複数のWMSとの柔軟な連携で、DAS運用の最適化を実現
倉庫運用最適化サービス「LADOCsuite®/WES」
物流のトータルサポート企業として倉庫業務からコンサルタントサービスまで提供する株式会社三鷹倉庫。同社では倉庫作業の効率化を目指してDAS(デジタルアソートシステム)を導入し、業務改善を実現した。そこでWMS(倉庫管理システム)とDASの連携のため導入したのが、東芝デジタルソリューションズ(以下、東芝)が提供する倉庫運用最適化サービス「LADOCsuite®/WES」だ。
Before
商品のピッキングや値付け作業を一点一点手作業で行っていたため、倉庫作業の効率化を目指しDASの導入を検討。ところが荷主別に運用する複数のWMSからの出荷指示をDASで集約するにはデータ連携のための環境整備が必要と判明。汎用的なツールの利用では時間とコストがかかる上に、現場の運用も負担が大きいため、なるべくシンプルかつスムーズに導入可能で、将来的な拡張性もある仕組みを模索していた。
After
東芝が提供する倉庫運用最適化サービスLADOCsuite/WESを採用し、3ヵ月ほどで導入とデータ連携を実現。WMSを改修することなく複数のWMSからの指示をDASで実行できるようになった。現場の生産性は約1.5倍向上し、人材を流動的に活用できるようになったことで、ビジネス上の機会損失の削減にも貢献している。将来的には倉庫運用全体の最適化にも役立てたいと考えている。
アパレルを中心に、さまざまな物流加工を強みに持つ三鷹倉庫
4PL事業として、荷主目線に立った物流全体の最適化(計画、輸配送・倉庫の運用管理)と、顧客と連携して業務改善を進める物流サービスを提供している株式会社三鷹倉庫。「商品の銀行」をミッションに、保税倉庫も備え海外貿易事業も展開し、さまざまな荷主の要望に応じた柔軟性のある対応力を強みとしている。
そんな同社において、システム導入を含めた業務改善を推進しているのが倉庫運営部 業務課だ。「単に荷物を預かるだけでなく、商品への値札付けや衣類の加工(裾上げ、ライン・マーク付け等)・撮影(ラボ)、更には海外生産品の検査検品など、さまざまなお客さまのニーズに合わせた、きめ細かなサービスを提供しています。一般的な倉庫業務よりも請負範囲が広いため、業務ごとに適切な改善を推進していくことが求められています」と語るのは同課課長 西野 秀彦氏だ。
物流量が増える一方で人手不足も懸念される中、より効率的な仕分け業務を目指し改善策を模索していた。
倉庫運営部 業務課課長
西野 秀彦氏
現場業務の改善に向けたDAS導入で、複数のWMSとの連携が急務に
西野氏が業務改善策としてまず検討したのが、DAS(デジタルアソートシステム)の導入だ。これは倉庫の棚に取り付けたデジタル表示器の指示に従って商品を仕分けするシステムで、「これまでは必要な商品を個別にピッキングしていましたが、DASを導入すれば、まとめて取ってきた商品をそれぞれ仕分けることができ作業効率が上がります。しかし、DASを利用するには、仕分け数を表示するためにWMS(倉庫管理システム)からの出荷指示データが必要で、DASと既存のWMSとの連携が不可欠なのです」と西野氏は説明する。汎用的なデータ変換ツールでも連携することはできるが、実際の導入にはハードルが高いことがわかったという。
多くの荷主との取引がある同社では、荷主の要望に応じて複数のWMSを運用している現状がある。「WMSとDASを連携させるために、汎用的なデータ変換ツールを導入する場合だと、大変なコストと手間がかかってしまいます」と西野氏。なるべくシンプルな仕組みで、現場で運用の負担が少ない、という観点から注目したのが、東芝の倉庫運用最適化サービスLADOCsuite/WES だった。
設定から運用までの安心感と物流に特化したソリューション
いくつかのソリューションを比較検討する中で重視したのが、設定から運用後のサポートも含めて長期的視野で任せられるサービスという点だった。「サービスによっては製品購入後の設定がオプションで追加費用が必要であったり、自分たちですべてやらないといけないものもありました。社内のシステム担当者が限られており、現場のスタッフには極力自身の業務に注力してもらいたいと思っています。すぐに使える状態で導入できて、現場では誰もが簡単に扱えるものを求めていました」と西野氏は語る。
「LADOCsuiteシリーズには物流現場の生産性向上や業務改善にも活用できる機能が備わっており、単なるデータ連携のためのソリューションではなく、将来的なデータの有効活用も見据えた価値があると判断しました」と西野氏。東芝の倉庫運用最適化サービスLADOCsuite/WESは、物流業務に特化したソリューションであり、仕組みもシンプルで使いやすことから最終的に導入のメリットが大きいと判断したという。
