標準機能で顧客の要望を実現 ― 現場にフィットするCRMとは
クラウドサービス型コンタクトセンターソリューション
「T-SQUARE®/CT FC Edition」
ハミガキや洗剤などの生活必需品から一般用医薬品など、人々の暮らしに役立つ製品・サービスをグローバルに提供しているライオン株式会社。同社のお客様センターでは、電話やメールなどを通じた顧客とのコミュニケーションを製品開発やサービス向上に役立てるためのCRM基盤を刷新した。その新たなクラウド型CRM基盤に採用されたのが、東芝デジタルソリューションズ(以下、東芝)が提供するクラウドサービス型コンタクトセンターソリューション「T-SQUARE®/CT FC Edition」である。
Before
同社が長年運用してきたCRM基盤が保守契約期間終了を迎えインフラ基盤も老朽化が進んでおり、新たな環境整備が必要となっていた。環境整備にあたっては、現場コミュニケータへの影響を最小限に抑えるためにも従来の運用が踏襲できる仕組みであるとともに、使い勝手の向上と、ライオン独自の運用にも標準機能で柔軟に対応できるソリューションが求められていた。
After
数社のシステムを比較の上で、独自の運用をセルフカスタマイズするなど標準機能の範囲で実現できる、クラウドサービス型コンタクトセンターソリューションT-SQUARE/CT FC Editionを採用。従来の運用を踏襲しながら、オンプレミスからクラウドサービスへのスムーズな移行が実現した。また、使い勝手を向上させながら項目追加をはじめとした画面変更などの内製化対応が可能になるとともに、サーバをはじめとするインフラ基盤の運用管理負担も大幅に軽減した。
お客様の声を製品・サービスの向上につなげていくために
1891年の創業以来、130年以上にわたり、人々の暮らしとともに歩んできたライオン株式会社。「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」というパーパスに基づき、同社は現在2030年に向けた経営ビジョン「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」の実現に向け、サステナビリティ重要課題への取り組みと成長戦略を推進している。
同社において、問い合わせ対応など顧客とのコミュニケーションを通じて製品・生活情報を提供すると同時に、顧客の声を製品・サービスの向上につなげていく役割を担っているのがお客様センターだ。「パーパスを実践するための信念の1つに掲げる、“価値は顧客が決める”に重きを置きながら、お客様の声に真摯に耳を傾け、蓄積されたVOC(顧客の声)を活かして製品の開発・改良やサービスの向上につなげていくための環境整備を進めています」とお客様センター カスタマーコミュニケーショングループ カスタマー窓口第2チーム 中島 崇宏氏は説明する。
お客様センター カスタマーコミュニケーショングループ
カスタマー窓口第2チーム
中島 崇宏氏
更新を機により使い勝手の良いCRMシステムを模索
顧客との円滑なコミュニケーション実現に向け、お客様センターでは電話対応をはじめ、メールやチャットボット、SNSなど多様なチャネルを設定。同時に、顧客の声を集約するため、CRM基盤として1995年に東芝のコールセンターパッケージを導入以来、システム更新を繰り返しながら順調に運用してきた。
しかし、2025年3月に保守契約が終了するタイミングを迎えることとなった。「既存環境に大きな課題があったわけではありませんが、これを機に業務効率化につながる新たな環境へ刷新したいと考えました」と中島氏は振り返る。
以前はパッケージ製品をオンプレミスで運用しながら使い勝手を高めるためのカスタマイズを随所に施しており、改修費用などの負担が少なくなかった。「業務プロセス上の課題が生じた際には必要に応じて外部へカスタマイズを依頼していたため、改修期間やコストもかかり、結果的に業務そのものも属人化してしまっていました。そのため、標準仕様内で自社に合わせた運用ができるような基盤が理想でした」とデジタル戦略部 情報システムグループ 開発チーム 吉澤 朝子氏は語る。
デジタル戦略部 情報システムグループ 開発チーム
吉澤 朝子氏
デジタル戦略部 情報システムグループ 開発チーム
吉澤 朝子氏
顧客との円滑なコミュニケーション実現に向け、お客様センターでは電話対応をはじめ、メールやチャットボット、SNSなど多様なチャネルを設定。同時に、顧客の声を集約するため、CRM基盤として1995年に東芝のコールセンターパッケージを導入以来、システム更新を繰り返しながら順調に運用してきた。
しかし、2025年3月に保守契約が終了するタイミングを迎えることとなった。「既存環境に大きな課題があったわけではありませんが、これを機に業務効率化につながる新たな環境へ刷新したいと考えました」と中島氏は振り返る。
