InterBEE 2024[展示会・イベント レポート]

本展示会では東芝グループブースにご来場いただき、誠にありがとうございました。今回の東芝グループ出展品の中から、トピックスをご紹介します。

今回の東芝グループブースは「東芝が取り組む、これからの放送システム ―クラウドやAI、新技術を活用したシステムソリューションー」をテーマとして、東芝インフラシステムズ、東芝デジタルソリューションズ、東芝ライテックが出展いたしました。

東芝インフラシステムズと東芝デジタルソリューションズは共同で、お客様のコンテンツ資産をいかに有効に活用していくかをコンセプトに、マスター送出システム「VIDEOS core™」でのコンテンツデリバリーに加えて、AIプラットフォームや放送コンテンツDBを活用した「業務効率化のDX・放送データのDX」によって、コンテンツの価値を高めていくソリューションをご提案しています。

東芝インフラシステムズが出展した「VIDEOS core™(2025年製品化予定)」を中心としたIPマスターシステムは、機能をソフトウェア化することで専用の機器を使わずとも汎用サーバーで構築可能であり、仮想化により1台のサーバーに複数の機能を搭載することが可能なため、非常にコンパクトなミニラックで動態展示することで、省スペース化・省電力化をアピールしました。

また、IP放送機器の世界共通制御プロトコル「NMOS」に対応しているので、異なるメーカーの機器でもシームレスに運用することが可能です。会場では、VIDEOS core™がAPCから制御を受けてCMと番組をスイッチする様子や、他メーカー製のIPマルチビューワ(複数の画面を1枚のモニターに同時出力する装置)をMNOSで制御するデモンストレーションを行いました。

また、これらの機能をクラウド(AWS)に構築して、場所や時間を選ばず柔軟に運用できるコンセプトもご紹介いたしました。現在ではまだ従量課金制のクラウドでは24時間365日の利用はハードルが高いものとなりますが、今後価格体系が変化していった暁には、次世代のマスターシステムとしての活用が期待されます。

さらに、テレビ放送だけでなくラジオ局様からもIP化のご要望があることを受け、テレビ放送のIPシステムの音声部分も利用可能なソフトウェアラジオマスターを参考出展して、テレビ放送局と合わせてラジオ放送局の集約化も可能なソリューションもご提案いたしました。

昨年からご提案している「放送データバンクTM」構想は、例えば情報番組で商品や旅行先を紹介した場合に、実際に商品を販売している店舗のモニターでそのコンテンツを放映して消費者に訴求するといった、コンテンツの二次利用を促進する仕組みです。今回の展示では、実証実験として今年の3月にメーテレ様のコンテンツをスーパー店頭で放映した際の様子をご紹介しました。スーパーでは該当商品の売上が平時の約3倍に増加したとのことです。
番組制作に大きな費用をかけづらい地方放送局において、制作した番組を新たな収入源とする画期的な次世代コンセプトです。

東芝デジタルソリューションズの出展エリアでは、企画・制作段階から放送後のアーカイブやマルチユースにおける複雑な権利処理、多種多様な配信・販売など映像コンテンツに関わる業務を統合的にサポートする統合映像コンテンツ管理システム「次世代meify®」や、顔認識AI「カオメタ®」をご紹介しました。

「カオメタ®」は、あらかじめ人物の顔写真をDBに登録しておけば、選挙やスポーツ中継などの多人数が様々な角度で映る映像でも瞬時に顔を認識することが可能です。会場では、「カオメタ®」やAIテロップOCR(製品化計画中)を利用し、高い負荷がかかる放送映像の品質チェック業務をサポートするデモンストレーションを行いました。

東芝ライテックの照明ゾーンでは今回デモンストレーションを実施、東芝ライテックが取り組むこれからの演出照明システムの目指す姿と、それを支える最新技術をご紹介いたしました。

全国の劇場やスタジオ内を専用の空間3Dスキャンカメラで1施設辺り約200~300箇所撮影、これを繋げて3Dデータを生成し、3D CADに変換してクラウドの劇場・スタジオデータベース「ArtaBaseTM」(参考出展)に保管します。ユーザはこの3Dデータを利用して3D CADソフト「VectorworksTM Spotlight」で照明設計、演出デザインソフト「Vision」でシミュレーションを行い、本物さながらの3D空間上で照明プランを作成することが可能。これを調光卓で読み込むことで、現場での作業時間を大幅に短縮できる仕込みの効率化をアピール、またデモンストレーションでは、シミュレーションの通りに実際の照明が稼働する様子を実演しました。
併せて、シミュレーション映像の質感にこだわった「新世代演出シミュレータ」(参考出展)もご紹介いたしました。

調光卓は、フルLEDスタジオ専用調光卓「SmartConsole」から、フェーダー30本搭載のSC-30を出展しました。
スタジオ内のLED照明器具と双方向通信での管理・運用が可能で、ビジュアルに特化したディスプレイで照明器具の配置・出力・色調整などの様々な情報を確認でき、タッチ・フリック操作での調光操作や設定変更と、物理フェーダーを使っての直感的な操作が融合したスムーズな操作感を、お客様に実際に会場で触っていただきました。

照明器具は、発売前のLED照明器具で、舞台から遠くに設置して明かりを絞ることが可能なハロゲン1kW相当の舞台向けフルカラーLEDスポットライトと、従来品比で体積・質量・消費電力が約半分となった、同じくハロゲン1kW相当のTVスタジオ向けLEDフラッドライトを展示しました。

フルカラーLEDスポットライトは4K/8K撮影にも対応するRec.2020色域の94.2%をカバーする広色域カラー表現が可能で、LEDフラッドライトは3000Kの電球色と5000Kの昼白色の2種、正方形のスタンダードタイプと天井が低いスタジオ向けのワイドタイプをラインナップし、お客様へご紹介いたしました。
(※4K/8KテレビやUltra HD Blu-rayで採用されている色域規格)

これからも、多様化する放送システムの未来に取り組む東芝グループにご期待ください。