TECHNO-FRONTIER 2023 第2回パワーエレクトロニクス技術展[展示会・イベント レポート]
本展示会では東芝グループブースにご来場いただき、誠にありがとうございました。
今回の展示の中から東芝グループ各社のトピックスをご紹介します。
今回の「TECHNO-FRONTIER 2023 第2回パワーエレクトロニクス技術展」には、東芝デバイス&ストレージ、東芝情報システム、東芝マテリアルの3社が共同出展いたしました。
東芝デバイス&ストレージの出展品の中からは、新素材であるSiC(炭化ケイ素)、およびGaN(窒化ガリウム)のパワーデバイスをご紹介します。
昨年から量産を開始している「第3世代SiC(炭化ケイ素)MOSFET」の特長の1つ目は、旧世代品に対して約80%減という低いRon*Qgdを達成しています。これにより、導通損失とスイッチング損失のトレードオフを改善し、お客様の機器の電力効率改善に貢献します。また、特長の2つ目として、ゲートソース間電圧(VGSS)間の保証レンジが広く、ドライブ回路の設計が容易です。3つ目は、SBD(ショットキーバリアダイオード)をMOSFETと並列にチップ内に内蔵することで、低VFとRon変動を抑制し、性能と信頼性の両立を実現しています。東芝ならではの高い技術力を詰め込んだSiCMOSFETで、お客様の機器の効率改善と信頼性向上に貢献します。
今回初の出展となった「GaN(窒化ガリウム)パワーデバイス」は、先頭品(VDSS 650V、Ron 35mΩ(typ.))を現在開発中です。他社従来方式に対し、東芝独自のダイレクトドライブ方式を採用することで、スイッチング時の電圧変化が外部ゲート抵抗によって制御可能になりゲート制御性が改善。GaNデバイスのしきい値電圧を高く設定することで耐ノイズ性も向上しました。テストサンプルでは2.5kWトーテムポールPFC評価ボードでピーク効率99.4%という非常に高い効率を達成。お客様が使いやすく、高性能なGaNデバイスにてお客様の機器の高効率化と高周波化による電力密度向上へ貢献します。
東芝情報システムの出展品1つ目は、今回初出展となる「波形特性自動判定サービス」です。
LSIの特性をオシロスコープの波形でチェックするにあたり、従来は技術者による目視判定が必要で、熟練を要していましたが、東芝のこの自動判定サービスでは、独自開発したAI技術活用の波形判定ツール「Waveform meister」によって、オシロスコープから取得した波形データの正常・異常を自動判定。目視判定と比較して、判定時間約70%減という大幅な作業時間短縮と、人的資質に依らない安定した評価作業品質を実現しています。また、テストプログラムに組み込むことで測定しながらのデータ判定に対応するなど、現場の課題解決に即した機能を提供しています。
もう1点の出展品は「ディスコンLSI再生®サービス」です。このサービスでは、お客様が開発権利をお持ちのLSIについて、製造終了となっていて過去の設計データなども存在しない場合に、現品を分解・分析して回路抽出を行い、回路を復元いたします。また、回路の一部を抽出しての不良解析なども実施可能です。
東芝マテリアルの出展品からは、「窒化ケイ素セラミックス」の白板(プレーン)と回路パターン付き基板をご紹介します。
窒化ケイ素セラミックスは薄くても確かな絶縁性を誇り、また強度と放熱性にすぐれているので、高負荷・高温・高出力の用途に最適で、近年、電気自動車(EV)向けとして急速に需要が高まっており、白板はパワーコントロールユニット(PCU)に組み込む半導体製品の絶縁・放熱部品として、回路パターン付き(AMC)基板は、車載パワーモジュール用途として、国内外のメーカー各社様に多数採用されています。
他社ではコスト的にメリットのある樹脂基板も展開されていますが、信頼性や強度においては、東芝の窒化ケイ素セラミックスに一日の長があります。今後も生産性向上を図り、コモディティ化しつつ量産体制を進めていきます。
これからも、カーボンニュートラル実現に向けて最先端技術でパワーエレクトロニクス分野をリードしていく東芝グループにご期待ください。