の解決に貢献していきます。
今回の発表に際し、G-QuATから以下のコメントをいただいています。
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター
センター長 益 一哉 様
G-QuATではSQBM+を搭載した量子・古典ハイブリッド計算基盤「ABCI-Q」を提供致します。創薬、物流最適化、エネルギーマネジメント、材料開発の各産業分野の課題解決に、量子計算技術の貢献が大いに期待されています。SQBM+のような疑似量子計算もユースケースの実証には欠かせない技術であり、今後はABCI-Qを通して幅広いユーザーに公開されます。より豊かな社会の実現に向けて、東芝デジタルソリューションズ様と共に新たな一歩を踏み出せることを光栄に思います。
注1:産業技術総合研究所プレスリリース(2025年10月6日):量子・古典融合計算基盤『ABCI-Q』 の一般提供を開始:
https://www.aist.go.jp/aist_j/news/au20251006.html
注2:東芝ニュースリリース(2019年4月):世界最速・最大規模の組合せ最適化を可能にする画期的なアルゴリズムの開発について:
https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/19/1904-01.html
注3:東芝プレスリリース(2023年12月):世界初、計算困難な2次離散最適化に基づく高度な株式取引戦略を量子インスパイアード計算機「シミュレーテッド分岐マシン」を用いて執行するシステムを実証:https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/23/2312-03.html
注4:東芝デジタルソリューションズプレスリリース(2022年6月):量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+™」を活用し、計算創薬への適用技術を検証:
https://www.global.toshiba/jp/company/digitalsolution/news/2022/0627.html
東芝デジタルソリューションズプレスリリース(2024年8月):創薬困難なタンパク質をターゲットとしたIT創薬について戦略的に提携し、事業を開始:
https://www.global.toshiba/jp/news/digitalsolution/2024/08/news-20240826-01.html
注5:東芝デジタルソリューションズニュースリリース(2024年4月):TOPPANデジタルと東芝デジタルソリューションズ、量子インスパイアード最適化ソリューションSQBM+™を活用した、工場倉庫内のピッキングルートおよび棚配置の最適化を実証:https://www.global.toshiba/jp/news/digitalsolution/2024/04/news-20240424-01.html
注6:イジングマシン:イジングモデル(統計力学において、スピンを持つ原子の格子によって磁性体の磁化の振舞いを説明するモデル)の形式に変換した組合せ最適化問題を解くハードウェアやソフトウェア
- SQBM+は、東芝デジタルソリューションズ株式会社の日本またはその他の国における登録商標または商標です。
- その他、本文章に記載されている社名および商品名はそれぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。
- ニュースリリース/トピックスに掲載されている情報(サービスの内容/価格/仕様/関連リンク/お問い合わせ先など)は、発表日現在の情報です。
予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
- 量子インスパイアード最適化ソリューション 「SQBM+」
https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/ai-iot/sbm.html