DiGiTAL T-SOUL
Vol.
33

人事・総務担当役員が語る「東芝デジタルソリューションズの働き方改革」 人事・総務担当役員が語る「東芝デジタルソリューションズの働き方改革」

三橋 一仁 Mihashi Kazuhito 東芝デジタルソリューションズ株式会社 取締役 人事総務部長
三橋 一仁 Mihashi Kazuhito 東芝デジタルソリューションズ株式会社 取締役 人事総務部長

なぜ、東芝グループが働き方改革に取り組むのか。現在、東芝グループが目指しているのは、世界有数のサイバーフィジカルシステム(CPS)テクノロジー企業。この実現には、さまざまなバックグラウンドを持つ社員が活躍できる、働きがいのある環境が必要だと考えているからです。そんなグループの中で、ICT活用のプロである東芝デジタルソリューションズは、先進的に働き方改革に取り組んでいます。その目的は、社員一人ひとりの自主性と自律性(自立性)を促し、会社へのエンゲージメントと仕事へのモチベーションを高めること。「働く会社から働きたい会社へ」。ここでは東芝グループ、および東芝デジタルソリューションズが取り組んでいる働き方改革についてご紹介します。

10年後の働き方に向けた東芝グループの取り組み

10年後の未来は、どのような働き方をしているのでしょうか。2016年に厚生労働省が発表した報告書「働き方の未来 2035」、2019年4月に施行された「改正労働基準法」、そして2020年4月に施行された「パートタイム・有期雇用労働法」などによると、今後は、「勤務スタイルの大幅な変化(定時間/場所からの解放)」「年功序列の廃止」「正規/非正規という雇用格差の是正」「副業の浸透とプロジェクトベースの働き方」「世界各国のビジネスマン同士がつながって働くことの定着」「自分の好きなことを仕事にする人の増加」というような働き方や働く環境が一般的になることが想定されます。

東芝グループは「東芝Nextプラン」において、世界有数のサイバーフィジカルシステム(CPS)テクノロジー企業を目指すことを宣言しました。この実現には、多様なバッググラウンドを持ち、協働の精神にあふれる人たちが、生き生きと働きがいを持って働ける環境が必要です。つまり先のような未来の働き方を先取りして実現する必要がある。東芝グループが働き方改革を推進する理由は、そこにあります。

では、東芝グループはどのような施策を検討し、実行しているのか。先進的に働き方改革に取り組んでいる東芝デジタルソリューションズは、働き方改革をプロセス、テクノロジー、そしてカルチャーという3つの軸で捉え、この3つの軸に沿ってさまざまな改革に取り組んでいます(図1)。

図1 働き方改革への取り組み

今回はこれらの中から、いくつかの取り組みをご紹介します。

まず1つ目のプロセスについてです。最初にご紹介するのは、社員が自宅やサテライトオフィスを活用して仕事を行う「テレワーク」。当社では、2017年から試行していた在宅勤務の取り組みを2019年に制度化し、正式に導入しました。社員それぞれの実態に合わせた効率的な働き方を推進するため、ひと月あたりに利用する限度回数などを一律に縛りません。各部門は、個々の業務に応じて柔軟に運用しています。

一方の、サテライトオフィス。社外のサテライトオフィスとして、国内で広く展開されている運営事業者と契約を結び、2019年7月から活用を始めました。さらに東芝グループの各拠点にもサテライト席を確保し、仕事に利用できる場所や数が増えたことで、社員は外出や出張時の隙間時間を有効に活用できるようになりました。

在宅勤務と社内外のサテライトオフィスの活用推進により、現在、およそ4,000人という当社の社員のうちの約半数がテレワークを実践しています。これは、未来の働き方「勤務スタイルの大幅な変化(定時間/場所からの解放)」に対応する施策ともいえます。

また人事処遇制度を見直し、役割等級制度を導入。年々高齢化が進んでいく中で、シニア層、未来の当社を担う若年層、および即戦力としてのキャリア採用者など、多様な人材がこれまで以上に活躍することを可能とする人事処遇制度へと見直しました。この見直しとともに、すべての社員が働きがいをもって活躍する“ダイバーシティ&インクルージョン”を推進し、組織風土の活性化を図っていきたいと考えています。

加えて、今後、副業が一般化していくことに伴い、当社が東芝グループのパイロットケースの一つとなるべく、副業のトライアルを行います。これにより、「自分の好きなことを仕事にする人が増加」することにもつながる、社員の自己実現や成長のための選択肢を準備し、社員にとって魅力ある会社となるように、取り組んでいきます。

次に、2つ目のテクノロジーについて。企業活動を円滑に進めるための業務は、多岐にわたります。そこで、まずはそれらの業務の棚卸しを行い、業務プロセスの改善や、RPA、社内SNSの導入などを実施。もちろん、これらを実現するITツールの整備も欠かせません。当社はこれまでSIerとして培ってきた知見を生かし、モバイル機器テクノロジーやセキュリティーテクノロジーなどを活用して、生産性の向上と安全性の確保の両立を図っています。これらはテレワークを行う上でも重要であり、現在、新しいネットワーク環境の構築を進めているところです。