こうしてDASの導入にあわせて、既に運用していた複数のWMSと連携させるソリューションとして、東芝の倉庫運用最適化サービスLADOCsuite/WESの採用を決めた。
約 1.5倍もの生産性向上を実現、ビジネスチャンスも一層拡大へ
DASは、まずそれぞれ複数のWMSからの出荷指示情報をクラウド上にあるLADOCsuite/WESに送る。必要なフォーマットに変換し、各所のDASにデータを送ることで、倉庫棚に設置された表示器に出荷指示がデジタル表示されるようになった。作業そのものがシンプルになったことで、その日に配置されたばかりのメンバーでもすぐに作業に取り掛かれる体制を構築できたという。
手作業でおこなっていた時のピッキング数は一時間あたり200点ほどだったが、現在では300点ほどに増加し、約1.5倍の生産性向上を実現した。「まとめて棚から取り出して仕分けせずに作業ができるようになり、値付けの生産性も大幅に向上しました」と西野氏は評価する。今後は一時間あたり400点を目標にしている。
また、以前は作業のキャパシティに限界があり、繁忙期には荷物の受け入れを制限せざるを得ないケースもあったという。しかし、現在は、作業量に合わせて人員をより効率よく配置できるようになったことから、繁忙期であってもより柔軟な対応が可能となり、ビジネス機会損失の削減にも大きく寄与しているという。
今回のLADOCsuite/WES導入に際しては、複数のベンダーが関わったため、各社との連携をスムーズに行なうために東芝が間に入り、全体の調整を行いつつプロジェクトを推進したという。「仕様書などの資料は、内容が専門的で現場には理解しづらいものが多いのですが、東芝さんがそれらを簡潔にまとめてくれて、とても助かりました。役割の明確化をしていただき、導入スケジュールについての情報共有を行うことで結果的にスムーズな導入に繋がったと思います」と西野氏は評価する。
「タイトなスケジュールでしたが、東芝さんの主導で、関連のベンダーさんもよく協力してくれたおかげで、短期間で導入することができました。いろいろなプロジェクトに関わってきましたが、テストや本番を含めてここまでスムーズにいったことはありません。技術力はもちろん、東芝のプロジェクト推進力の高さを実感しました」と西野︎氏。
データ分析や、配送の最適化など倉庫物流全体の運用最適化を目指して
現在は、安定した運用の確立に注力している段階だ。「運用を安定化させた後、次のステップとしてプロセスの効率化を図りたいと考えています。例えば、バーコードでの検品の効率化や、RFIDタグがついている商品については、そのタグをうまく利用して一括検品できるような仕組みを検討したいと思っています。また、現場の要望を吸い上げつつ今後も継続的に業務改善を続けていきたい」と西野︎氏は意欲的だ。
さらに今後の展望として、LADOCsuite/WESについては、DASへのデータ投入だけでなく作業実績データをLADOCsuite/WES側に取込むことで、作業生産性の分析などに活用していきたいという。「生産性がきちんと可視化されるようになれば、荷主に対して提案できることも増えますし、スタッフの適切な配置にもつなげていけるはず」と西野︎氏。
東芝には、今後も同社のよきパートナーとして、倉庫全体のWMSを一元管理することも視野に、関連ソリューションなど同社の業務改善につながる仕組みがあれば積極的に提案してほしいと、西野氏は大きな信頼と期待を寄せている。
倉庫運用の最適化を実現するLADOCsuite/WESとともに、東芝は、今後も同社の倉庫運用において新たな価値創造に向けた支援を続けていく。
SOLUTION FOCUS
倉庫運用最適化サービス「LADOCsuite/WES」は、人と機械をつなぎ、倉庫内リソースを最大限に活用し、最適な倉庫運用をサポートします。WMS、WCSと連携することで、倉庫内の人と機械のデータを蓄積し、見える化、分析・シミュレーション、最適化を行うクラウドサービスです。人と機械の作業データを俯瞰的に捉え、進捗や負荷状況をリアルタイムに可視化し、作業の完了時間を予測して適切なリソース配分を指南することで、倉庫の運用を効率化します。
この記事の内容は2023年12月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。
COMPANY PROFILE
会社名
株式会社 三鷹倉庫
設立
1964年5月
代表者
代表取締役社長 関武士
本社所在地
大阪府大阪市生野区巽西1丁目9番26号
事業概要
倉庫業、梱包業/左記に付帯する一切の業務/物流アウトソーシング、物流コンサルティング、
貨物利用運送事業/輸出入に関する通関業務/労働者派遣事業
URL
https://www.mitaka-soko.co.jp/