コラム第6回

『備えあれば憂いなし!~SharePoint 2013延長サポート終了を見据えた移行準備開始のススメ~』

東芝グループがNotes移行を開始した2009年当時の判断として、SharePointテンプレートを開発して業務部門に提供することで「秩序あるSharePoint利用」を推進し、SharePointには適さない業務は専用の業務システムをスクラッチ開発したりパッケージシステムを導入することで、個々の業務に合わせたSharePoint開発の抑制を図ってきました。 紆余曲折ありましたが、2014年にSharePoint 2010からSharePoint 2013へのバージョンアップを無事に終えた後、2018年にOffice 365の導入が始まり再びSharePointのバージョンアップに直面したのですが、ここでは想像を絶する移行性の低さに苦労することになりました。本音を言えば、旧バージョンからの移行を全く考慮していない新バージョンに頭を抱えてしまったのですが、SharePointテンプレートを用いて移行リスクを抑えていたため、まだ「被害」は軽微だったと言えるかもしれません。
Microsoft 365/Office 365は、オフィスの業務アプリケーションのデファクトスタンダードを変えるソリューションですから、過去に囚われていては新たなスタンダードとなることができない、旧バージョンを切り捨てることが必要悪だと言われればその通りだと思います。一方、SharePoint 2013でカスタマイズを行った結果、SharePoint 2016以降(SharePoint Onlineも含む)へのバージョンアップができないとお困りの企業が増えているのも事実です。
SharePoint 2013で大きなカスタマイズを加えた業務システムを開発して使っている企業の中には、2023年4月11日の延長サポート終了までにSharePoint 2016以降にバージョンアップし、業務システムを再構築する必要に迫られているところも多いのではないでしょうか。
Microsoft 365/Office 365に移行するため脱Notesプロジェクトを立ち上げたお客様の多くは、メールは移行できたものの業務DBは移行できずに塩漬け状態となっており、Microsoft 365とNotesのダブルコストでの運用を余儀なくされている事例も多く目にします。
弊社にご相談いただいたお客様のSharePointシステムのカスタマイズ状況を分析すると、以下のような課題を抱えている企業が多く見受けられます。

1.課題

(ア)セキュリティパッチを適用すると動かない機能があり改修が必要
(イ)SharePoint 2016以降へのバージョンアップに初期開発と同等の工数が必要
(ウ)SharePoint 2016以降で同じ課題に直面する可能性が高い

2.原因

(1)マイクロソフト製品の標準もしくは推奨カスタマイズレベルで利用
(2)Notes DBを忘れ、SharePointの特性を活かしたシステム利用
(3)SharePointに合わせた業務の見直し

3.複雑なカスタマイズを行ったシステムの特徴と対策

複雑なカスタマイズを加えたSharePointシステムほど、一般的な言語で開発したアプリケーションの組込みや別途APIを呼び出す仕組みを採用しているケースが多いと思われます。 カスタマイズの仕方や状態は様々ですが、設計書、試験仕様書/結果報告書、操作説明書、ソースプログラムといったシステム開発の成果物がきちんと整備されている場合は、コストを抑えたシステムの再構築が可能になる場合もあります。

弊社では、上記のようなカスタマイズされたSharePointシステムの移行課題に応じたシステム再構築のご提案のほか、Power Platformと組み合わせた移行や業務システム開発基盤上でのシステム移行など、お客様の文化、現状のシステム、10年後のあるべき姿を想定したアセスメントサービスも提供可能です。
2023年4月11日の延長サポート終了に向け、2021年度は方針決定と予算確保の大事な1年となります。まだ2年あるという楽観的な考えもありますが、再構築に半年、試行~移行に3ヶ月と仮定すると、2022年度の第一四半期には着手しないと間に合わないという現実が見えてきます。
プロジェクト成功の鍵は、現状の正確な把握=見える化による精度の高い移行プラン作りです。プロジェクト半ばでの計画変更が想定外のコスト増となり致命傷となります。これは脱Notesプロジェクトが暗礁に乗り上げたお客様からのヘルプ相談を多くいただいてきた経験からの結論です。
SharePoint 2013のバージョンアップも何とかなるだろう、では同じ失敗を繰り返すことになりかねません。準備は周到に!方針が決まったら一気に片付けてしまいましょう。

コラム

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