問い合わせ業務のデータベース化で戦略的営業分析が可能に
顧客へのトータルサポートを実現するT-SQUARE®/CT FC Edition

日野自動車のトラック/バスのエンジンや部品のリビルトを手掛ける日野リトラックス株式会社。情報を有効活用した積極的なビジネス戦略への転換を目指す同社は、顧客からの問い合わせ情報の共有化や顧客の声を活かした商品開発の実現に向け、問い合わせ管理業務のシステム化を決断。その基盤として、東芝デジタルソリューションズ(以下、東芝)が提供するクラウドサービス型コンタクトセンターソリューション「T-SQUARE®/CT FC Edition」を採用した。


Before

顧客からの電話による在庫などの問い合わせ内容を、10名ほどの営業担当者が各々のノートやパソコンで記録していた。個人持ちで情報が散在していたため、担当者間でのシームレスな顧客対応が十分にできていなかった。また、蓄積された貴重な問い合わせデータを営業活動に有効に活用することも難しい状況にあった。

After

電話やFAX、オンラインから寄せられる問い合わせ情報の集約を実現。問い合わせ内容を最適にカスタマイズした項目に入力することで記録ミスをなくし、ステータス管理によって確実な対応を実現。顧客対応の品質を高め、得られた情報を活用して新たな売れ筋商品の開発につなげるなど、同社の目指すトータルサポートを実現するための付加価値の高いデータの分析活用が可能になった。

世界一のリビルト工場へ向けたICT化を強力に推進


代表取締役社長
髙野 秀博氏

 日野リトラックス株式会社は、全国の日野自動車販売会社を顧客として、日野自動車のエンジンやトランスミッションなどのリビルト(再生)を主軸とする事業を展開している。劣化や故障した部品に対し、長年培った日野グループの高い技術力で再び命を吹き込みよみがえらせ、新品同等の検査基準をクリアした製品を提供することで全国のトラック・バスの走りを支えている。
 そんな同社に、現代表取締役社長である髙野 秀博氏が事業所長として赴任したのは2017年。「世界一のリビルト工場になろう」というスローガンを掲げそれまでのアナログ的な業務フローの抜本的改革に着手する。「当時は販売会社からの在庫有無の問い合わせに対し、営業と現場が電話やFAXでやりとりして確認するといった状況で、すぐに回答できないことも多かった。世界一のリビルト工場になるためには、基幹システムも含めたICT化への取り組みが不可欠だと感じました」と髙野氏は説明する。

取締役
山岸 主税氏

 そこでまず、東芝にコンサルティングを依頼。商品の在庫状況を可視化し、販売会社にリアルタイムで情報提供できる販売在庫管理システム「リトラBOX®」を整備。「在庫がいつでも確実に把握でき、販売会社からの注文もオンラインでできるようになり、格段に業務の進め方が進化しました。また、社内の人的リソースも最小限におさえられ、付加価値の高い業務に振り分けられるようになったのは大きい」と営業・総務担当の取締役 山岸 主税氏は語る。「リトラBOX」は社内業務を変革するとともに、日野グループが推進するトータルサポートの充実にも大きく貢献する仕組みとして、なくてはならないものとなった。
 そんな全社的なICT化を推進するなかで次の目標として取り組んだのが、販売会社から寄せられる問い合わせ対応業務のシステム化だった。

問い合わせ記録ノートからの脱却と効率的なデータ管理を求めて


 オンラインサイトからの注文処理業務は、先に導入した「リトラBOX」の仕組みにより、顧客である販売会社の利便性が格段に向上、それにつれて問い合わせ件数も増加、質も変化してきた。「以前は在庫の有無など単純な問い合わせが多かったのですが、徐々に技術的な問い合わせなど、新たな商談につながる相談も多く寄せられるようになりました。その一方で、問い合わせ対応は依然としてノートやパソコンで分散管理されていました。記録の仕方も、ルールはあっても、人によって精度にばらつきがあり解読が難しいケースもあることで、情報共有の足かせとなっていました」と語るのは部品営業部 営業企画グループリーダー 中島 崇宏氏だ。また、問い合わせ内容が適切にデータ化されておらず、戦略的販売のためのデータ分析にも課題を感じていた。

 そこで新たな環境として採用したのが、東芝が提供するクラウドサービス型コンタクトセンターソリューション「T-SQUARE/CT FC Edition」だった。

部品営業部 営業企画グループリーダー
中島 崇宏氏

業務の特性に対応したセルフカスタマイズと顧客視点の提案


 東芝は、同社のデジタル化推進におけるコンサルティングを当初から担っており、販売在庫管理システム「リトラBOX」を整備した実績も高く評価されていた。また、以前から、同社の立場に寄り添い、東芝のソリューションに限定することなく、同社にとっての最適な製品を提案してくれているという信頼感も、パートナーに選んだ理由のひとつだという。

 T-SQUARE/CT FC Editionについては、セルフカスタマイズ機能を活用することで、自社に適した業務内容に合わせて作り上げていける点を高く評価したという。「管理画面の細かい項目作成など自分たちで作り込める点が大きなポイントでした。」と中島氏。また、「リトラBOX」導入の際に整備した商品マスターも流用することができ、早期に立ち上げられることも大きなポイントだった。「通常は数か月かかるところ、わずか1か月で立ち上げることができました。初めての環境だったため、まずはスモールスタートで改善しながら整えていきたかった。当社の事業規模ではシステム担当専任の人材を置くことが難しいこともあり、クラウドサービスで手軽に利用できることも魅力のひとつでした」と山岸氏。

