変圧器などへの微量PCB混入の可能性について

変圧器等への微量PCBの混入可能性に関する調査結果について
(平成15年11月21日付)

平成14年7月12日付経済産業省製造産業局長通達(平成14・07・11製局第2号)、および環境大臣通達(環廃産第393号)を受け実施してきました「変圧器等への微量PCBの混入可能性に関する調査」の結果を、平成15年11月21日に両省庁へ報告いたしました。
以下に報告書の概要をお知らせします。詳細については、添付調査報告書を御参照願います。

1. 報告書の概要

(1) 微量PCB検出事例

  1. H15年7月末迄の検出事例総数は220台です。
    下記検出事例分布図では、最近の調査の結果、再検査にて不検出となった1991年製機器の事例を除外した219台の検出総数となっております。
  2. 1970年製の機器からの検出台数が一番多く、その前後±4年間及び61年、62年も他の年度に比べ多く検出されています。
  3. 検出事例の98%は1980年以前に製造されたものからです。
  4. 検出事例は、変圧器(184台)、リアクトル(12台)に加えて計器用変成器、誘導電圧調整器、LTC等その他の機器においても確認されています。
  5. 検出事例は全て新油使用機器から検出されており、再生油使用機器からの検出事例はありません。
  6. 検出事例の濃度別件数は、2ppm以下が全体の36%、5ppm以下が55%、10ppm以下で約74%を占めています。

検出事例分布図 イメージ
検出事例分布図

(2) 微量PCB混入の原因解明

(社)日本電機工業会(JEMA)に設置された「微量PCB検出変圧器等対策委員会」で当社を含め26社で、機器メーカーにおける混入の可能性、納入後の機器における混入の可能性、絶縁油への混入の可能性について調査を行いました。

その結果、PCBの製造・販売が全面的に禁止された1972年以前、PCBは不燃性絶縁油としてその特性が評価されど有害な油であるとの認識はなく、また、PCBの廃油処理も禁止されていなかったことから、事業者の廃PCBが最終的に廃油処理業者に引き取られ、その一部がリサイクル油として再生油メーカーの原料油として使用され、微量PCBの混入が拡大した可能性が高いと考えられます。

(3) 微量PCB混入の範囲の特定

現在使用されている機器の絶縁油に関し、柱上変圧器のPCB問題があった1989年以前は、油メーカー、機器メーカーともにPCB分析を実施しておらず、また、今回の調査においてユーザーの保守履歴も十分に確認できなかったことから、どの時点で微量PCBが混入したのかエビデンスを以って特定できず、微量PCB混入の範囲を特定することができませんでした。

(4) 当社の見解

<1989年以前に製造された機器>

現時点の検出事例から製造年1970年の前後4年(検出台数148台、全体の67%)が最も微量PCB混入の可能性が高い時期と考えられるものの、今後ユーザーにおける設備廃却対象機器の製造年が新しいものにシフトしてくるにつれ、微量PCB混入の範囲が広がる可能性は否定できないと考えます。

<1990年以降に製造された機器>

以下の対応等を根拠として、当社の製品出荷時における微量PCBの混入はないものと判断します。

  1. 再生油の生産が中止されたこと
  2. 当社は再生油の使用(1977~1980年)を中止した1981年以降、製造工程上新油しか使用していないこと
  3. 当社及び油メーカーとも絶縁油の品質管理強化として絶縁油のサンプリングによるPCB分析を実施していること
  4. 絶縁油メーカーよりPCB不含証明書を入手していること

<特別高圧設備機器につきましては、個別対応しております。>(2023年10月5日付)
1990年~2003年8月までに生産された特別高圧設備機器(変圧器、ブッシング)は、上記見解に当てはまらない事例がありますので、分析・確認の上、適正に廃却して頂きますよう、お願いします。

<高圧コンデンサ(OEM製品)への微量PCB混入可能性に関する見解について>(2023年10月5日付)

これまで当社では、1990年以降は微量PCBの混入はないという見解を示しておりましたが、OEM供給を受けていた一部の高圧コンデンサにつきましては、微量PCB混入の可能性が完全に否定できないことが判明しました。
詳細は、見解書 (PDF形式)(320KB)の添付資料-2をご参照下さい。

※ Original Equipment Manufacturing(Manufacturer)の略で、他社のブランド名で販売される製品を製造すること。

2. 今後の対応について

(1) 絶縁油の品質管理強化

今後製造する機器についても、1990年以降実施している絶縁油管理を継続することにより微量PCB混入が発生せぬよう努めるとともに、保守・メンテナンスの請負業務の一環として絶縁油交換を行う際には、関係法令に則り、微量PCBの拡散防止に努めます。

(2) PCB処理に関する技術協力

今後ユーザーの設備廃却が進むにつれてPCB処理対象機器が増加することが想定されることから、微量PCB混入問題は大きな社会的問題に発展していくとの認識にたち、引き続き微量PCB混入事例の把握に努めるとともに、微量PCB混入機器の処理に向けた国の機関での検討に積極的に協力していきます。
具体的には、微量PCBの処理方法並びにPCBの簡易分析法等です。

(3) ユーザーへの情報提供

微量PCB混入機器に関する情報の公開とユーザーへの対応が重要となることから、現在設けている「微量PCBお客様相談窓口」での個別ユーザー対応を継続するとともに、ユーザーにおける電気機器の保守・メンテナンス時の取扱いに関する技術情報の提供、微量PCB混入機器に関する技術情報の提供、PCB分析機関に関する情報の提供等を行っていきます。

変圧器等への微量PCBの混入可能性に関する最終調査結果について
(平成15年11月)

本文 (PDF形式)(246KB)

  1. はじめに
  2. サンプル調査について
  3. サンプル調査結果
  4. 微量PCB混入要因分析について
  5. 微量PCB混入原因調査
  6. 微量PCBの混入可能性について
  7. まとめ

<お客様へ>

  • 当社の機器別の判定について[更新:令和4年9月1日]
  • 微量PCB検出変圧器等の取扱い・管理については、(社)日本電機工業会(JEMA)のホームぺージを御参照願います。

社団法人 日本電機工業会(JEMA)

【お問い合わせ窓口】

微量PCBお客様相談窓口