量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+™」の
Amazon Web Services版をAWS Marketplaceで提供開始

2023年2月10日(金)

東芝デジタルソリューションズ株式会社

 東芝デジタルソリューションズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、取締役社長:岡田 俊輔、以下 当社)は、Amazon Web Services, Inc.が運営するAWS Marketplaceで、量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+」のAmazon Web Services版ソフトウェア「SQBM+ for AWS」を公開し、提供を開始しました。
 

 SQBM+は、株式会社東芝が開発した技術「シミュレーテッド分岐アルゴリズム(以下、SBアルゴリズム)」注1を用いた組合せ最適化ソルバー「シミュレーテッド分岐マシン(Simulated Bifurcation Machine 以下、SBM)」を核とした量子インスパイアード注2最適化ソリューションです注3
 当社は、 2019年7月より、AWS Marketplaceで、SBMのPoC(概念検証、proof of concept)版を無償で公開し注4、大学などの研究機関や、社会が抱える課題を組合せ最適化の実問題として解くことを目指している企業と協力して、さまざまな分野での社会課題解決に向けた実問題探索を行ってきました。PoC版は、世界中で数百のお客さまにご利用いただき、PoCを通じて得られた多くの知見がSQBM+に生かされています。
 PoCの次の段階として、お客さまの自社システムへの組み込みやビジネスユースでの実問題への適用が求められています。今回発表したSQBM+のソフトウェアモジュール「SQBM+ for AWS」により、金融・創薬・遺伝子工学・物流・AIを始めとするさまざまな領域での組合せ最適化問題の解決をめざすお客さまが、自社の業務アプリケーションやシステムへSQBM+を組み込んでご利用いただくことができるようになります。

 金融取引の最適化注5、産業用ロボットの動作の最適化、移動経路や送電経路の最適化、創薬のための分子設計注6など、社会や産業における課題の多くは、膨大な選択肢から最適なものを選び出す組合せ最適化に帰着します。組合せ最適化は、問題の規模が大きくなるにつれて組合せパターンの数が指数関数的に増大するため、既存の計算機で高速に解くことは困難です。このため、組合せ最適化専用計算機の開発が国内外で活発に行われています。
 SQBM+は、既存の計算機を使用して、複雑で大規模な問題の高精度な近似解(良解)を短時間で得ることが可能です。当社は、さまざまな領域にSQBM+を適用し、複雑化する社会課題の解決に貢献していきます。

SQBM+ for AWSの特長
  1. 組み込み利用ができるソフトウェアモジュール
    SQBM+ for AWSは、AWS環境で動作するAmazonマシンイメージ(Amazon Machine Image、以下AMI注7)で提供されます。AMIは、オペレーティングシステムを含むソフトウェア構成を記録したテンプレートです。AMI から、インスタンスと呼ばれるAWSクラウドの仮想サーバーを起動します。
     AMIは、あらかじめ必要な設定がされているので、すばやく簡単にインスタンスを起動することができ、すぐに
      SQBM+が使えるようになります。SQBM+をインストールする必要はありません。
    ・ インスタンスは、利用者が専有できるサービスです。リソースを専有できるので、高速な実行が可能です。
      専有したリソースは、利用者が自由にコントロールすることができます。(オートスケール、冗長化、起動停止)
    ・ お客さまのシステムに組み込むことができるので、ネットワークなどのオーバーヘッドを抑えることができます。

  2. 新アルゴリズム注8を採用したSBM
    速度・精度・規模を大幅に向上させる新アルゴリズムを採用したSBMを提供します。
    SBMの特性注9を生かし、最大100,000変数のイジング問題に対応するイジングソルバー注10を提供します。
    ・ 短時間で良解を見つける高速アルゴリズム「弾道的シミュレーテッド分岐アルゴリズム(bSB11
    ・ より高精度な解を見つける高精度アルゴリズム「離散的シミュレーテッド分岐アルゴリズム(dSB12
    ・ 上記2つのアルゴリズムを自動的に使い分ける機能を実装しています。

  3. AWS Marketplaceでの提供
    AWS Marketplace は、AWSのパートナーから提供されるソフトウェアやサービスを、必要な時に購入し、すぐに使用を開始することができるオンラインソフトウェアストアです。数回のクリックで、設定済みのソフトウェアを起動することができます。AWS Marketplaceでは、柔軟な料金オプションが用意されており、SQBM+ for AWSも、従量課金と月定額のモデルを用意しています。