以前はパッケージ製品をオンプレミスで運用しながら使い勝手を高めるためのカスタマイズを随所に施しており、改修費用などの負担が少なくなかった。「業務プロセス上の課題が生じた際には必要に応じて外部へカスタマイズを依頼していたため、改修期間やコストもかかり、結果的に業務そのものも属人化してしまっていました。そのため、標準仕様内で自社に合わせた運用ができるような基盤が理想でした」とデジタル戦略部 情報システムグループ 開発チーム 吉澤 朝子氏は語る。
こうしたことから新たな環境づくりにおいては、従来の独自運用を可能な限り踏襲するとともに、カスタマイズを行わずに業務をシステムの標準機能に合わせる “Fit to Standard”との両立を追求することとした。同時に、全社的に業務システムのクラウドシフトが進んでいることから、クラウド環境で利用できるCRM基盤の構築を目指した。
独自運用を標準機能でカバーできるセルフカスタマイズ機能
同社の社内事情に沿った独自運用の踏襲を目指す背景には、現場の混乱をなるべく避けたいという思いがあった。「特に即時の応対が求められる電話対応を担当するコミュニケータが混乱しないよう、従来の運用が踏襲できるものを念頭に検討しました」と語るのは、お客様センター カスタマーコミュニケーショングループ カスタマー窓口第1チーム 根本 洋一郎氏だ。
また、従来以上に見やすく使い勝手のよい仕組みとともに、VOCの見える化を実現する外部システムとの連携で従来通りの項目が反映できるかなど、データ活用の面も考慮したという。「お客様からのさまざまな声は我々だけでなく、多くの部署で活用されており、過去の情報と整合性を図っていくためにも、既存環境が踏襲できるものが必要でした」と中島氏。
こうしたことから、営業部門が利用している海外のCRMソリューション、電話システムとの柔軟な連携が期待できる仕組みなど、複数のソリューションを比較検討した。
検討する中で有力候補となったのが、東芝が提供するクラウドサービス型コンタクトセンターソリューションT-SQUARE/CT FC Editionだ。長年運用してきた同社のCRM基盤が東芝が提供するソリューションだったことから、従来の運用フローを踏襲しながらのデータ移行など現場に適用しやすいと判断したという。特に同社が持つ製商品マスターは数が多く階層も深いため、従来通りのマスター連携が期待できるT-SQUARE/CT FC Editionを高く評価した。
お客様センター カスタマーコミュニケーショングループ
カスタマー窓口第1チーム
根本 洋一郎氏
お客様センター カスタマーコミュニケーショングループ
カスタマー窓口第1チーム
根本 洋一郎氏
同社の社内事情に沿った独自運用の踏襲を目指す背景には、現場の混乱をなるべく避けたいという思いがあった。「特に即時の応対が求められる電話対応を担当するコミュニケータが混乱しないよう、従来の運用が踏襲できるものを念頭に検討しました」と語るのは、お客様センター カスタマーコミュニケーショングループ カスタマー窓口第1チーム 根本 洋一郎氏だ。
また、従来以上に見やすく使い勝手のよい仕組みとともに、VOCの見える化を実現する外部システムとの連携で従来通りの項目が反映できるかなど、データ活用の面も考慮したという。「お客様からのさまざまな声は我々だけでなく、多くの部署で活用されており、過去の情報と整合性を図っていくためにも、既存環境が踏襲できるものが必要でした」と中島氏。
こうしたことから、営業部門が利用している海外のCRMソリューション、電話システムとの柔軟な連携が期待できる仕組みなど、複数のソリューションを比較検討した。
検討する中で有力候補となったのが、東芝が提供するクラウドサービス型コンタクトセンターソリューションT-SQUARE/CT FC Editionだ。長年運用してきた同社のCRM基盤が東芝が提供するソリューションだったことから、従来の運用フローを踏襲しながらのデータ移行など現場に適用しやすいと判断したという。特に同社が持つ製商品マスターは数が多く階層も深いため、従来通りのマスター連携が期待できるT-SQUARE/CT FC Editionを高く評価した。
さらに、T-SQUARE/CT FC Editionが持つセルフカスタマイズ機能を活用することで、現場への影響を最小限に抑えることができると判断。運用開始後の項目追加なども自分たちで設定可能なため、標準機能の中で自由度の高い環境が整備できると評価したという。
またお客様センター所属の視覚障がいがある社員が活用できる仕組みを以前から東芝とつくりあげていたが、今回この仕組みも標準機能として提供されることとなった。
