人とくるまのテクノロジー展2023 横浜[展示会・イベント レポート]

展示会レポート

本展示会では東芝グループブースにご来場いただき、誠にありがとうございました。
今回の展示の中から東芝グループ各社のトピックスをご紹介します。

今回の東芝グループブースでは、「カーボンニュートラル実現に向け、安全・安心で高品質なくるまづくりを支える」をテーマに、ハード・ソフト両面からのソリューションをご紹介いたしました。

まず株式会社東芝 電池事業部が出展した、これからのクルマに搭載される電源として求められる高い信頼性・安全性を保持しながら、環境負荷の低減にも貢献できる「SCiB™ 車載用鉛代替バッテリー」をご紹介します。

「SCiB™ 24V鉛代替バッテリー」は、20Ah-HPセルを搭載したJIS規格のD23サイズの電池パックです。2直列の48Vでも使用が可能で、24Vでも48Vでも最大6並列まで接続することができるため、大きなパワーを必要とするトラックやバス、建機などの商用車での置き換えが可能です。

一方、乗用車向け欧州LN規格サイズの「SCiB™ 12V鉛代替バッテリー」は、20Ah-HPセルを使用した薄型サイズとセルを2並列で搭載したLN3互換サイズを開発中で、薄型サイズは自動車のシート下への設置など柔軟な対応が可能です。

このほか、オートバイや小型建機などの小型車向けに、2.9Ahセルを搭載した12V小型バッテリーも出展しました。

これまでのSCiB™は電池セルでの提供を中心に行ってきましたが、今後はより多くのお客様にお使いいただけるよう、電池パックのラインアップを増やしていく計画です。

東芝情報システム株式会社が提供する自動車向けソリューションから「自動アノテーションサービス」をご紹介します。

自動運転AIが道路状況の認識・判断を行うためには「教師データ」というものが必要になります。これは映像の被写体が自動車か、人間か、信号、標識、または道路なのかといった注釈(アノテーション)を付けたデータで、大量に用意する必要があるものです。

東芝情報システムでは、独自のAI技術を活かしてアノテーションデータ作成を自動化し、従来の手作業では1人1日8枚程度の作成が限界だった教師データ作成を、1日9,600枚と飛躍的に効率化させました。また、自動運転を想定した18クラス*1を認識する車載向けのベンチマークで、精度(mIoU*2)84.7%という高精度を達成しています。

今回が初展示となるこの「自動アノテーション」について、会場では実際に動画データを読み込んで、認識した対象物を色分け(セマンティックセグメンテーション)していく様子を、デモンストレーションいたしました。

*1 認識対象の18クラス:乗用車、トラック、バイクや自転車、車道、歩行者、空、車線、歩道、縁石、ガードレール、道路標識、植生、電柱、建物、障害物、駐車場、自車、その他無関係なもの。*2 mIoU(mean Intersection over Union)は、画像認識の精度指標の1つ。画像の重なりの割合を表す指標で、認識した領域と正解の領域が完全に重なる場合は100%、重なりがない場合は0%となる。

東芝デバイス&ストレージ株式会社が出展した、カーボンニュートラルな未来の実現へ環境車市場に向けた「車載用パワー半導体」をご紹介します。今回の展示には、大きく2つのポイントがあります。

まず1つ目は、従来の200mmシリコンウエハーから面積比2.25倍に拡大した300mmウエハーの製造です。今後ますます増加するであろう、車載用をはじめとした世界的な半導体需要に対応すべく、2022年下期より加賀東芝エレクトロニクス株式会社の既存棟において製造を開始、今後新棟立上げにより最終的には2021年度と比較し3.5倍まで増強していく予定です。

2つ目は、車載向けSiC製品です。Siと比較し大幅な電力損失低減が可能なことから、今後需要拡大が見込まれている環境車に搭載することで電費向上、ユニットの小型・軽量化が期待できます。当社では今後車載用ラインアップも展開していくことから、今回150mmウエハーを展示いたしました。これまで産業電源や発電設備、電鉄向けの製造で培ってきたノウハウを活かし、様々な自動車メーカー様からのご要望に対応できるよう、車載向けは2025年量産目処に検討を進めていきます。

また、xEVトラクションインバーター向け両面放熱パッケージ商品を開発中です。両面を冷却することで高い放熱性とインバーターの小型・薄型化を実現。搭載チップはSiだけでなく、将来SiCの搭載も検討していきます。

東芝マテリアル株式会社の今回の新規展示製品は、約半年前に上市した「コモンモードチョーク用高透磁率微結晶コア」です。

車載用充電装置や電源回路の配線からのノイズ抑制を目的とした製品で、40年近く培ってきた東芝の製造技術、特に熱処理技術をもって、高周波領域での高い透磁率やインピーダンスを実現しました。透磁率が高いので、巻数削減やコアの小型軽量化も可能です。また、-40℃~+140℃という幅広い温度域で安定したノイズ抑制効果を発揮するので、温度変化の大きい車載使用に適しています。

これからも、未来に向けたくるまづくりを支える、東芝グループにご期待ください。