エンタープライズ向けブロックチェーン「DNCWARE Blockchain+」を提供開始

~簡単にアプリケーションが作成できる、プライベートブロックチェーンを開発~

2022年5月9日(月)

東芝デジタルソリューションズ株式会社

 東芝デジタルソリューションズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、取締役社長:岡田 俊輔、以下 当社)は、新たに開発したエンタープライズ向けプライベートブロックチェーン「DNCWARE Blockchain+」のサービスを本日から 提供開始します。
 「DNCWARE Blockchain+」は、当社の実績あるクラスタ技術に基づいた高信頼なブロックチェーンです。また、アプリケーションを簡単に作成でき、ブロックチェーンネットワーク自体の管理・運用を意識することなく利用することができます。

 社会・産業の基盤・枠組みは、集中・垂直統合型から分散×ネットワークへと変化しています。ブロックチェーンは、この「分散型社会」と親和性が高く、有望な技術です。ブロックチェーンを利用すると、企業ごとに閉じて管理されていた情報を企業間で安全に共有できるようになり、これまで実現しにくかった企業をまたがった新しい取り組みやしくみを実現できます。実際に、コンテンツの著作権管理や食品のトレーサビリティなど、さまざまな分野への応用が始まっています。

 ブロックチェーンは、複数のコンピューター(ノード)注1で構成され、高可用と高信頼(耐改ざん性)を特長とし、改ざん等の不正を防止するために、処理結果の正当性を各ノードが参加する多数決(合意形成)で決定しています。ブロックチェーンには、パブリック型とプライベート型があります。パブリックブロックチェーンは、ノード運営者が不特定多数であるため、合意形成にPoW注2と呼ばれるアルゴリズムを採用することが多く、更新処理に時間がかかります。データを適時に更新することが難しいため、企業用途では多くの場合、合意形成が速いプライベートブロックチェーンが選択されています。
 しかしながら、プライベートブロックチェーンは、アプリケーション開発者がブロックチェーンネットワークの管理・運用を行わなければならないものが一般的で、管理・運用を意識することなく、簡単にアプリケーションを作成できる環境が求められていました。

 今回、サービス提供を開始する「DNCWARE Blockchain+」は、ブロックチェーンネットワークの管理・運用を意識することなく、簡単にアプリケーションを作成できるプライベートブロックチェーンです。企業用途で求められる高信頼性については、当社がもつクラスタ技術(複数のコンピューターを連携させてひとつのシステムとして動作させる技術)を合意形成の多数決ロジックに応用して実現しています。
 当社のブロックチェーンの特長は、以下のとおりです。

「DNCWARE Blockchain+」の特長

  1. マネージドサービスとしての提供なのですぐに使える
    ブロックチェーンのソフトウェア自体ではなく、複数ノードで構成されるブロックチェーンネットワークのマネージドサービスを提供。アプリケーション開発者は、ブロックチェーンネットワークの構築、管理・運用を意識することなく、すぐに使うことができます。 
    なお、ブロックチェーンネットワークのノードを、アプリケーション開発者自らが用意いただくことも可能です。
  2. アプリケーション事業者はスマートコントラクトを自由に作成・リリースできる
    アプリケーション開発者は、ブロックチェーンネットワーク管理・運用者の承認を得ることなく、スマートコントラクト注3を作成・リリース(デプロイ)することができます。アプリケーション開発者同士が自由にビジネスを展開できる環境を提供します。また、スマートコントラクトを開発するためのツールも用意しています。
  3. 実績あるクラスタ技術に基づいた高信頼なブロックチェーンネットワーク
    「DNCWARE Blockchain+」は、当社が20年以上にわたって実績をつんできたクラスタ技術をベースにしています。当社のクラスタソフトウェアは企業の重要システムや、社会インフラシステムで導入されています。そこで培ってきた、ネットワーク上の複数サーバの連携を高度に制御するクラスタ技術を基に開発した新たな合意形成のアルゴリズムで、高い信頼性を実現しています。
サービス価格
 