こうして標準機能で独自運用が踏襲できるシステムの柔軟性とともに、長年同社の運用を支えてきた実績、そしてクラウドシフトという全社的な動きに適した要件を満たしたソリューションとして東芝のクラウド型コンタクトセンターソリューションT-SQUARE/CT FC Editionの採用が決定したのである。
お客様センターのより高度な運用を実現
T-SQUARE/CT FC Editionは、Microsoft Azure*上で稼働しており、電話対応やメールをはじめ管理業務も含めて数十名ほどが利用し、お客様センターに寄せられる1日あたり200~300件ほどの問い合わせ内容を記録している。外部連携としては、基幹システムで管理されている製商品マスターの取り込みとともに、顧客の声を活用するためのVOC見える化サービスとの連携が行われている。
外部連携部分の移行にあたっては、これまで活用していたカスタマイズされた運用を踏襲しつつ、 “Fit to Standard”を念頭に新たな要望も取り入れながら1年ほどかけて環境を整備した。従来運用を標準提供されるAPIを利用して実現した環境に移行したことで、これまで蓄積してきた情報が、移行後も継続して活用できるなど、追加のコストをかけることなくお客様センターのより高度な運用が可能になったと評価する。
また、クラウドシフトの効果としては「以前はシステムに関する調査が業務時間内にできないため、業務時間外にシステムを止めて検証する場面もありましたが、今は東芝さんでのマネージドサービスとなったことで、私自身の負担も確実に減っています」と吉澤氏。
年に2回のバージョンアップも含め、個別に予算を確保せずにサービス側で柔軟に対応可能になるだけでなく、新たな機能が随時追加されるクラウドサービスならではの魅力も実感しているという。
また、導入支援を含めた東芝のサポートについても高く評価している。「さまざまな要望について迅速に対応いただくなど、日々尽力いただいていることに感謝しています」と中島氏。
吉澤氏も「深い階層を持つマスターについても一から説明せずに済むなど、我々をよく知っていただけているからこそスムーズに移行できたのだと実感しています」と語る。
AI連携など、さらなる業務効率化に向けた環境整備を目指す
今後は、安定運用を継続させつつ、業務効率化に向けた取り組みを進めていきたいという。「コミュニケータの人材不足も相まって、今後はどう効率化していくかが求められるでしょう。例えば、お問い合わせいただいたメールの内容から返信内容をある程度設定できるなどAI連携も含めたご提案をいただいていますので、さらなる業務効率化に向けた環境を整備していきたいと考えています」と根本氏は期待を寄せる。
また、現状は主に電話と問い合わせメールなどの対応にT-SQUARE/CT FC Editionを活用しているが、いずれはチャットボットとともにSNS対応といったアクティブコミュニケーション領域を含め、他チャネルから寄せられたVOCもうまく取り込んでいくなど、さらなる活用の広がりを期待している。「お客様からの声は我々にとって非常に重要ですので、コミュニケーション手段の変化などにもうまく対応しながら、お客様との関係がしっかり構築できる環境整備を進めていきたいと思います」と中島氏。
同社がなによりも大切にするお客様とのコミュニケーション――。その活性化を強力に支えるソリューションとして、東芝のT-SQUARE/CT FC Editionはこれからも同社のお客様センターの運用に寄り添い、お客様との重要な関係構築を支えていく。
*Microsoft、Azureは米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
SOLUTION FOCUS
長年にわたる豊富なコールセンター導入実績から培ったノウハウを形にしたクラウドサービス型コンタクトセンターソリューション。
シンプルで分かりやすい受付画面、ストレスフリーな操作性、そしてお客様相談室ならではの必要機能や入力項目を標準で装備。
「同じ種類のお問い合わせ、特定のお問い合わせへの対応(アラート検知)」や「お問い合わせ内容と対応状況の推移の把握(時系列管理)」、「品質情報の管理」など必要な機能が標準機能で揃っており、ノンカスタマイズで利用可能。日本マイクロソフト株式会社のMicrosoft Azure上でのクラウドサービスを提供することで、企業のシステム運用負荷を軽減しつつ可用性の高いサービスを提供している。
この記事の内容は2025年7月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。
COMPANY PROFILE
会社名
ライオン株式会社
創業
1891年10月
所在地
東京都台東区蔵前1-3-28
事業内容
ハミガキ、ハブラシ、石けん、洗剤、ヘアケア・スキンケア製品、薬品等の製造販売、海外現地会社への輸出