環境担当役員メッセージ

新型コロナウィルス感染症やウクライナ情勢の影響により、経済活動や日常生活への不安・混乱が続いています。一方で、私たちは未来を見据え、気候変動による自然災害など、深刻化する地球規模の環境課題への対策の歩みを止めてはなりません。
私は、サステナビリティとは「ありたい姿」だと考えています。「人と、地球の、明日のために。」を経営理念の主文に掲げる東芝グループとして、10年後、20年後更にその先へと持続する社会と企業経営を前提に、カーボンニュートラルの実現や、サーキュラーエコノミーへの移行、海洋プラスチック問題、水リスクや生物多様性保全などのさまざまな課題に、しっかりと向き合った環境経営を推進していくことが、私たちのサステナビリティ=「ありたい姿」です。
東芝グループが2020年度に新たに策定した長期ビジョン「環境未来ビジョン2050」は、その「ありたい姿」を実現するための“道しるべ”です。東芝グループのマテリアリティにも特定されている「気候変動への対応」、「循環経済への対応」、「生態系への配慮」の3分野への取り組みを、東芝グループの従業員だけでなく、ステークホルダーの皆様との活動を通じて推進し、「誰もが享受できるインフラ」と「繋がるデータ社会」を構築し、“豊かな価値の創造”と“地球との共生”をめざしてまいりますので、引き続きのご協力・ご支援をよろしくお願いいたします。

「気候変動への対応」
東芝グループは、2050年までにバリューチェーン全体で「カーボンニュートラル」を実現することをめざしています。そのために、自社グループの事業活動における省エネ設備への投資、再生可能エネルギー設備の導入、再生可能エネルギー由来電力の調達を加速していきます。製品・サービスにおいては、石炭火力建設工事の新規受注を停止し、脱カーボンへ、事業の軸足を移していきます。再生可能エネルギー製品、エネルギーアグリゲーション*1、CO2分離回収技術などのエネルギー技術、省エネ性の高い社会インフラ製品やビル関連製品など、社会における温室効果ガス削減に貢献する製品・サービスの創出に注力していきます。また、調達取引先様とも、温室効果ガス排出量の削減に向けた連携を継続してまいります。
また、TCFD*2提言に基づく情報開示の強化に向けて、主要事業領域ごとに実施したシナリオ分析の内容を新たに開示しました。今後は、各事業領域において特定された気候変動に関するリスク・機会に適切に対応しながら、持続可能な事業経営を行っていきます。

「循環経済への対応」
限りある資源のもとで、地球全体の環境を守りながら経済を持続していくために「サーキュラーエコノミー」の実現を目指します。事業活動と製品・サービスの両面で資源の有効活用を進めるとともに、業界団体、行政、他企業などを含めた関係主体との積極的な連携のもと、循環経済型ビジネスモデルへの転換を図っていきます。

「生態系への配慮」
洪水や干ばつなど世界各地で深刻化する「水リスク」への対応や、政策・規制が強化されている「化学物質の管理」、そして気候変動に続き、社会的な関心が高まってきている「生物多様性の保全」に向けた活動を推進することにより、自然と人間が調和して暮らし、生態系からの恵みを享受し続けられる社会の構築に貢献します。

*1:再生可能エネルギーやEV(電気自動車)などさまざまなエネルギーリソースを集約し、電力の需給状況により出力を制御する仕組み。
*2:TCFD はTask Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース) の略。各国の中央銀行総裁及び財務大臣からなる金融安定理事会が、“気候変動が金融システムの安定を脅かす”との認識から2015年に設置。投資家に適切な投資判断を促すための、一貫性・比較可能性・信頼性・明確性をもつ、効率的な気候関連財務情報開示を企業へ促すことを目的とする。