InterBEE 2025[展示会・イベント レポート]

本展示会では東芝グループブースにご来場いただき、誠にありがとうございました。
今回の東芝グループ出展品をご紹介します。

今回の東芝グループブースは「多様化する放送システムの未来に向けたソリューション」をテーマとして、東芝 社会システム事業部、東芝デジタルソリューションズ、東芝ライテックが出展いたしました。

東芝が取り組むこれからの放送システム構想は、放送局の資産であるコンテンツを有効に活用し、価値を高めるために、新技術やAI、クラウドを組み合わせたソリューションで成り立っています。

現在は地上波やBS/CS放送のコンテンツデリバリーにおいて、放送局ごとに放送送出設備を所有していますが、放送局では設備の導入・維持コスト、設置場所の確保、機器メンテナンス等の人的リソースが必要です。そこで東芝では、民放放送キー局に機器および機能集約を想定したセンター型マスターシステム「IP/クラウドマスター」をご提案。これにより、系列ごとの各放送局では、設備導入・維持コストの削減、機器メンテナンス等の人的リソースの再配置を行うことができ、コンテンツを視聴者へ届けるコストを最小限に抑えることで、相対的にコンテンツの価値を高めることができます。
機器・機能集約のバリエーションとしては、①AWS等のパブリッククラウドを利用する方法、②キャリア系やSI’er系が保有するデータセンターのプライベートクラウドを利用する方法、③民放放送キー局などユーザーが用意するスペースに当社が機器を設置する方法の3パターンがあり、東芝ブースでは主に③を主軸とした動態展示を行ったほか、IPパビリオンブースではAWSを活用した①の展示も行いました。これら3つの方法いずれのバリエーションでも、番組やCMなどのコンテンツを送出する機能とスタジオなどのリアルタイムな信号を処理するマスター機能が一体となったキーコンポーネント「VIDEOS core™(2025年製品化予定)」を導入することができます。

 

さらに、このマスターシステムに、東芝デジタルソリューションズの統合映像コンテンツ管理「meify®」と、顔認識AI「カオメタ®」やAIテロップ文字認識「モジメタ®」などAIとの連携による制作業務支援や、配信等のテレビ放送以外でのコンテンツの二次利用をスムーズにする「放送データバンク」を組み合わせることで、コスト・リソースを削減しつつコンテンツの新たな価値を創出するのが、東芝の思い描く次世代のスタジオソリューションです。

放送局では、インターネット配信やコンテンツの海外展開など、映像資産の活用が急速に拡大しています。その一方で、配信ごとに異なる権利処理や各配信先に合わせたフォーマット変換など、追加の作業が増え、現場の負担が大きくなっています。こうした状況で、映像資産の活用をさらに増大するためには、スピーディで効率的な対応が必要となります。
統合映像コンテンツ管理「meify®」は、制作・編集・放送・アーカイブ・マルチユースといった映像コンテンツに関わる業務を一元的に管理できます。たとえば制作時に登録したメタ情報をもとにアーカイブ部門で作業をしたり、最新の権利の状況を確認した上で、配信時の権利処理を行ったりするなど、タイムリーな情報共有や重複した作業の削減をサポートします。

「閣僚名簿」(首相官邸ホームページ)(https://www.kantei.go.jp/jp/104/meibo/index.html)を加工して作成
「高市内閣の発足」(首相官邸ホームページ)(https://www.kantei.go.jp/jp/104/actions/202510/21takaichinaikaku.html)を加工して作成

 

さらに「meify®」では、スマートなコンテンツ管理を実現するために、AI技術の積極的な活用を推進しています。顔認識AI「カオメタ®」やAIテロップ文字認識「モジメタ®」と連携し、映像をフレーム単位で細かく分析してメタ情報を付与します。これにより、大量の映像素材の中から、必要なシーンを正確かつスピーディーに見つけることができます。

「高市内閣の発足」(首相官邸ホームページ)(https://www.kantei.go.jp/jp/104/actions/202510/21takaichinaikaku.html)を加工して作成

世界トップクラスの認識能力を誇る顔認識AI「カオメタ®」は、1枚の写真を登録すれば、横顔やマスク着用、暗いシーンなどの条件の変化にも対応し、高い精度で認識します。さらに、オフラインの動画ファイルの処理に加え、リアルタイム処理にも対応しており、生放送での人物の確認や映像の切り替えに有効です。
会場では内閣発足時の素材映像を使ったデモを実施しました。記念撮影のシーンで、ひな壇に並ぶ20名以上の大臣の小さな顔を正確に認識し、「誰が、どの場面に、どんな顔のサイズで映っているか」をタイムラインで表示。たとえば、首相のアップの映像や、女性閣僚が同時に映るシーンなど、タイムラインを利用し、目的のシーンを直感的に抽出できる便利な使い方を提示いたしました。
また、「カオメタ®」の特徴的な機能であるクラスタリングも展示。本年3月に放送されたNHKのドキュメンタリー番組「映像の世紀バタフライエフェクト」では、「カオメタ®」を活用して第二次世界大戦当時の歴史映像を解析。顔認識とクラスタリングを組み合わせて人物を特定するなど、過去の映像資産の再活用に有効であることをご紹介いたしました。

AIテロップ文字認識「モジメタ®」は、映像に映るテロップなどの文字情報を高精度に認識し、テキストデータとして抽出するOCRベースのソリューションです。テロップには出演者名やキーワードなど、役に立つ情報が多く含まれていますが、映像内に画像として埋め込まれているため、文字情報として扱うことができません。このため、現状は人手による書き起こしが必要です。「モジメタ®」の活用により、表示タイミング、画面上の位置、内容を詳細に認識し文字情報として扱えるようになります。映像検索の精度向上のためのメタ情報の付与に加え、番組の最後などに流れるスタッフロールの書き起こし、付与が必要なコピーライトなどの権利情報の確認などさまざまな業務にお使いいただけます。
また、人物に正しく氏名のテロップが付与されているか、放送日時などの時間情報を含むテロップを抽出し注意を促すなど、AIによる映像品質チェック機能も参考出展いたしました。

さらに、「meify®」で管理する膨大な情報を、より便利に活用するため、AIエージェントとの連携機能の研究開発を行っています。今回のデモでは、メタデータの高度検索や、マルチユース時の権利処理サポートを紹介。「SNSで話題になったシーン」など、従来のメタ情報だけでは難しかったシーンの抽出を、AIエージェントが外部の情報で補うことで実現します。これにより、今まで埋もれていた過去の映像を有効に活用できるようになります。

東芝ライテックは、色と光の拡散サイズを自由に変更できる、スタジオ用「LED液晶フラッドライト」を参考出展いたしました。

スタジオに必要な明るさと美しさ(高演色性)を両立した上で、色温度は電球色2700Kから昼白色5500Kまで、配光制御により光の拡散から集光までを無段階連続調整することが可能です。これらの機能でシーンに合わせたあかりを器具交換なしで、一般的な調光操作卓から自由にコントロールすることができます。

また、繊細な音響空間のためにファンレスの自然空冷で静音性に配慮しています。

これからも、放送業界の未来を切り拓いていく東芝グループにご期待ください。