*RPA:
Robotic Process Automation
*SNS:
Social Networking Service

社員や組織の状態をリアルタイムに把握するため、エンゲージメントサーベイを導入

そして、3つ目のカルチャーへの取り組みです。

当社が働き方改革を推進する真の目的は、社員一人ひとりの自主性と自律性を促し、会社へのエンゲージメントと仕事へのモチベーションを高めることです。それらを推進する機関として、私たち人事総務部門と社内のマネージャークラスの人たちで構成する「働き方改革プロジェクト」を設置。まずは、現在の社員の働き方を見直し、生産効率を上げ、総実労働時間を圧縮する。そしてそこで生まれた余白時間を、付加価値の高い仕事や個人のスキル向上などに有効に活用するために、さまざまな施策をスタートさせてきました。

それらの施策を検討するにあたり、2018年10月に働き方改革プロジェクトの中に形成したのが、事業部門と開発センターの若手社員から成る、「若手タスクフォース」です。このタスクフォースでは、「生産性の向上」「働きがいの創出」という2つのテーマについて、自分たちでできることは何なのか、会社に何を求めるのかなど、自由に意見を出し合い提言としてまとめます。若手の社員が「自分ごと」として会社の制度や施策に興味を持ち、それらの改善に積極的に関与することを目的に活動しています。

若手タスクフォースからは、私たち人事総務部門やマネージャークラスが集まる働き方改革プロジェクトとは異なる視点の新しいアイデアが出てきており、それらの提言も踏まえて、施策の検討と実行を進めています。

例えば、基幹システムへの電子押印機能の導入も、その一つです。当社では定期的に、社員への意識調査「Teamサーベイ」を実施しています。この調査で集まった3,000件にも及ぶフリーコメントをテキストマイニングで分析し、そこで見えてきた課題の解決に向けて、優先度を決めて取り組んでいます。また働き方改革の一環としてモバイルツールを導入し、「いつでも・どこでも・簡単・安全」に業務を行うことができる環境を構築してきました。しかし、押印を必要とする承認作業は、電子化されていませんでした。押印という承認作業は、一つひとつのボリュームは小さいものの、多くの人が関わる作業です。今回、見積書の電子押印からスタートし、その作業を誰もがどこででも簡単にできるように改善したことで、生産性の向上に大きく貢献できることを期待しています。

またダイバーシティの推進により、当社ではさまざまな属性や背景を持つ人たちが働いています。このような多様な人たちが相互に信頼し、会社や組織の一員として働きがいを持ちつつ活躍するためには、エンゲージメントの向上が欠かせません。

その施策の一つとして導入したのが、エンゲージメントに特化したサーベイの導入です。年に1回、多面的に質問を行うTeamサーベイとは異なり、期待度と満足度の二軸で会社領域・上司領域・職場領域をカバーするエンゲージメントサーベイを実施することで、組織は今どのような課題を抱えているのか、組織を構成している個人は高いモチベーションで仕事ができているのか、また組織が目指すゴールと個人の仕事のベクトルは合っているのか、周囲との連携はうまくいっているのかなど、組織や個人の状況を把握できます。

エンゲージメントサーベイで大事なことは、得られた結果に対して、きちんとした対策を打つこと。その打ち手の鍵となるのがコミュニケーションです。エンゲージメントサーベイの結果から、組織の課題や、組織のゴールと個人の役割、組織から個人が期待されていることなどを、コミュニケーションにより擦り合わせていきます。組織ごとに選択した課題に対して、原則月1回のフォーカスサーベイを実施することで、組織や個人のエンゲージメントの変化をリアルタイムに捉え、より短い周期でPDCAサイクルを回し、よりよい組織やチームにしていきます。

*PDCA:
Plan-Do-Check-Action

すでに半年以上かけて試行を重ねており、エンゲージメントおよびモチベーションの向上につながるよい変化の兆しが見えるなどの成果が出てきています。

ここで培ったノウハウをもとに、当社の人財管理ソリューションを検討・改善し、お客さまへの提供を進めていきます。

社員個人が自主性・自律性を高め、意識改革するための3つの取り組み

さらにカルチャーという軸において、より社員個人に目を向けた取り組みの中から、3点ご紹介します。

1点目は、社員の「こうありたい」「こんな仕事をしたい」「こうなりたい」という気持ちを引き出して自主性と自律性を高めたいと考える経営トップの強い想いから生まれ、社内研修を経て2020年度から会社全体で導入した「1on1(ワンオンワン)ミーティング」です。

