少数精鋭で効率的な知財管理を実現
自由度の高さと変化に対応可能な知財管理サービス「IPeakMS®」
国内有数の特殊無機材料メーカーとして、国産石灰石やマグネシウムを主原料に各種マテリアル製品の企画・開発・製造・販売を行っている宇部マテリアルズ株式会社。同社では、グループ会社共通のシステムで知的財産の情報管理を行ってきた。しかし、これまでの管理体制が見直され独自の管理基盤の構築が必要となり、より戦略的な知財管理を目指して新たなシステムの導入を決定。同社が採用したのが、東芝デジタルソリューションズ(以下、東芝)が提供する知財管理サービス「IPeakMS®」だ。
Before
ビジネス環境等の変化により、知財情報を自社で運用管理する必要に迫られていた。また、従来のシステムは、必要のない管理項目が多い一方、管理したい項目が柔軟に追加できないことに加え、レスポンスにも課題があり、使い勝手や管理面からもよりよい知財管理システムを求めていた。
After
従来の運用を活かした自由設定可能な入力項目やワークフローの整備を実現。これにより知財グループの業務時間を年間100時間超削減するとともに、保有する知的財産の維持管理・調査にかかる工数を4分の1にまで短縮することに成功した。同社の取り組みは、知財管理システム導入の成功事例として他のグループ会社からも注目を集めている。
ビジネスに貢献する知財部門への変革を推進
マグネシア製品を取り扱う宇部化学工業株式会社と、カルシア製品を取り扱う株式会社カルシードが1997年に合併し誕生した宇部マテリアルズ株式会社。高品質の石灰石を原料としたカルシア関連製品や、海水から取り出したマグネシウムを原料としたマグネシア関連製品などを供給する特殊無機材料メーカーだ。同社独自技術(高純度、超微粒子等)によるファイン事業製品は最先端産業で幅広く活用されている。
同社の知的財産に関わる業務を一手に担っているのが、企画開発本部 企画部 知財グループだ。「知財の出願から権利化、知財戦略に至るまで、特許や商標、実用新案に関連した各種管理業務を行っています。出願数は決して多いほうではありませんが、特許査定率が90%前後で推移しているなど、厳選した形での特許出願を意識しています」と同部 知財グループリーダーの末永 綱一氏は語る。最近では知財情報を経営戦略に生かすためのIPランドスケープへの取り組みも進めており、情報の集約化・高度化によって知財情報から新たな開発テーマの発見を目指すなど、ビジネスに貢献する知財部門への変革を進めている。
企画開発本部 企画部 知財グループリーダー
末永 綱一氏
環境変化で方針変換、独自での管理基盤整備が必要に
同社における知財管理システムは、ビジネス環境の変化を受けて、新たな運用体制での管理が求められることとなった。
「当初は従来のシステムを継続利用する方法も検討しましたが、我々独自で管理したい指標などが入力できないなど、既存システムのままでは課題が多くありました。できれば、我々の運用に適した形で一括管理できる環境を望んでいました」と同グループ 山内 麻美氏は振り返る。
当時のシステムは、グループ会社全体の情報を網羅する管理項目が膨大にあり、利用しない項目を削ることも難しく、1画面に必要な情報が表示できない、自社側での検索機能がないなどの課題が多岐にわたっていた。「グループ全体で利用するためにシステムが複雑化したせいか、メンテナンスが多く、利用時間帯が限られることがあるなど運用上の課題もありました」と末永氏。旧システムで管理できない部分は別途一覧表のデータベースを作成して補うしかなく、二重管理による手間と入力ミスなども懸念事項だった。
企画開発本部 企画部 知財グループ
山内 麻美氏
将来的な変化にも対応可能で、既存運用が踏襲できる高い柔軟性を評価
新たなシステム選定においては、業務の棚卸を実施し、何を管理したいのかを明確にすることでどのようなシステムが必要なのかを検討したという。同時に社内における紙で実施していた業務をシステム化するなど、省力化やペーパーレスにつながる環境づくりを目指すこととした。また、秘匿性の高い情報を多く扱うため、詳細なアクセス権が設定できるなどセキュリティ面も考慮しながら、運用管理の負担軽減のため、クラウド環境で利用できることも条件となった。「社内手続きの流れをできるだけ変更せず、現状業務とうまくフィットする、自由度と柔軟性の高い仕組みを構築したいと考えました」と山内氏。
柔軟性の高い仕組みを構築したい―。そうした考えから注目したのが、東芝の提供する知財管理サービス「IPeakMS」だ。業務フローが固定化されていて、変更や追加の機能は有償オプションというパッケージが多いなか、IPeakMSは高い柔軟性を有していた。「既存運用や独自規定を変更せず、机の上で書いていたものがシステムになっただけという状態をつくりたかった。10社以上から資料を取り寄せて検討するなか、IPeakMSは、システムに自分たちを合わせるのではなく、システムが私たちに合わせてくれるという圧倒的な柔軟性が決め手でした。他社には例がなかったのが正直なところです」と末永氏。将来的には社内手続きの変更も起こりうるため、自分たちで変更していけるなど、ビジネス環境の変化に応じて改変できる点も高く評価したという。クラウド環境にて利用できるため、圧倒的にコストパフォーマンスが高く、社内的に稟議が通しやすかった点も大きかった。