部品営業部 営業企画グループ 営業企画チームリーダー
中村 ケンジ氏

部品営業部 営業企画グループ 営業企画チーム
悴田 華海氏

 「全員が同じ基準、精度で入力できるようにマニュアルを作成し、営業担当者に説明していくことで、スムーズに運用を始めることができました」と展開の工夫を説明するのは、同グループ 営業企画チームリーダー 中村 ケンジ氏だ。同チーム 入社1年目の悴田 華海氏も「私はシステム開発の経験はありませんでしたが、東芝さんの導入教育が充実していたため、抵抗感なくセルフカスタマイズ機能を使いこなすことができるようになりました。その結果、短期間で自社の運用に最適な画面をメンバーと相談しながら作り上げていくことができました」と語る。

 このように、「T-SQUARE/CT FC Edition」は運用に最適なカスタマイズができるため、問い合わせ管理の仕組みとして営業メンバー全員が共有できる強力な情報基盤となった。

顧客対応力の向上で満足度にも貢献、よりよいトータルサポートへ


 現在、10名ほどの営業担当者が全国230を超える販売会社拠点からの問い合わせ情報をT-SQUARE/CT FC Editionに記録し、毎月1,000件前後の問い合わせ情報が蓄積されている。これらのデータは、経営層はもちろん、社内関連部門の担当者も共有・閲覧できるようにしている。

 問い合わせ管理業務のシステム化をT-SQUARE/CT FC Editionで整備したことで、直接問い合わせを受けた担当者以外でも、問い合わせ履歴を参照して的確、かつ迅速にシームレスで対応できるようになり、顧客満足度の向上に大きく役立っていると髙野氏は高く評価する。「ノートやパソコンで管理していた頃は、電話対応に追われて、電話メモをノートに書き込む時間が取れず、後からまとめて書き込むなど、タイムラグも起きていました。今では決められた項目毎に電話を受けながらでも入力できますし、振り返って分析できるのも大きなメリットです」と中島氏。
 また、クラウドサービスのメリットとしてどこからでもアクセスでき、テレワークや万一の際のBCP対策としても有効だと期待を寄せている。

 社内展開にあたっては、東芝が開催するユーザー階層別の導入教育に社員が参加して使い方を学ぶなど、東芝のきめ細かいサポートを受けながら、自社で環境整備を進めることができたという。運用開始後に課題が顕在化した際の東芝の柔軟な対応力についても高く評価している。

 以前から同社のICT化推進の環境づくりに共に取り組んできた東芝については、「我々の業務の細部までよく理解したうえで細かく分析し、将来を見据えた最適な提案をしてくれています。我々にとっての、まさに情報システム部門のような存在です」と髙野氏。山岸氏は、「ICT環境が整備できたことで、新たなリソースが十分に確保でき、営業分析をもとに戦略を立てて動くことのできる会社になれたことが一番うれしい」と喜びを語る。

販売戦略ツールを中心にさらなるICT化を目指して


 今後は、T-SQUARE/CT FC Editionで収集したデータを活用し、問い合わせ情報の可視化はもちろん、顧客の声を生かした販売戦略ツールとして一層役立てていきたいという。「新たな品目を増やすことはもちろん、複数の製品をパッケージ化してラインナップに加えるなど、顧客に求められる魅力ある商品づくりにつなげていきたい」と髙野氏。また、得た情報をもとに営業活動につなげていく積極的なビジネス戦略への転換にも期待を寄せている。

 また、次の業務改善に向けて、「勤怠管理や工数管理など、まだ手を付けるべき領域が残っています。すでに東芝の人材管理ソリューション「Generalist®」などの導入検討を始めており、今後も社内のICT化をいっそう強力に推し進めていきたい」と山岸氏は熱く語る。

 全社的なICT化に向けた最先端の取り組みを通じて、日野グループの発展に大きく貢献する同社。T-SQUARE/CT FC Editionは定期的なバージョンアップにより、お客様のご要望を標準機能に反映し、最近では複数部門への依頼ルートの設定や進捗確認、セルフカスタマイズ強化などをリリースしてきた。また、情報共有基盤としての活用を拡大し、将来的には他部門にまたがる業務の効率化、価値創出などカスタマーサクセスを、東芝は今後も強力に支援していく。

SOLUTION FOCUS

T-SQUARE®/CT FC Edition

長年にわたる豊富なコールセンター導入実績から培ったノウハウを形にしたクラウドサービス型コンタクトセンターソリューション。
シンプルで分かりやすい受付画面、ストレスフリーな操作性、そしてお客様相談室ならではの必要機能や入力項目を標準で装備。
「同じ種類のお問い合わせ、特定のお問い合わせへの対応(アラート検知)」や「お問い合わせ内容と対応状況の推移の把握(時系列管理)」、「品質情報の管理」など必要な機能が標準機能で揃っており、ノンカスタマイズで利用可能。日本マイクロソフト株式会社のMicrosoft Azure上でのクラウドサービスを提供することで、企業のシステム運用負荷を軽減しつつ可用性の高いサービスを提供している。

この記事の内容は2022年1月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。

COMPANY PROFILE

会社名
日野リトラックス株式会社

設立
2012年4月1日

代表者
代表取締役社長 髙野秀博

本社所在地
群馬県安中市松井田町松井田1238

事業概要
日野自動車製エンジン・トランスミッション・DPR・その他部品のリビルト
日野自動車製品の分解調査・解析。日野自動車実験設備の設計・メンテナンス

URL
https://www.hino-rtx.co.jp/