SQBM+ for AWSの価格
 
SQBM+ for AWSは、研究開発用途に限定したLearn & DevelopmentとBusiness Standardの2つのプランを用意しています。それぞれのプランについて、使用時間に応じた従量課金と月定額の2つの価格モデルを用意しています。

商品名 プラン 価格モデル 価格 備考
SQBM+ for AWS Learn & Development
研究開発用途限定
従量課金 $200/時間 利用開始から30日間無料
月定額 $1,000/月  
Business Standard 従量課金 $1,800/時間  
月定額 $9,000/月  

※   お客さまにてAWSのIaaS(Amazon EC2)をご用意いただく必要があります。

 当社は、今後も、お客さまのニーズに応じたオンプレミス版の提供や、お客さまの導入を支援するプロフェッショナルサービスの開発を進め、SQBM+のラインアップを拡充してまいります。

■   AWS Marketplaceの当社プロダクトページ(英語)
https://aws.amazon.com/marketplace/seller-profile?id=d204c622-7c0d-4510-8686-2bfb3213afa8 (Amazon Web Services, Inc.)

注1:
東芝プレスリリース(2019年04月):世界最速・最大規模の組合せ最適化を可能にする画期的なアルゴリズムの開発について
https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/19/1904-01.html
H. Goto et al., Science Advances 5, eaav2372 (2019). https://doi.org/10.1126/sciadv.aav2372

注2:
量子力学の原理に基づく計算手法(量子計算)から導出もしくは直接的な着想を得て開発された新しい計算手法のこと。疑似量子と呼ばれることもある。

注3:
東芝デジタルソリューションズプレスリリース(2022年3月):量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+™」の提供開始について:
https://www.global.toshiba/jp/company/digitalsolution/news/2022/0302-2.html

注4:
東芝デジタルソリューションズプレスリリース(2019年7月):大規模組合せ最適化を高速に実行するソフトウェア「シミュレーテッド分岐マシン」をAWS Marketplace上に公開:
https://www.global.toshiba/jp/company/digitalsolution/news/2019/0717.html

注5:
東芝プレスリリース(2019年10月):シミュレーテッド分岐アルゴリズムを搭載した超高速な金融取引マシンのコンセプト実証機を開発:
https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/19/1910-02.html
東芝プレスリリース(2021年5月): 世界初、金融市場における疑似量子計算機による高速高頻度取引の有効性の共同検証を開始:
https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/21/2105-01.html

注6:
東芝デジタルソリューションズプレスリリース(2022年6月):量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+™」を活用し、計算創薬への適用技術を検証:
https://www.global.toshiba/jp/company/digitalsolution/news/2022/0627.html

注7:
Amazon Web ServicesのIaaSサービスであるAmazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) でインスタンス(クラウドの仮想サーバー)を起動させるのに必要なオペレーティングシステムを含むソフトウェア構成情報を提供するテンプレート。インスタンスの起動時の構成は、インスタンス起動時に指定した AMI のコピー。

注8:
東芝プレスリリース(2021年2月):世界最速・最大規模の組合せ最適化計算機「シミュレーテッド分岐マシン」の速度・精度・規模を大幅に向上させる新アルゴリズムを開発:
https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/21/2102-02.html
H. Goto et al., Science Advances 7, eabe7953 (2021). https://doi.org/10.1126/sciadv.abe7953

注10:
イジングモデル(統計力学において、スピンを持つ原子の格子によって磁性体の磁化の振舞いを説明するモデル)に基づき制約なし二次形式二値変数最適化問題を解くためのソルバー

注11:
ballistic Simulated Bifurcation (bSB)。力学的な振る舞いが弾道的であることから、このように呼ぶ。また、bSMをデジタル計算機上に実装したマシンを「bSB Machine (bSBM)」と呼ぶ。

注12:
discrete Simulated Bifurcation (dSB)。運動方程式において連続値を離散値で置き換えることから、このように呼ぶ。また、dSBをデジタル計算機上に実装したマシンを「dSB Machine (dSBM)」と呼ぶ。

  • SQBM+は、東芝デジタルソリューションズ株式会社の日本またはその他の国における登録商標または商標です。
  • Amazon Web Services、AWS、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)は、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
  • その他、本文章に記載されている社名および商品名はそれぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。
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