EdgeTech+ 2024[展示会・イベント レポート]

本展示会では東芝グループブースにご来場いただき、誠にありがとうございました。今回の東芝グループ出展品の中から、トピックスをご紹介します。

今回の東芝グループブースでは、東芝インフラシステムズと東芝情報システムが、長年培ってきた産業領域のエッジ技術と AI / IoTなどのデジタル技術を組み合わせたソリューションを出展いたしました。

東芝インフラシステムが出展した産業用コンピュータの中からご紹介するのは、新機種となるデスクトップ型の「FA3100TX model 800」です。

主に上下水道や交通、放送、通信、電力の監視制御などの社会インフラ領域において、お客様システムの安定稼働を支えるフラッグシップモデル。第10世代Intel® Xeon®プロセッサW-1270TE(2.0GHz)を搭載して、2024年8月にリリースしました。

大容量のメモリ、ストレージ、ギガビットEthernetインターフェースおよびCPU内蔵グラフィック機能を搭載したハイスペックマシンで、耐環境性能・頑健性にも優れているため、幅広い用途にお使いいただけます。また、リプレースがスムーズにできるよう、筐体サイズを従来モデルと統一しているだけでなく、RS-232C、PCIスロットなどのレガシーインタフェースを搭載しているため、既存のハードウェア資産の有効活用ができるほか、リリース後5年間の製品供給、製造終了後7年間のメンテンナンス対応にさらに保守期間3年延長(2039年8月まで)オプションをつけることも可能で、長期間安心してご使用いただけます。

東芝情報システムの出展からは、まず組み込み向けのセキュリティソリューションを3つご紹介します。

1つ目はホワイトリスト型マルウェア対策ソフトウェア「SecNucleus® WhiteEgret」です。組み込み機器では一般向けのコンピュータと異なり、使用するソフトウェアが限定されていることから、ホワイトリストにそのソフトを登録することでそれ以外のソフトは全て動作させない仕組みとなっているので、ウィルスのパターン定義ファイルを常に更新しておくといった工程を必要とせず、さらにLinuxに特化することで、少ないリソースでも高速な動作を可能としています。

2つ目はFIPS 140-2認証済の暗号化ライブラリ「SafeZone FIPS Crypto Libraries」です。あらゆるモノがネットワークに接続される世の中では、組み込み機器のセキュリティ対策は非常に重要であり、米国で使用されるコンピュータシステムにおいては「連邦情報処理規格(FIPS)」の認証を受けることが必須となっています。ライブラリとしてこの「SafeZone FIPS Crypto Libraries」をご利用いただければ、米国向け組み込み製品の製造・輸出の際の認証がスムーズに受けられます。

3つ目のソリューションは耐量子コンピュータ暗号ライブラリ「Quantum Safe Crypto Library」です。現在、インターネットアクセスでサーバ証明書などに使われいてる暗号「RSA-2048」は、量子コンピュータによって2030年頃には無力化される可能性があると予測されています。これに対応するために米国標準技術研究所(NIST)で選定・標準化された、"数学的に解読が困難な耐量子コンピュータ暗号アルゴリズム"4種をご提供するのがこの暗号ライブラリ「Quantum Safe Crypto Library」です。

次にご紹介するのは、組み込みBluetoothソリューションのうち、新機能「Auracast™(オーラキャスト)」の活用ご提案です。

現在のBluetooth通信は、1つの機器から発信されるデータを1つの受信機で受ける1対1通信が主となっていますが、「Auracast™」を利用すれば複数の機器での同時受信が可能となります。公共の場所で対応機器を持った人が一斉に放送を聴くことができる「ブロードキャスト」や、多言語放送などで受信者が好みのチャンネルを選択できる「マルチチャネル」など、Bluetoothの新たな活用ステージが期待されるこの技術を、実際に会場でお試しいただけるデモンストレーション展示を行いました。

東芝情報システムのもう1つの出展品は、「自己位置推定/SLAMソリューション」です。

AGV(無人搬送車)や自走システムを的確に運用するには、機器の自己位置の正確な情報が欠かせません。東芝のSLAMは、機器のカメラで撮影した風景を、事前にデータベース化した地図画像と照らし合わせて自己位置を推定する「Visual Relocalizer」、あらかじめ貼り付けたランドマーク(QRコードなど)を読み取って、データベースの位置情報を参照する「Landmark based SLAM」、カメラに映った対象物との距離を測定して相対的な位置推定を行う「Visual SLAM」の3つの技術で、リアルタイムかつ高精度な自己位置推定を行います。
これらを、走行開始位置からの車輪回転数や加速による移動量の計測、GPSでの位置測定などと組み合わせて、使用場所と用途に応じた最適なカスタマイズをご提供しています。

倉庫や工場内での運用のほか、農耕機や建築機械などの自動運転への応用が、今後の世の中の作業省力化・人手不足解消のために大いに役立つことが期待されます。

これからも、エッジテクノロジーで新たな価値を創造する東芝グループにご期待ください。