5万トランザクション 月額 250千円~(税抜き)   ※トランザクション量やノード数で、料金が変わります


「DNCWARE Blockchain+」は、「Toshiba OPEN INNOVATION PROGRAM 2021」を通じて、先行してSAMURAI Security株式会社のオンライン相続支援サービス注4や、ZEROBILLBANK JAPAN株式会社の物流トレーサビリティ注5で評価をいただいてきました。また、長崎市における契約事務のデジタル化注6など、複数の実証実験が進行中です。
 今後、NFT注7の活用なども含めて、引き続き、ブロックチェーンの利用拡大の取り組みを進めてまいります。


協業している企業様からのコメントをいただきました。

<SAMURAI Security株式会社  CEO 濱川 智 様>
  
私達は面倒な相続手続きをスマートフォンで完結するオンライン相続支援サービス「サラス」でDNCWARE Blockchain+を採用しています。サラスで提供する「電子実印」による契約機能では、押印時の本人確認・真意確認をブロックチェーンによって分散化された認証局が行う民主主義型の「認証プロセス」を導入することで不正を防止しています。この新しい認証プロセスを実現するためには、プライベートチェーンとパブリックチェーン双方の要件を満たす必要がありますが、DNCWARE Blockchain+を採用することで実現できました。ベンチャー企業のわがままな需要に応えるインフラとして非常にありがたい存在です。

<ZEROBILLBANK JAPAN株式会社  代表取締役 堀口 純一 様>
弊社ではブロックチェーンの黎明期より、ブロックチェーン技術を活用したユースケース創出や、アプリケーション開発を進めてまいりました。昨年、「Toshiba OPEN INNOVATION PROGRAM 2021」への参画をきっかけに、「DNCWARE Blockchain+」 を活用した物流トレーサビリティーソリューションである「Trace Ledger」事業 を展開。具体的には、ペーパーレスやESG領域の取り組みをサポートするスマートコントラクトを「DNCWARE Blockchain+」上で稼働させながら、新たなビジネスモデルの構築を進めております。技術面だけではなく、ビジネス面からも非常に使いやすいプラットフォーム基盤だと感じておりますので、今後とも両社のシナジーを活かした形で事業展開を行ってまいります。
図:アプリケーションを開発しやすい、高信頼なプライベートブロックチェーン

注1:ノード
ブロックチェーンが稼働するコンピューター。複数のノードでブロックチェーンネットワークを構成する。

注2:PoW
「Proof of Work(プルーフ・オブ・ワーク)」の略。
合意を形成する方法のひとつ。ビットコインなど多くの暗号資産で採用されている。データ更新のために必要な計算を全ノードが競って行い、最初に計算を完了したノードの更新処理を、全ノードの合意とする方法。

注3:スマートコントラクト
ブロックチェーン上で契約の条件確認や締結、履行を自動的に実行させる仕組み・プログラム

注4:
オンライン相続支援サービス
https://navi-saras.jp/

注5:
ZEROBILLBANKとLOZI、物流DX支援パッケージ「Trace Ledger」を提供開始
https://zerobillbank.com/news/プレスリリース-11

注6:
ブロックチェーンを活用した契約事務のデジタル化に関する連携協定を長崎市と締結
~ 契約事務手続きの効率化、新型コロナ感染症対策など、自治体DXを推進 ~
https://www.global.toshiba/jp/company/digitalsolution/news/2021/0927.html

注7:NFT
「Non-Fungible Token(ノン-ファンジャブル トークン)」の略。ブロックチェーンの技術を使った、替えが利かない一点ものの暗号資産

  • 「DNCWARE」、「DNCWARE Blockchain+」は、東芝デジタルソリューションズ株式会社の日本またはその他の国における登録商標または商標です。
  • その他、本文章に記載されている社名および商品名はそれぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。
  • 「第3回ブロックチェーンEXPO【春】」に出展いたします
    5月11日~13日の3日間、東京ビッグサイトで開催される第3回ブロックチェーンEXPO【春】に出展いたします。無料公開セミナーも行います(5月12日 14:00~15:00、南1ホール展示会場内)。
    https://www.global.toshiba/jp/company/digitalsolution/event/2022/0511-0513.html