IPeakMS採用の最大の決め手となったのが、同社の質問に対し東芝だけが「できません」という回答が一度もなかったことだ。「やりたいことを伝えていろいろな質問をしたところ、『できません』とは1度もおっしゃらなかった。もちろん、すべてがそのまま実現はできないものの、都度違うアプローチでの代替案を提示していただけたのが大きかったですね」と山内氏は振り返る。知財管理における業務に精通しており、要望をしっかりと汲み取って最適な提案があったことが何よりも力強かったという。こうして同社は、新たな知財管理業務基盤に東芝の知財管理サービス「IPeakMS」の採用を決定することとなった。
年間100時間以上の削減、グループ会社での先行事例に
現在、IPeakMSは知財グループや事業部門のメンバーなど70名ほどが利用している。また、外部の特許事務所との連携も行われており、関連書類の一元管理も実現している。
IPeakMSで新たに知財管理業務基盤を整備したことで、年間で100時間以上の業務時間削減効果があり、特に保有する知的財産の維持管理・調査にかかる工数を4分の1にまで圧縮することに成功したという。「知財の積極的な活用に向け業務量は増えていますが、IPeakMSで設定したフロー通りに進めていけば基本的なことはできるようになっています。新たに知財手続きに関わる社員への説明もシンプルにできるようになったのは大きいですね」と末永氏は評価する。
また、事業部門においても利用されており、「それぞれが持っている知財情報や特許の相関関係が可視化されるようになったことへ評価の声を聞いています。これまで別ファイルで管理し開示していなかった情報も閲覧できるようにしたため、こちらへの問い合わせも減り、見たい情報にいつでもアクセスできる環境は大きなメリットです」と山内氏の評価も高い。
さらに、特許事務所側でも使い勝手の良さが評価され、IPeakMSが導入されている。「IPeakMSの導入は、グループ会社における成功事例として注目されています」と末永氏は成果を強調する。
IPeakMSを提供する東芝について、山内氏はこう評価する。「知財に関連した業界に精通している点は何よりも大きいですね。また、距離が離れていてもこまめにオンライン会議を通じて支援があり、必要なタイミングでは当社までお越しいただけるなど、本当にいいチームワークで進めることができています」
戦略的な知財情報の有効活用に欠かせない基盤として、さらなる拡張を
今後については、ワークフローのさらなる追加や日々のルーチンワークに関する自動化、帳票作成の効率化など、IPeakMSの機能をフル活用し実現していきたいことがたくさんあるという。「年金管理などに関しては、外部との新たな連携も必要になってくるはずです。できるだけ自動化を進めながら、さらなる効率化を推し進めていきたいと思います」と山内氏。
また、自社が保有する特許の価値評価の際に、蓄積されたデータを利活用していくことも視野に入れている。「特許の評価が数値化できれば、棚卸の手段としてだけでなく、海外での出願基準としての指標にも使えるはずです。蓄積されたデータを統計的にうまく使い、事業部間の連携や経営層などにも示していくことで、知財グループとしてビジネスに貢献できる環境整備を進めていきたいと考えています」と末永氏。
戦略的な知財情報の有効活用に欠かせない東芝の知財管理サービス「IPeakMS」。知財情報から新たな付加価値を生み出すIPeakMSの更なる進化とその有効活用に向け、今後も東芝は支援を続けていく。
SOLUTION FOCUS
知的財産戦略の業務遂行を強力に支援する東芝の「知財管理サービス」ソリューション。
知的財産に関わる様々な情報をクラウド上で一元管理。
お客様独自の管理項目や画面、帳票、業務フローを用途・目的に合わせて柔軟に設定可能。
ノンカスタマイズで柔軟性の高いシステムを実現し、業務効率化の推進、権利の有効活用まで特許管理業務をトータルにサポートします。
この記事の内容は2024年9月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。
COMPANY PROFILE
会社名
宇部マテリアルズ株式会社
設立
1949年9月8日
代表者
代表取締役社長 伊藤芳明
本社所在地
山口県宇部市相生町8番1号
事業内容
マグネシアクリンカーその他耐火材料、石灰その他窯業製品、電子部品・光学部品の原材料、樹脂用補強材、土質安定処理材、水質・底質改善剤、化粧品・歯磨き等の生活関連製品 他
URL
https://www.ubematerials.co.jp/