1on1ミーティングとは、社員の成長を支援するとともに、社員のパフォーマンスの向上と意識改革を目的として、上司と部下が1対1で行うミーティングです。上司と質の高いコミュニケーションを短い周期で行うことで、社員は頭の中を整理し、目標達成や課題解決につなげます。その結果として、社員の自己実現や成長を支援することが最も重要だと考えています。また、今後、働き方が大きく変わり、働く場所が多様化してコミュニケーションが希薄になることが想定されます。このように上司と部下とのコミュニケーションの重要性が一層増していく中においても、1on1ミーティングは大きな効果を発揮することが期待できます。

そして2点目にご紹介するのは、2019年に導入した、「セルフビズ」というドレスコードを廃止する取り組みです。これまで東芝グループでは、季節に応じて行うクールビズやウォームビズに加え、ビジネスカジュアルを取り入れてきました。しかし、ビジネスカジュアルにおいても規制はあり、多くの社員はスーツを着用していました。

そこで私たちが導入したセルフビズでは、これまでの既成概念や形式を全て撤廃。人と会う予定の有無や、その日の仕事の内容などを考慮して、毎日、自分で考えて洋服を選ぶ。ジーンズやスニーカーを着用するのも自由です。服装はその人自身を表現する一つの手段です。どう相手に見られたいのかを毎日意識して洋服を選ぶことは、自発的であり自律的な人としての成長にも役立つと考え、取り入れました。

導入した当初は、社員から「何を着ればよいかよくわからない」「部下にどう基準を伝えればよいかわからない」など、とまどいの声も上がりました。ですが、そういう声も時間とともになくなりました。ある方は、若い頃の趣味を思い出してライダースジャケットを着用し、それをきっかけに職場で趣味の話に花を咲かせています。またある方は奥様にコーディネートしてもらうことから、夫婦の会話が増えたそうです。今ではベテラン勢も、洋服で自分らしさを表現することを楽しみ、さらに洋服をきっかけにベテランと若手という世代を超えての会話が増えるなど、コミュニケーションの活性化にもつながっています。

実はこの施策の目的には、多様性の認知・受容というメッセージも含まれています。これまでスーツ一辺倒だった職場がさまざまな装いになる。そのような場所で毎日を過ごすことで、多様な価値観を認められるようになっていくと考えているのです。

つまりセルフビズは、自分の思ったことを表現するためのわかりやすい施策であり、ダイバーシティのための施策でもある。当社での成果を見て、現在、東芝グループ内でもセルフビズを取り入れようというムーブメントが広がりつつあります。

人事総務部長とのクイックミーティング

最後の3点目は、現在試行しているユニークな施策。それは「ピアボーナス」です。ピアボーナスとは「peer:同僚や仲間」と「bonus:報酬」から成る造語で、米国が発祥です。

例えば、社員をサポートする仕事のように、日頃なかなか目立たないが、なくてはならない仕事をしている社員にスポットを当て、その行動や貢献に対して感謝をポイントで贈り合います。現在、そのためのシステムを導入し、試行しています。

ピアボーナスを導入する狙いは、自身の仕事や言動が周囲にどのように貢献しているのかを意識することに加え、お互いに認め合う文化(ほめる文化や本音を言える文化)を醸成することです。感謝を贈る内容は仕事だけに限定しません。ときにはプライベートなことでも良いこととしています。

また、もらったポイントによって報奨を贈ります。ここでいう報奨とは、表彰です。より多くの感謝を贈られた人やグループをみんなの前で表彰することで、人柄や業務の理解に伴う職場レベルでの相互コミュニケーションを活性化させるとともに、会社へのエンゲージメントや、仕事へのモチベーションの向上にもつながることを期待しています。

プロセス、テクノロジー、カルチャーの3つの軸で働き方改革を進める

働き方改革は、プロセス(制度・機能最適化)、テクノロジー(いつでも・どこでも・簡単・安全な業務環境)、カルチャー(風土・意識改革)の3つの軸で取り組むことが重要です。今回ご紹介した自宅やサテライトオフィスを仕事に活用するテレワークの推進はプロセス、RPAをはじめとするITツールの導入や、モバイル環境、セキュリティの担保はテクノロジー、エンゲージメントサーベイや1on1ミーティング、セルフビズ、ピアボーナスはカルチャーの軸に沿った施策です。このように3つの軸に基づいて取り組むことで、より働きやすい会社になることを目指しています。

もちろん、これらの施策は働き方改革のほんの一部です。未来の働き方に向けて、働き方改革プロジェクトや若手タスクフォースで得た知見をフル活用し、多様な人たちが自分らしく生き生きと働きがいをもって働ける、会社をもっと好きになってもらえる、そして当社で働きたいという人を増やせるような施策を、より多く検討し、実行していきたいと思っています。

「働く会社から働きたい会社へ」。東芝デジタルソリューションズは、社員一人ひとりの働き方に寄り添い、進化していきます。

この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2020年4月現在の情報です。

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